今週末から観客動員の上限が緩和される。球場の空気も変わってくるだろう。

【今週の“ぴかイチ” DeNA 佐野恵太】

「筒香嘉智がメジャーに行ったから、今年から佐野が4番で主将ね! よろしく」

「はい、わかりました」

 で、そのままうまくいけば、世の中こんなに楽なことはないだろう。でも、本当にそうなりそうなのが今年のDeNAだ。

 佐野恵太はプロ4年目の25歳。名門・広陵高校から明治大を経てのプロ入りだが、ドラフト指名順位は9位。セ・リーグでは最後の本指名選手だった。

 1年目の安打数はわずか2本。大谷翔平や藤浪晋太郎、鈴木誠也ら大物が居並ぶ1994年世代では目立つ存在ではなかった。そこからじわじわと打席数を増やし、昨年は215打席200打数59安打、打率.295。確かに今年は勝負の年ではあった。

 とはいえ、いきなりチームの顔だった筒香の後釜に座るのは、大相撲でいう「家賃が高い」のではないかと思ったのだが……。

スランプ知らずのハイアベレージ。

<今季の月別打撃成績>
6月 10試37打数13安 0本5点
打率.351
7月 26試100打数33安打4本14点
打率.330
8月 26試99打数34安打6本22点
打率.343
9月 12試49打数21安打1本12点
打率.429

 ほとんどスランプ知らずである。

 感心したのは、7月中旬、打率こそ上がっていたものの本塁打が出ずに「物足りない」という評が出ると、7月22日に初本塁打、以後、本塁打もきちっと打つようになったことだ。アベレージヒッターが無理に本塁打を打ちにいって打率を下げることはよくあるが、佐野はそうはならなかった。

 9月に入って1試合2安打近くを打っている。今季通算打率は.354、2位のヤクルト村上宗隆に2分5厘もの差をつけて首位打者街道を驀進している。

「初規定打席で首位打者」の豪華な面々

 佐野が「初規定打席で首位打者」となれば、外国人選手を除けば1950年の2リーグ分立後では15例目となる。以下()は前年の打席数。

1969年 永淵洋三(近鉄)27歳
打率.333(299打席)
1972年 若松勉(ヤクルト)25歳
打率.329(305打席)
1976年 吉岡悟(太平洋)27歳
打率.309(112打席)
1981年 落合博満(ロッテ)28歳
打率.326(188打席)
1987年 正田耕三(広島)25歳
打率.333(244打席)
1991年 平井光親(ロッテ)25歳
打率.314(95打席)
1991年 古田敦也(ヤクルト)26歳
打率.340(334打席)
1994年 イチロー(オリックス)21歳
打率.385(67打席)
2000年 金城龍彦(横浜)24歳
打率.346(11打席)
2004年 嶋重宣(広島)28歳
打率.337(2打席)
2005年 青木宣親(ヤクルト)23歳
打率.344(16打席)
2008年 内川聖一(横浜)26歳
打率.378(274打席)
2012年 角中勝也(ロッテ)25歳
打率.312(171打席)
2017年 宮崎敏郎(DeNA)29歳
打率.323(335打席)

 最も近い例は現在、佐野の後ろを打つチームメイトの宮崎敏郎だ。

 若松勉、落合博満、古田敦也、イチロー、青木宣親、内川聖一のように、無名からいきなりの首位打者になって2000本安打を打つような大打者に駆け上がった例も多い。佐野恵太は球史に名前を残せるだろうか?

ソフトバンクとロッテが走りつつある

<9月7日から13日までの1週間の成績>

【パ・リーグ】
○チーム成績
1 ソフトバンク6試合5勝1敗0分 率.833
打率.262防率1.50
2 ロッテ5試合4勝1敗0分 率.800
打率.216防率2.00
3 西武6試合3勝3敗0分 率.500
打率.220防率4.33
4 楽天5試合2勝3敗0分 率.400
打率.262防率5.48
5 オリックス5試合1勝4敗0分 率.200
打率.231防率5.27
5 日本ハム5試合1勝4敗0分 率.200
打率.251防率5.10

 ソフトバンクとロッテが走り、上位2チームが固定されつつある。ソフトバンクは投打ともに好調。ロッテは投手陣の調子が良い。対照的に楽天は投手陣の調子が下降気味なのが気になる。

好調スパンジェンバーグの三振数が……

○打撃成績
<最多安打>
8安打:源田壮亮(西)、柳田悠岐(ソ)、大田泰示(日)

<最多本塁打>
3本塁打:デスパイネ(ソ)

<最多打点>
7打点:柳田悠岐(ソ)、スパンジェンバーグ(西)

<最多盗塁>
3盗塁:加藤翔平(ロ)

<打率上位(規定打席以上)>
1 小深田大翔(楽).500
2 大田泰示(日).444
3 杉本裕太郎(オ).400
4 茂木栄五郎(楽).350
5 柳田悠岐(ソ).333
5 浅村栄斗(楽).333
5 メヒア(西).333

<RC(打撃総合指標)5傑>
1 スパンジェンバーグ(西)6.78
2 柳田悠岐(ソ)5.72
3 デスパイネ(ソ)5.52
4 茂木栄五郎(楽)4.98
5 外崎修汰(西)4.75

