19歳の一挙手一投足を、スペインと日本のメディアが追い、現地メディアが書いた記事はすぐに日本語に翻訳され、肝となる部分が引用される――。

 8月10日にビジャレアルへの移籍が発表されてから、9月13日ウエスカとの開幕戦を迎えるまで、久保建英への注目度はとても高かった。

 レアル・マドリーに移籍し、プレシーズンをジダン監督の下で過ごした昨夏も多くのメディアが彼のことを追ったが、その時は日本から寄せられた大きな期待感と、レアル・マドリーというメガクラブへの注目度がないまぜになり、その注目ぶりもどこかフワフワしているように思えた。

 だが、今年は様子が違った。特集を担当していたこともあり、ほとんどすべてのメディアの記事に目を通してきたつもりだが、昨季、レンタル先のマジョルカで<35試合出場、4得点、4アシスト>という確かな結果を残してきたからこそ、久保には「地に足がついた期待」が寄せられていた。

 昨季のアトレティコ戦のプレーには驚かされた。

 中断明けから完全にマジョルカの攻撃の中心だった。18歳、19歳であんなに周りをみてプレーできている選手は他にいない。

 1年前の夏のフワフワした期待が、しっかりと実績と経験に裏付けられたものになっていた。

久保は独占インタビューで何を語ったか

 だが、久保本人の言葉は、入団会見以降、プレシーズンマッチのレアル・ソシエダ戦後にテレビのフラッシュインタビューに答えたもの以外、ほとんど伝わってこなかった。

 そんななか、発売中のNumber1011号「久保建英、リーガをゆく」では、ビジャレアル入団後の久保に時間をもらい、貴重な独占インタビューを掲載することができた。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、今回はこちらの質問を書面で送るかたちになったが、「マジョルカで途中出場が続いた時期に考えたこと」「対戦したレアル・マドリーの印象」「昨季対戦して最もきつかった選手」(ちなみにレアル・マドリーの左サイドバック、メンディ選手だそうだ)などについて、丁寧に答えてくれた。

なぜ新監督ウナイ・エメリを3度「面白い」と言ったのか?

 加入したビジャレアルについて目を引いたのは、指揮官のウナイ・エメリについて言及した以下の部分だ。

 <――エメリ監督にはどのようなプレーを期待されているのでしょう?

「エメリ監督はしっかりした方で、選手ともコミュニケーションを積極的にとってくれます。どのようなサッカーをしたいのか、それを選手と共有できています。非常に面白いチーム、そして面白い監督で、ここで面白いサッカーができると考えています。個人的には、『今のプレーはこうしてほしい』、そんな細かい要求もしてもらえるので、やりやすく感じています」>

 3回繰り返した「面白い」という言葉が、読み手に強烈な印象を与える。

 緻密な指導をする監督のもとで、戦術適応力を磨きつつ、サッカーをとことん楽しむ――そんな久保の姿が浮かび、サッカー選手としてさらなる飛躍を期待できる言葉だった。

 ソシエダ戦の後には、ピッチでの役割を尋ねられ、「ライン間でスペースを見つけ、ボールを展開して攻撃につなげること、そして下がりすぎないことです。(味方が)ボールを届けてくれますからね」と答えたことからも、久保には攻撃面でエメリがアイデアを授けていることがわかるだろう。

 開幕戦はベンチスタートで、約20分の出場にとどまった。早くもその事実に悲観的な見方をする記事も見かけたが、久保の言葉を丁寧に読みといていけば、新天地ビジャレアルで活躍するのは間違いないだろうと思えてくる。

 19歳のMFの進化から、まだまだ目が離せないのだ。

文=Number編集部

photograph by Mutsu Kawamori