7月のタイガースはノリにノッていましたね。最大「8」あった借金を17日間で完済し、Aクラス争いにも加わってきました。開幕直後は日替わり起用だったキャッチャーを梅野隆太郎に固定したあたりから落ち着いたように思います。

 特に打線の変化は昨季と比べても著しく、143試合で94本だったホームランが、今季はここまで31試合で36本(以下、データはすべて7月28日現在)。こんなシーズンはなかなかないですよ。

大山の良さは「初球から振る」。

 打線の核となっているのは4番・大山悠輔。開幕直後はマルテにスタメンを譲って代打要員に回っていましたが、この采配には当初から疑問を抱いていました。オープン戦は首位打者でしたし、開幕直後もバットはすごくよく振れていましたから。規定打席にまだ到達していないとはいえ、打率.306は梅野、サンズ、糸原健斗に次ぐ数字、8本塁打はセ・リーグ3位の数字です。

 もともと初球から積極的に振っていくスタイルの選手ですが、今年は特にその傾向が強いように感じます。ランナーが溜まっていると、とりあえずで1球見るバッターも多いですが、それがないのは彼のいいところ。基本的に0−0のカウントはどの球種、どのコースを狙っているかわからない分、バッターが有利ですから、ファーストストライクを打っていったほうが打率は残ることが多いです。

 技術的な面でも変化がありました。昨シーズンは打ったあと軸足になっている右足が流れていましたが、それが小さくなっていますね。まあ、MLBのホセ・アルトゥーベやアレックス・カブレラなんかはわざと軸足をずらすことで打球をライト方向に伸ばしていたわけですから、そこまで気にしなくても良かったかもしれませんが……。

守備は改善の余地あり。

 成長した打撃に比べると、守備にはまだまだ課題が見られます。と言っても、もともと下手な選手ではなく、肩も強いし、スローイングも悪くない。必要なのは細かいミスの改善です。

 たとえば、22日の広島戦では同点に追いつかれる悪送球がありました。焦らず地面と平行に投げる意識を持つこと。無理に上から投げずにスリークォーター気味の送球へ切り替えても良いと思います。

 また、シーズンをこなすうちに肩の力が落ちてくるのは投手も野手も同じです。むしろ、そのトレーニングをしない選手が多い分、野手の方が落ちると言ってもいいかもしれません。遠投が必要になる外野手はもちろん、内野手の大山もトレーニングしておいた方がいいでしょう。投げることに不安がなくなれば、捕球にもより専念できると思います。

対左腕にも適応したボーア。

 大山とともに打線向上のキーマンとなったのがジャスティン・ボーアでした。開幕から18打席ノーヒットで一時は6番に降格となるなど心配されましたが、初ヒット以降の打率は3割を超えた時期もあり、現在は5番に定着しています。苦手だと言われていた左投手は、中日・岡田俊哉、巨人・メルセデス、DeNA今永昇太らからホームランを放って攻略。速い球に対しても適応力を発揮し、固め打ちできる力があることを証明しました。

 不振の理由を考えてみると、ビジターでの試合が続いていたことが大きく関係していそうです。ホームに帰ってきてからは家族と再会したこもあってか、落ち着いて自分のバッティングができるようになりました。打てなかった期間は結果を求めるあまり、引っ張りの選手なのに反対方向を狙ったり、当てにいったりする姿が見られましたが、思い切って振るようになったことで自然と状態も上がっていきましたね。

 右臀部の張りで数日間離脱し、復帰後はしばらく元気がない様子でしたが、28日ヤクルト戦では満塁ホームランを打ちましたね。ポップフライはホームランと紙一重の打球なので気になりませんが、直球に押されたようなゴロが続いていたので少し心配していました。タイガース打線の勢いを止めないためにも、今後も注視していきたい存在です。

藤浪は「7回を投げ切ること」

 23日の広島戦に先発した藤浪晋太郎も好材料になりそうです。

 立ち上がりは苦戦しましたが、鈴木誠也を速球の威力で抑えきりました。あの球威やスピードが落ちないうちは、本人もコントロールを重視するスタイルへは踏み切れないでしょう。フォームもきつめのインステップに戻していましたし、しっくりくる形になってきたのではないでしょうか。

 6回に満塁ホームランを浴びて4失点を喫しましたが、打たれた球も間違ってはいなかったと思います。打ったピエラは、4回の打席ではシュートに詰まらされたセカンドゴロでした。それでストレートを狙ってきたのだと思いますが、打てる高めのゾーンにいってしまったんですね。低めならライトフライだったでしょう。限りなく無失点に近い、次に繋がる内容だったと思います。

 右バッターのインコースでストライクが取れない、やはりフォアボールの数が多いといった課題もありますが、まずは7回を投げ切ることを目標に。明日(30日)に予定されている登板にも期待したいですね。

文=藪恵壹

photograph by Kyodo News