波乱に満ちた今季のペナントレースも後半戦に入った。しかし今シーズンの日程は11月初めまであり、長丁場は続く。

【今週の“ぴかイチ” 日本ハム 中田翔】

 MLBには「RBIイーター」という言葉がある。RBI(Runs batted in)とは打点だから、日本語に直訳すると「打点喰い」、つまり打点が多い打者のことを示す。

 勝負強い強打者ということだが、ニュアンス的には「それほどすごい成績ではない割には」というイメージが混じっている場合もある。

 近年のMLBでは松井秀喜が代表的な「RBIイーター」だった。松井のシーズン最多本塁打は2004年の31本、あとは20本塁打以上を4回だったが、100打点以上となると4回も記録している。

 セイバーメトリクス的には「打点」は評価されないが、本塁打はさほど打たなくても「打点によく絡む」打者は、チームにとっては頼もしい存在だ。野球を知っている渋い好打者だといえよう。

 当代のNPBで“打点喰い”の代表格と言えば、日本ハムの中田翔だろう。大阪桐蔭高時代から屈指のスラッガーとして知られ、入団4年目の2011年から中軸打者として活躍しているが、本塁打のキャリアハイは2015年の30本、あとは20本塁打以上が昨年まで6回だが、それでいて100打点以上は4回、打点王も2回獲得している。

 中田は打率3割が1回だけ、通算打率を見ても.253にとどまっている。それでも日本ハムでは不動の中軸打者だ。

 その中田翔が、今季は異次元の活躍を見せている。

このペースならシーズン132打点。

<パ・リーグ打点5傑/()は試合数>

1 中田翔(日)68打点(62試合)
2 浅村栄斗(楽)65打点(62試合)
3 山川穂高(西)54打点(59試合)
4 柳田悠岐(ソ)50打点(62試合)
5 井上晴哉(ロ)48打点(62試合)

 セ・リーグの打点1位は巨人、岡本和真の50打点(59試合)。今季のパ・リーグは乱打戦が多く、打点が高い傾向にある。そして大阪桐蔭の後輩、楽天の浅村が先週5打点を挙げて追い上げているが、中田の打点はその中でも特筆すべきものだ。今季は120試合だから、中田は最終的に132打点になる計算だ。

 この数字でも史上13位タイだが、もし今季が昨年同様143試合で、このペースで打ち続ければ157打点になる。

小鶴誠の161打点は飛ぶボール時代。

 NPBのシーズン最多打点は1950年、小鶴誠の161打点だ。この年は、ラビットボールと呼ばれる反発係数の高いボールが使われ、小鶴は130試合で161打点を挙げた。しかし他にも多くの打撃記録が生まれるなど「特別な年」と言われた。

 157打点はこれに次ぐ史上2位に相当する。143試合制なら小鶴の記録を70年ぶりに更新していた可能性もあるだろう。

 今季の中田は本塁打もすでに21本。このペースでいけば自身のキャリアハイを大きく上回る40本台で、初のタイトルを獲得することも夢ではない。ただしこの分野はソフトバンクの柳田悠岐が1本差で迫っているから予断を許さないが……。

 1989年生まれで今季31歳の中田翔は、2023年に開場する北海道北広島市の新本拠地「エスコンフィールド北海道」でプレーする夢を口にしている。

 今季の大飛躍によって、その年、34歳になる中田翔が新球場で打棒をふるう可能性はぐっと高くなるだろう。後半戦の活躍に期待したい。

絶好調ソフトバンクが6戦全勝。

<8月24日から8月30日までの1週間の成績>

【パ・リーグ】
○チーム成績
1 ソフトバンク6試合6勝0敗0分 率1.000
打率.250 防率1.67
2 ロッテ6試合4勝2敗0分 率.667
打率.204 防率4.15
3 西武6試合3勝3敗0分 率.500
打率.240 防率4.25
4 楽天6試合2勝4敗0分 率.333
打率.259 防率3.17
4 日本ハム6試合2勝4敗0分 率.333
打率.260 防率5.54
6 オリックス6試合1勝5敗0分 率.167
打率.200 防率3.86

 ソフトバンクが6戦全勝。チーム防御率1.67が示すように投手陣が抜群だった。監督交代から息を吹き返したように見えたオリックスだが、第11週は1勝しかできなかった。

日本ハムは大田もヒット量産。

○打撃成績
<最多安打>
14安打:大田泰示(日)

<最多本塁打>
3本塁打:マーティン(ロ)

<最多打点>
8打点:浅村栄斗(楽)

<最多盗塁>
2盗塁:源田壮亮、外崎修汰(西)/周東佑京(ソ)/和田康士朗(ロ)

<打率5傑(規定打席以上)>
1 大田泰示(日).538
2 スパンジェンバーグ(西).500
3 鈴木大地(楽).458
4 渡邉諒(日).400
5 金子侑司(西).391

<RC(打撃総合指標)5傑>
1 大田泰示(日)8.82
2 スパンジェンバーグ(西)7.81
3 栗原陵矢(ソ)6.56
4 グラシアル(ソ)6.50
5 渡邉諒(日)5.73

 日本ハムの大田が、26打数14安打1二塁打1本塁打5打点1盗塁と大当たりだった。また西武のスパンジェンバーグも20打数10安打2二塁打2本塁打6打点の活躍を見せている。

