'10年8月にシンガポールで行なわれた第1回ユース五輪から、今年でちょうど10年が経った。

「あの時は10年後に自分が東京五輪を目指しているなんて想像もつきませんでした。10年、早いですね」

 しみじみと語るのはトライアスロン女子の佐藤優香(トーシンパートナーズ・NTT東日本・NTT西日本・チームケンズ)だ。18歳の時に出た第1回ユース五輪で優勝。「金メダルだ! と思ってゴールテープを切ったら、その直後に、全競技の金メダル第1号だという情報が入ってきて、ダブルの感激でした」

 '13年9月には、次世代アスリートの顔として、アルゼンチンで行なわれたIOC総会の'20年五輪招致最終プレゼンテーションに登壇した。

「東京五輪が決まった瞬間の喜びを現地で味わいました。だから、東京五輪で活躍することは自分の任務だと感じています。目標はメダルです」と力を込める。

 ところが、強い気持ちで練習を続けていた昨春、体に異変を感じた。検査をすると甲状腺機能低下症と副腎ホルモン低下であることが判明した。同8月に東京・お台場で行なわれた東京五輪テストイベントは、無念の途中リタイア。懸命な服薬治療と食事改善で体調が少しずつ回復し、今年になってから競技に復帰したが、状態はまだ7割だ。3月に東京五輪の1年延期が決まった時に「自分にとってはプラス」と考えたのは自然なことだろう。

東京五輪は競技人生の集大成。

「もし、7月に五輪があったら自分は戦えていただろうかと疑問です。1年後へ向けてモチベーションは高まっています」と笑顔を見せる。

 東京五輪を競技人生の集大成にするつもりだ。初出場だった'16年リオ五輪は力を出し切って日本人最高の15位になった。しかし、現在は世界のレベルが大きく上がった。とりわけスイムのレベルは、リオ五輪当時と比べて大幅に上がっている。佐藤は、「スイムを強化して第1集団に食らいつき、バイクで好位置につけ、得意のランで勝負する」というプランで表彰台を目指している。

「この1年近くは、甲状腺の病気でレースで戦えない時期もありましたが、多くの人に支えてもらい、折れずに東京に向けて着実に進んでいます。その姿を見守って下さい」

 さわやかに前を向いた。

文=矢内由美子

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