両リーグともにマジックが点灯し巨人はM4、ソフトバンクはM3となっている。26日はドラフト会議の結果で盛り上がったが、シーズンもいよいよ決着が見えてきた。

【今週の“ぴかイチ選手” 中日 大野雄大】

 沢村賞争いは、中日の大野雄大がライバルの巨人、菅野智之とオリックス山本由伸を引き離しつつある印象だ。沢村賞の8つの指標で見ても、

 登板試合数 大野雄大、菅野智之、山本由伸(18試合)
 完投試合数 大野雄大(10試合)
 勝利数 菅野智之(13勝)
 勝率 菅野智之(.867)
 投球回数 大野雄大(135.2イニング)
 奪三振 山本由伸(149奪三振)
 防御率 大野雄大(1.79)
Q S試合数 菅野智之、山本由伸(13試合)※
※沢村賞のQS(Quality Start)は7回以上投げて自責点3以下。

 8つの指標の内、大野、菅野は4つ、山本は2つとなっている。ただ終盤戦の印象を取ると、わずかながら大野が優位かもしれない。

 大野は現在45イニング無失点を継続中である。NPB記録は1958年、国鉄・金田正一の64.1回だが、平成以降では2006年、阪神・藤川球児の47.2回、2011年、日本ハム・ダルビッシュ有の46回の記録があり、大野は次回の登板でこれを抜く可能性がある。

9月以降の大野は神がかっている

 とにかく9月以降の大野は神がかっている。9月以降の大野雄大、菅野智之、山本由伸の投手成績は以下の通り。

大野雄大 8試合6勝2敗 防御率0.87 
6完投5完封 64回 64奪三振

菅野智之 8試合4勝2敗 防御率2.63
0完投0完封 54.2回 54奪三振

山本由伸 8試合5勝2敗 防御率0.90
0完投0完封 60回 72奪三振

 菅野がこれまでの成績に比べて伸び悩んでいるのに対し、大野と山本は調子を上げている。そのうえで完投、完封では大野が他の2人を圧倒している。ここ5試合で4試合が完封勝利なのだから。

完投数と1回あたりの球数が凄い

 先発投手の完投がレアな記録になる中で、大野雄大はなぜこうも完投数を伸ばすことができるのか。その秘訣は「球数の少なさ」にある。

<両リーグ規定投球回数以上の投手の1イニング当たりの投球数5傑>

1 大野雄大(中)14.74(2000球/135.2回)
2 西勇輝(神)15.04(2061球/137回)
3 石川歩(ロ)15.39(1842球/119.2回)
4 山本由伸(オ)15.48(1961球/126.2回)
5 有原航平(日)15.49(1978球/127.2回)

 投手は1イニングを15球以下で投げるのが理想とされるが、大野は両リーグでただ1人「15」を切っている。菅野智之は16.01(2039球/127.1回)で8位。菅野は、ここ2試合6回119球、7回116球と効率の悪い投球で2敗したが、投球の効率でも大野は他の投手を圧倒している。

 沢村賞はかつては記者投票だったが、現在は堀内恒夫氏を委員長とする沢村賞選考委員会が選考している。優勝が確実な菅野にアドバンテージがあるともされるが、選考指標における優位に加えて、平成以降の連続無失点記録を更新すれば、大野が受賞する可能性が高くなるだろう。

 大野、菅野、山本の登板機会はあと2試合とみられる。大野有利だが、その結果次第ではまだ予断を許さない。

ソフトバンクが12連勝記録

<10月19日から10月25日までの1週間の成績>

【パ・リーグ】
○チーム成績
1ソフトバンク6試合5勝1敗0分 率.833
打率.312 防率1.67
2西 武6試合4勝2敗0分 率.667
打率.216 防率2.94
3オリックス6試合3勝2敗1分 率.600
打率.263 防率3.83
4楽 天6試合2勝2敗2分 率.500
打率.292 防率3.54
5日本ハム6試合1勝4敗1分 率.200
打率.202 防率6.67
6ロッテ6試合1勝5敗0分 率.167
打率.254 防率3.75

 24日に負けるまでソフトバンクは12連勝、21日に点灯したマジック8を4日間で2まで圧縮した。今週に優勝が決まりそうだ。マジック対象のロッテは新型コロナ陽性者が復帰したが調子が上がらず。日本ハムは投手陣が崩壊している。

ギータが打率5割超、周東もとにかく走る

○打撃成績
<最多安打>
11安打:柳田悠岐(ソ)、小深田大翔(楽)

<最多本塁打>
3本塁打:ロメロ(楽)、中田翔(日)

<最多打点>
10打点:ロメロ(楽)

<最多盗塁>
6盗塁:周東佑京(ソ)

