新型コロナウイルスの影響で無観客開催を強いられ、勝ち馬の口取り撮影も行われなくなるなど、さまざまな制約を受けながらも、中央競馬はスケジュールどおりに開催されてきた。そして、ついに、牝牡の三冠戦線のクライマックスを迎えようとしている。

 今週は、牝馬三冠競走を締めくくる第25回秋華賞(10月18日、京都芝内回り2000m、3歳牝馬GI)が行われる。

 主役はもちろん、史上初の無敗の牝馬三冠制覇を狙うデアリングタクト(父エピファネイア、栗東・杉山晴紀厩舎)である。

アーモンドアイと同等か、それ以上の馬

 昨年11月16日の新馬戦、今年2月8日のエルフィンステークス、4月12日の桜花賞、そして5月24日のオークスと4戦4勝。

 桜花賞では重馬場をものともせず前を一気に差し切り、オークスでは道中他馬にぶつけられ、直線で前が壁になる局面がありながらも突き抜けた。

 強烈な勝ちっぷりは、2018年に牝馬三冠とジャパンカップを圧勝したアーモンドアイと同等か、それ以上のスケールを感じさせる。

 間隔をあけて使われているところも、3歳時のアーモンドアイと同じ。デアリングタクトは、父エピファネイア譲りと思われる気性面の激しさを秘めており、心身を臨戦態勢に持っていきやすい。管理する杉山調教師も、間隔があくことを心配していないどころか「むしろぶっつけのほうがいい」とコメントしている。

 木曜日に発表された調教後の馬体重は、前走のオークスから14kg増えた480kg。主戦騎手の松山弘平が4週連続調教に騎乗し、馬に「本番」を意識させながら負荷をかけたうえで増えたのだから、確実に成長分だろう。

歴代の牝馬三冠馬と同じ道をたどれるか

 力を出せる状態に仕上がった。春の二冠を上回るパフォーマンスを期待してもいいのではないか。

 出走馬18頭のなかで、やや外目の7枠13番を引いた。これは「吉」なのか、「凶」なのか。

 初代牝馬三冠馬のメジロラモーヌは、当時の三冠目だったエリザベス女王杯で6枠13番からの発走だった。2頭目の牝馬三冠馬スティルインラブは秋華賞で8枠17番、3頭目のアパパネは7枠15番、4頭目のジェンティルドンナは7枠14番、そしてアーモンドアイは6枠11番と、歴代の牝馬三冠馬はみな三冠目で外目の枠を引いて勝っている。

 デアリングタクトは序盤で控える競馬をするだけに、包まれやすい内枠より競馬がしやすい。ゲンのよさも加わり、間違いなく「吉」だ。運にも味方されている。

デアリングタクトを阻む馬は?

 偉業達成の確率はかなり高そうだが、それを阻む馬がいるとしたら、最有力候補はリアアメリア(父ディープインパクト、栗東・中内田充正厩舎)か。

 ノーザンファーム生産の期待馬で、ディープ産駒特有の成長力を見せている。前走のローズステークスでは、先行して抜け出す大人びたレースで2着を2馬身突き放す快勝。前で立ち回る競馬ができるようになったことは、直線の短い内回りコースでは大きなアドバンテージになる。

 オークスで2着だったウインマリリン(父スクリーンヒーロー、美浦・手塚貴久厩舎)と3着だったウインマイティー(父ゴールドシップ、栗東・五十嵐忠男厩舎)の「ウイン勢」にも逆転のチャンスがある。

 勝てば3歳限定GI完全制覇となるミルコ・デムーロが乗るクラヴァシュドール(父ハーツクライ、栗東・中内田充正厩舎)にも一発の可能性がある。

秋華賞で勝つのは…

 と書いているとキリがないので、印を。

◎デアリングタクト
○リアアメリア
▲クラヴァシュドール

 先週から限定的ではあるが、観客を入れての競馬が再開された。

 抽選をパスした幸運な観客の前で、デアリングタクトをはじめとする若き乙女たちがどんな走りを見せてくれるか。

 競馬史が書き換えられることを祈りつつ、ゲートインを待ちたい。

文=島田明宏

photograph by Kyodo News