10月26日に行われるプロ野球ドラフト会議。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会の中止が相次いだため、一般的な認知度はあまり高くないかもしれないが大学生は大豊作と言っても良いほど全国津々浦々に好素材が散らばっている。

 その中でも「規格外」とも言える選手たちを厳選し、10人を紹介する。

「ホームラン」が期待できる強打者

 まずは野球の華とも言える本塁打だ。左打者では佐藤輝明(近畿大)、右打者では渡部健人(桐蔭横浜大)が挙がる。侍ジャパン大学代表候補合宿でも同学年の三塁手として親交もある2人だが、プレッシャーのかかる4年秋に本塁打を量産している。

 佐藤は今季10試合3本塁打を放って、大学の先輩でもある巨人・二岡智宏三軍監督が持っていた関西学生リーグの通算本塁打記録13本を超える通算14本塁打目を放った。全国から逸材が揃う侍ジャパン大学代表候補合宿でもロングティーでピンポン玉のように打球を飛ばし周囲は目を丸くしていた。故障の影響もあった昨秋(打率.188)に続き今秋も打率.257と確実性には課題があるが、類まれな長打力に複数球団によるドラフト1位指名競合が予想されている。

 一方、渡部はここまでリーグ戦9試合で8本塁打と神奈川大・岸川雄二監督が持つ神奈川大学リーグの1季の本塁打記録に並び、24日の鶴見大戦で新記録樹立の記録がかかる。176センチ112キロという体格でも軽快な守備や足の運びも魅力的だ。

ああああ ©Yu Takagi ああああ ©Yu Takagi

「脚」で勝負できる俊足ランナー

 今秋の大学生には「プロに入っても足で既に勝負できる」と評されている“超俊足”とも言うべき選手が2人もいる。中学時代の全国大会で「サニブラウンに勝った男」五十幡亮汰(中央大)と、昨冬の侍ジャパン大学代表候補合宿の50メートル走計測でトップとなり「サニブラウンに勝った男に勝った男」となった並木秀尊(獨協大)だ。

 ともに足が速いからと言って内野安打狙いの打ち方をするのではなく、しっかりと振り切って外野手の間を抜ける打球も頻繁に放つ。そして五十幡はバネを生かして弾むように、並木は高速で足を回転させるように走っていき、あっという間に三塁を陥れてチャンスを作ることができる。プロでもそのスピードだけではない活躍を期待したい。

ああああ ©Yu Takagi 獨協大学・並木秀尊 ©Yu Takagi

「安定感」抜群の即戦力ピッチャー

 投手では上位候補と目される投手たちが秋に圧巻の投球を見せている。

 東京六大学リーグで無敗のチームを牽引するのは早川隆久(早稲田大)と木澤尚文(慶應義塾大)だ。

 早川は左腕から最速155キロのストレート、変化球もカットボールやツーシーム、チェンジアップをキレ・制球とも良く投げ込んでいる。今秋は4試合26回3分の2を投げて防御率0.34、3勝はともにリーグトップの成績だ。また木澤も立教大戦こそ7回6失点と本調子とはいかなかったが、150キロを超えるストレートを投じるなどスケール感は十分。ドラフト指名後に早慶戦で早川と優勝をかけて投げ合う可能性も高そうだ。

 好投手が続々と生まれる首都大学リーグでは森博人(日本体育大)が19イニングを投げて自責点わずか1点と他を圧倒する成績を残して5季ぶり24回目の優勝に貢献した。150キロ前後のストレートに加え、カットボールを左打者の膝元にも投げ込む制球力も抜群で上位指名も見据えている。

ああああ ©Yu Takagi ああああ ©Yu Takagi あああああ ©Yu Takagi

東に多いドラフト1位候補

 地方リーグでは日本ハムがドラフト1位指名と公言した伊藤大海(苫小牧駒澤大)がその実力を遺憾無く発揮した。コンスタントに150キロ前後のストレートを投げ込み、カットボールやスライダーなどの変化球も「これぞドラフト1位候補」というキレ。侍ジャパン大学代表にも2年連続で選出され、主に守護神として国際大会は15試合21回3分の2を投げて自責点はわずかに1点のみと結果を残しているだけにプロでの飛躍にも大いに期待したい。

 北東北大学リーグでは最速150キロ右腕の大道温貴(八戸学院大)が富士大戦でリーグタイ記録となる18奪三振を記録するなど防御率0.25で最優秀防御率賞を獲得した。

ああああ ©Yu Takagi ああああ ©Yu Takagi

「支配下は間違いない」に成長したのは?

 さらに笠原祥太郎(新潟医療福祉大→中日)、大山悠輔(白鴎大→阪神)ら投打ともプロへの輩出が多く地方リーグ屈指のレベルである関甲新学生野球では最速155キロ右腕の佐藤蓮(上武大)が台頭。4年秋にようやく公式戦初登板を果たした。  

 夏までは「育成指名か」とされていたが、力強いボールを連発し変化球もきっちりとコースに決める今秋の姿に「支配下は間違いないね」とスカウトに言われるレベルにまで成長。188センチ100キロというプロレスラーのような筋骨隆々の体格から見せる豪快な投球は見応え十分だ。

ああああ ©Yu Takagi

 他にもここでは紹介しきれなかった多くの好選手がおり、今年は全国的に大きくアピールする場は失われてしまったが、プロの世界で1人でも多くの選手が脚光を浴びることを願わずにはいられない。

文=高木遊

photograph by Yu Takagi