<打率5傑(規定打席以上)>
1柳田悠岐(ソ).524
2吉田正尚(オ).474
3小深田大翔(楽).423
4外崎修汰(西).421
5島内宏明(楽).417

<RC(打撃総合指標)5傑>
1柳田悠岐(ソ)8.84
2吉田正尚(オ)8.02
3ロメロ(楽)7.29
4外崎修汰(西)6.923
5浅村栄斗(楽)6.919

 ソフトバンク、柳田悠岐が21打数11安打2二塁打1本塁打、打率.524と大活躍、今季通算打率を.348まで上げたが1位のオリックス、吉田正尚も打率.474と負けていない。ソフトバンク周東は6盗塁、ここ2週間で11盗塁と荒稼ぎである。

西武・増田がロッテ相手にリリーフで2勝

○投手成績
<最多勝利>
2勝:増田達至(西)

<最多セーブ>
2セーブ:ディクソン(オ)

<最多ホールド>
2ホールド:山田修義(オ)、松井裕樹(楽)

<最多奪三振>
10奪三振:ムーア(ソ)、山本由伸(オ)

<防御率(規定投球回数以上)上位>
1ムーア(ソ)0.00
1東浜巨(ソ)0.00
1瀧中瞭太(楽)0.00
1高橋光成(西)0.00
1千賀滉大(ソ)0.00
1笠谷俊介(ソ)0.00
1アルバース(オ)0.00

<PR(投手総合指標)5傑>
1ムーア(ソ)2.91
1東浜巨(ソ)2.91
1瀧中瞭太(楽)2.91
1高橋光成(西)2.91
5千賀滉大(ソ)2.88

 ソフトバンクのムーア、東浜、楽天の瀧中、西武の高橋光成が7回零封。ソフトバンク千賀が6.1回を自責点ゼロで抑えた。救援で西武の増田がロッテ戦で救援ながら2勝をあげた。

投高打低に傾いているセ・リーグ

【セ・リーグ】
○チーム成績
1中 日6試合5勝1敗0分 率.833
打率.295防率2.72
2広 島6試合3勝3敗0分 率.500
打率.215防率2.12
2阪 神7試合3勝3敗1分 率.500
打率.193防率2.57
4ヤクルト7試合2勝3敗2分 率.400
打率.204防率2.91
4巨 人6試合2勝3敗1分 率.400
打率.184防率2.17
6DeNA6試合2勝4敗0分 率.333
打率.204防率2.29

 今週はリーグ防御率が2.48と投高打低に傾いている。阪神とヤクルトが休みなしの7連戦。中日が好調を維持している。巨人は今週も足踏みしたが、それでも2位中日とのゲーム差は8.5という状態だ。

中日主力のバッティングが好調

○打撃成績
<最多安打>
11安打:阿部寿樹(中)

<最多本塁打>
2本塁打:ビシエド、阿部寿樹(中)、マルテ(神)、丸佳浩(巨)

<最多打点>
8打点:ビシエド(中)

<最多盗塁>
2盗塁:吉川尚輝(巨)

<打率5傑(規定打席以上)>
1阿部寿樹(中).423
2ビシエド(中).375
3坂本勇人(巨).364
3糸原健斗(神).364
3青木宣親(ヤ).364

<RC(打撃総合指標)5傑>
1ビシエド(中)6.77
2阿部寿樹(中)6.62
3村上宗隆(ヤ)6.40
4坂本勇人(巨)5.71
5青木宣親(ヤ)5.42

 中日の阿部は26打数11安打1二塁打2本塁打、打率.423、ビシエドは24打数9安打2二塁打2本塁打8打点、打率.375。中日の好調を打撃面で支えている。

新人王争い・森下も好投続ける

○投手成績
<最多勝利>
1勝:大野雄大、福谷浩司、柳裕也、谷元圭介(中)/秋山拓巳、高橋遥人、青柳晃洋(神)/森下暢仁、九里亜蓮、薮田和樹(広)/今村信貴、サンチェス(巨)/京山将弥、伊勢大夢(De)/石川雅規、小川泰弘(ヤ)
又吉克樹(中)

<最多セーブ>
2セーブ:スアレス(神)、三嶋一輝(De)

<最多ホールド>
3ホールド:岩崎優(神)

<最多奪三振>
9奪三振:大野雄大(中)、戸郷翔征(巨)、遠藤淳志(広)

<防御率(規定投球回数以上)上位>
1大野雄大(中)0.00
1森下暢仁(広)0.00
1サンチェス(巨)0.00
1柳裕也(中)0.00
1戸郷翔征(巨)0.00
1京山将弥(De)0.00

<PR(投手総合指標)上位>
1大野雄大(中)2.48
1森下暢仁(広)2.48
3サンチェス(巨)1.84
4柳裕也(中)1.75
5戸郷翔征(巨)1.66
5京山将弥(De)1.66

 中日の大野雄大が今季10度目の完投6度目の完封勝利を挙げた。また広島の森下も自責点ゼロで完投している。巨人サンチェスは6.2回を零封する好投だった。救援では阪神スアレスが2セーブ、岩崎が3ホールドをあげている。

ヤクルト坂口、楽天・岸の節目の記録って?

【まとめ&記録備考】
 メジャーリーグのように両リーグ、打投の週間MVPを選出するとすれば、以下のようになるだろう。

打:