6日に行われた将棋の叡王戦七番勝負・第8局は豊島将之竜王(30)が永瀬拓矢叡王(28、王座と二冠)に75手で勝利し、3勝3敗2持将棋となり、異例の「第9局」突入となった。

 この日の戦型は角換わり。後がない豊島名人が序盤からの攻め合いで主導権を握り、持ち時間でも優位に立つ展開に。“軍曹”こと永瀬叡王の反撃を許さず、豊島名人が勝ち切った。

 対局数が増えたタイトル戦として有名なのは、中原誠名人と今や“ひふみん”で人気者の加藤一二三十段(肩書は当時)が戦った第40期名人戦七番勝負だ。第1局が持将棋となったため、最終的に「第8局」を加藤十段が制して、初の名人奪取を果たしている。ただし、第6局と第8局が千日手になり、日を改めての指し直し局(記録上は最初の対局と合わせて1局と扱われる)が行われている。実質的には“十番勝負”の大激戦となったのだ。

 今期叡王戦は2度の持将棋があったため、タイトル戦史上初の「第9局」に突入する。さらに第1局が千日手だったため、指し直し局を合わせると“ひふみん名人”が誕生した名人戦と同じく「十番勝負」となる。

 また、第7局終了時点での合計手数が1232手とすでに七番勝負史上最多となっていることも話題になっている。永瀬叡王と豊島名人の戦いぶりについて、NumberWebで連載を持つ中村太地七段は「永瀬さんが“沼に引きずり込む”ような戦いぶりと言いましょうか。それに対して豊島さんも敢えて永瀬さんの意図を受けて立ち、タフな戦いを続けているという印象です。これもまた1人の棋士として見ごたえがあります」と語っていたほどである。

 将棋史に残るタフマッチを制するのは永瀬叡王か、豊島名人か。21日に東京の将棋会館で行われる第9局に注目が集まる。

文=NumberWeb編集部

photograph by 日本将棋連盟