 規定打席未達ながら、西武のスパンジェンバーグが15打数7安打2二塁打1三塁打2本塁打7打点1盗塁、打率.467と大暴れを見せた。余談ながらスパンジェンバーグは68試合で98三振。このペースだと最終的に150三振という、なかなかすさまじい数字になっている。

 楽天では新人・小深田が打率5割の活躍。ソフトバンク柳田悠岐は、8安打7打点。不振を脱したようだ。

電撃移籍の澤村がさっそく2ホールド

○投手成績
<最多勝利>
1勝:高橋光成、松本航、十亀剣(西)/千賀滉大、武田翔太、ムーア、和田毅、東浜巨(ソ)/小島和哉、中村稔弥、美馬学、小野郁(ロ)/、竹安大知(オ)/青山浩二、寺岡寛治(楽)/村田透(日)

<最多セーブ>
3セーブ:益田直也(ロ)

<最多ホールド>
2ホールド:澤村拓一、ハーマン(ロ)、宮西尚生(日)、モイネロ(ソ)

<最多奪三振>
13奪三振:千賀滉大(ソ)

<防御率(規定投球回数以上)上位>
1高橋光成(西)0.00
1千賀滉大(ソ)0.00
1松本航(西)0.00
1中村稔弥(ロ)0.00
1山岡泰輔(オ)0.00
1竹安大知(オ)0.00

<PR(投手総合指標)5傑>
1高橋光成(西)3.87
2千賀滉大(ソ)3.44
3松本航(西)3.01
3中村稔弥(ロ)3.01
5石川柊太(ソ)2.87

 西武の高橋光成は今季初完封を挙げた。ソフトバンク千賀は8回零封。救援では先週、トレードで巨人からロッテに移籍した澤村拓一が早くも2ホールドをマークし、新天地で貢献している。

13連戦でも巨人は圧倒的だった

【セ・リーグ】
○チーム成績
1巨人7試合6勝0敗1分 率1.000
打率.236 防率1.97
2阪神7試合4勝2敗1分 率.667
打率.274 防率3.71
3DeNA6試合2勝3敗1分 率.400
打率.274 防率3.60
3広島6試合2勝3敗1分 率.400
打率.253 防率4.15
3中日6試合2勝3敗1分 率.400
打率.231 防率3.33
6ヤクルト6試合0勝5敗1分 率.000
打率.229 防率4.50

 巨人は昨日まで13連戦。今週は休みなしの7連戦だったが6勝1分と負け知らず。チーム防御率は1点台と投手陣が抜群だった。対照的に、ヤクルトは0勝5敗1分と白星がなかった。

吉川尚輝が打率.609の大当たり

○打撃成績
<最多安打>
14安打:吉川尚輝(巨)

<最多本塁打>
4本塁打:坂本勇人(巨)

<最多打点>
10打点:大山悠輔(神)

<最多盗塁>
2盗塁:吉川尚輝(巨)、近本光司(神)、塩見泰隆(ヤ)、曽根海成(広)

<打率5傑(規定打席以上)>
1吉川尚輝(巨).609
2サンズ(神).500
3佐野恵太(De).440
4大島洋平(中).429
5ボーア(神).400

<RC(打撃総合指標)5傑>
1サンズ(神)10.37
2吉川尚輝(巨)9.51
3坂本勇人(巨)8.31
4佐野恵太(De)6.86
5山田哲人(ヤ)6.01

 巨人・吉川尚輝は23打数14安打2二塁打1三塁打、打率.609の大当たり。阪神のサンズは24打数12安打3本塁打6打点。8月後半から絶好調だ。

投手の好成績も巨人の選手だらけ

○投手成績
<最多勝利>
2勝:メルセデス、鍵谷陽平(巨)

<最多セーブ>
4セーブ:デラロサ(巨)

<最多ホールド>
2ホールド:中川皓太、大竹寛(巨)

<最多奪三振>
8奪三振:メルセデス、今村信貴(巨)、小川泰弘(ヤ)

<防御率(規定投球回数以上)上位>
1西勇輝(神)0.00
1菅野智之(巨)0.00
1九里亜蓮(広)0.00
4メルセデス(巨)0.75
5森下暢仁(広)1.29
5戸郷翔征(巨)1.29
5サンチェス(巨)1.29
5上茶谷大河(De)1.29
5秋山拓巳(神)1.29

<PR(投手総合指標)5傑>
1西勇輝(神)3.49
2メルセデス(巨)3.44
3菅野智之(巨)2.71
4九里亜蓮(広)2.32
5スアレス(神)2.20

 巨人の投手が各部門で顔を出している。メルセデスは先週2回先発して11.1回を投げ自責点1、計2勝を挙げた。鍵谷は救援で2勝。またデラロサはこの週だけで4セーブを挙げている。他球団で目立ったのは、阪神の西勇輝が完封勝利を挙げたところか。

平田、中田、山川がそれぞれ記録達成

【まとめ&記録備考】
 メジャーリーグのように両リーグ、打投の週間MVPを選出するとすれば、以下のようになるだろう。

打:スパンジェンバーグ(西)
投:高橋光成(西)

打:吉川尚輝(巨)
投:メルセデス(巨)

 9月9日、中日の平田良介が史上307人目の1000本安打。10日、日本ハムの中田翔が史上64人目の250本塁打。12日、西武の山川穂高が史上175人目の150本塁打を達成している。

 今季のトレード期限は9月末まで。澤村拓一のような移籍劇はこれからも見られるかもしれない。

文=広尾晃

photograph by Kyodo News