 西武の柘植世那は、8月27日に初スタメンで1本塁打を放つと、続く29日も本塁打。第11週は6打数3安打2本塁打と結果を残した。

好調ソフトバンクはクローザー森が3S。

○投手成績
<最多勝利>
2勝:森脇亮介(西)

<最多セーブ>
3セーブ:森唯斗(ソ)

<最多ホールド>
2ホールド:宋家豪(楽)、モイネロ(ソ)

<最多奪三振>
11奪三振:松井裕樹(楽)、小島和哉(ロ)

<防御率(規定投球回数以上)5傑>
1 松井裕樹(楽)0.00
1 小島和哉(ロ)0.00
1 千賀滉大(ソ)0.00
1 アルバース(オ)0.00
1 有原航平(日)0.00

<PR(投手総合指標)5傑>
1 松井裕樹(楽)2.91
1 小島和哉(ロ)2.91
1 千賀滉大(ソ)2.91
1 アルバース(オ)2.91
1 有原航平(日)2.91

 西武の森脇は8月27日の日本ハム戦と8月30日の楽天戦で救援勝利を挙げた。週間2勝はパでは第8週のソフトバンク板東湧梧に続いて2人目である。

 今週は7回零封の投手が5人もいた。松井祐樹は8月27日のロッテ戦で先発転向後、初勝利をマーク。救援ではソフトバンクの森唯斗が3セーブを挙げて、好調のチームを支えている。

巨人打線がいよいよ本領発揮。

【セ・リーグ】
○チーム成績
1 巨人6試合5勝1敗0分 率.833
打率.350 防率3.33
1 阪神6試合5勝1敗0分 率.833
打率.265 防率2.65
3 DeNA6試合4勝2敗0分 率.667
打率.300防率3.50
4 広島6試合2勝4敗0分 率.333
打率.226 防率3.86
5 ヤクルト6試合1勝5敗0分 率.167
打率.264 防率6.58
5 中日6試合1勝5敗0分 率.167
打率.186 防率6.43

 巨人のチーム打率は.350。これまで不振だった主軸が復活して打線に活気が出ている。対照的に前週打撃好調だった中日は.186、勢いが止まってしまった。

坂本の復調、サンズ&ボーア砲も!

○打撃成績
<最多安打>
12安打:坂本勇人(巨)

<最多本塁打>
3本塁打:サンズ(神)、ボーア(神)

<最多打点>
9打点:サンズ(神)

<最多盗塁>
2盗塁:山田哲人(ヤ)、重信慎之介(巨)、近本光司(神)、堂林翔太(広)

<打率5傑(規定打席以上)>
1坂本勇人(巨).461
2丸佳浩(巨).458
3山田哲人(ヤ).440
4ウィーラー(巨).435
5村上宗隆(ヤ).429

<RC(打撃総合指標)5傑>
1梶谷隆幸(De)9.24
2坂本勇人(巨)8.41
3サンズ(神)7.10
4山田哲人(ヤ)7.05
5丸佳浩(巨)6.59

 規定打席以上の4割打者が8人も出た。巨人、坂本は26打数12安打5二塁打1本塁打6打点とようやく本領発揮。2000本安打まであと62本としている。

 またDeNAの梶谷は26打数11安打3二塁打1三塁打2本塁打と長打が多かった。

救援転向の岩貞が週間2勝をマーク。

○投手成績
<最多勝利>
2勝:岩貞祐太(神)

<最多セーブ>
3セーブ:スアレス(神)

<最多ホールド>
3ホールド:大竹寛(巨)

<最多奪三振>
9奪三振:野村祐輔(広)、柳裕也(中)、国吉佑樹(De)

<防御率(規定投球回数以上)5傑>
1 秋山拓巳(神)0.00
1 ピープルズ(De)0.00
3 高橋遥人(神)1.13
4 今村信貴(巨)1.29
5 野村祐輔(広)2.25

<PR(投手総合指標)5傑>
1 秋山拓巳(神)2.90
1 ピープルズ(De)2.90
3 高橋遥人(神)2.86
4 戸郷翔征(巨)2.41
5 今村信貴(巨)2.38

 阪神の岩貞が8月29、30日の広島戦で救援勝利を挙げる。週間2勝はセでは今季初。阪神、秋山とDeNAピープルズは6回零封の好投を見せた。

 救援では巨人、大竹が3ホールドと仕事をしている。DeNA国吉は、救援で4試合に登板し4イニングで今週最多タイの9奪三振を記録。1勝2ホールドの活躍ぶりだ。

おかわり君1500安打は意外にも……。

【まとめ&記録備考】
 メジャーリーグのように両リーグ、打投の週間MVPを選出するとすれば、以下のようになるだろう。


打:大田泰示(日)
投:松井裕樹(楽)

打:坂本勇人(巨)
投:国吉佑樹(De)

 8月26日、西武の中村剛也が日本ハム戦で史上128人目の通算1500安打。スラッガーの中村だが節目の記録を達成した一打は意外にも内野安打だった。8月28日のオリックス戦でロッテ益田直也が史上102人目の500試合登板を達成した。

 例年ならペナントレースは4コーナーを回ったところ、終盤だが、今季はようやく折り返し。まだまだゴールは先にある。

文=広尾晃

photograph by Kyodo News