コロナ禍に抗いながら、あるいはコロナ禍とつきあいながら、スポーツ界が続々と新シーズンのリーグ戦を開幕させている。女子バスケットボールのWリーグは9月18日に開幕。21年3月のプレーオフ決勝を目指し、12チームが6チームずつ東西カンファレンスに分かれて4回戦総当たりで競うレギュラーシーズンからスタートした。

 イレギュラーなシーズンオフや東京五輪の1年延期がもたらす様々な変化を経験している今シーズンは、これまでにはなかった観点による“個のプレー”の変化が楽しみな選手が多い。

 中でも注目したいのは、昨年レギュラーシーズン2位のトヨタ自動車アンテロープスでキャプテンを務めるガードの三好南穂。3人制と5人制の両カテゴリーで日本代表候補に名を連ねる実力者だ。

華麗な経歴と上がったシュートの精度

 桜花学園高校時代から年代別の5人制日本代表としてU-17世界選手権に出場するなど、華麗な経歴の持ち主は、シャンソン化粧品Vマジック時代の16年に22歳でリオデジャネイロ五輪に出場。吉田亜沙美、町田瑠唯に続くポイントガードの3番手という立ち位置で、プレータイムは限られたが得意の3Pシュートを決めて存在感を示した。

 17年にはさらなる成長を求めてトヨタ自動車に移籍。司令塔としてのタスクを担いつつ、3Pで得点を稼ぐスタイルで自身の特徴を磨いてきた。3P成功率は14-15シーズンから19-20シーズンまで6シーズン連続40パーセント超え。16-17シーズンは成功率第1位に輝いている。

 今シーズンはその3Pに変化がありそうだ。背景にあるのは、昨年から3人制日本代表での活動に本腰を入れ、「FIBA 3x3ウーマンズシリーズ」に出場するなど強化活動に力を注いだこと。女子の場合、5人制と3人制ではボールの大きさは同じだが、ボールの重さは3人制の方が数十グラムほど重い。このため、シュートに必要な筋力がアップし、5人制に戻った時に遠い距離からのシュートの精度が上がったのだ。

 また、女子の3x3は男女バスケットボールの全4カテゴリーの中で唯一開催国枠による東京五輪出場権を与えられなかったため、本来なら今年3月に開催される予定だった五輪最終予選で出場切符をつかみ取らなければいけない。そのため、必死さそのものにも違いがあったはずだ。

3人制に力を注ごうと思った理由

 三好はWリーグ開幕会見で、3人制でのプレーがもたらす好影響を踏まえて、個人としての抱負をこのように語った。

「5人制も3人制も互いに通じるところがある。私が見てほしいのは3Pシュートラインのさらに後ろから打つディープスリー。ボールが重い3人制でやってきて、今までよりさらに遠くから打てるようになってきたので、そこを頑張りたいと思っています」

 3人制については、実は若いころから世界大会を経験している。桜花学園3年生だった11年9月には、イタリアで行われた第1回3x3世界ユース選手権に長岡萌映子や宮澤夕貴らとともに出場。同じ大会の男子日本代表には渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ)がいた。当時から適性を見出されていた証拠だ。

 Wリーグに入ってからは5人制に集中してきたが、リオ五輪の後に意識が変わった。

「リオ五輪には(代表メンバー12人中)12人目の選手として行ったと思っています。リオ五輪で試合に出てシュートを決められたのは自信になったのですが、やはり、次の五輪では主力として戦いたい。3人制に力を注ごうと思ったのは、それが理由です」

 五輪への並々ならぬ情熱もある。今年1月には、「五輪は選手である以上、みんなが目指すところ。そこに出たいですし、今回は東京での開催という特別な大会なので、メンバーに入りたいという気持ちはすごく強い」と言葉に力を込めていた。

3人制では性格を存分に発揮できる

 3人制については、性格面での適性もあると感じていた。3x3の試合は10分間のスコアか21点先取するかというルール。ボールを持ってからのショットクロックは5人制の半分の12秒しかない。そこで生かされたのが、三好が元来持っている、積極的なシュート姿勢だ。

「ガードのポジションにはアシストが上手い選手が多いのですが、私の場合、どんどん点数を取りにいくタイプ。3人制ではこの性格を存分に発揮できます」と笑顔で語る。

 意外なことに、三好が3Pシュートに目覚めたのは桜花学園に入ってからだったという。身長は167センチ。中学生年代でもさほど大きいわけではなかったが、中学まではセンターをやっていた。そのため、3ポイントラインからのシュートはほぼ打ったことがなかったそうだ。高校入学後も1年間は膝の前十字靭帯を負傷したため、実質的に3Pに取り組んだのは高校2年から。そこで楽しさに気づいていったという。

水島沙紀の引退は大きなマイナスだが

 トヨタ自動車では、昨シーズン限りで元日本代表で17年女子アジアカップ優勝の立役者でもある水島沙紀が引退した。ルーカス・モンデーロHCは「クオリティーの高い選手がいなくなった。チームのマイナスであるのは否めない」と述べているが、代わりに入った新人もクオリティーは高い。三好はキャプテンとしてこのように語っている。

「チームのテーマは『以心伝心』。お互いのプレーやお互いがどういうことがしたいのか、どう動きたいのかを感じ取りながらプレーできたらいいと思います。チームの目標は優勝。見ている方々、応援してくださるみなさんに勇気や感動をお届けできるような試合をしたいと思っています」

 トヨタ自動車には三好のほかにも新人の永田萌絵が5人制と3人制の2カテゴリーで日本代表候補に名を連ねている。また、昨年の3x3 U-23ワールドカップで永田とともに優勝メンバーとなった3人制日本代表候補の馬瓜ステファニー、山本麻衣もいる。

 就任2年目で戦術や意識のすり合わせがスムーズに運ぶであろうモンデーロHCの指揮の下、3人制プレーヤーとしての個性も見られそうな今シーズン。精度の高いディープスリーを武器として持った三好が、打って打って打ちまくる姿を楽しみにしたい。

文=矢内由美子

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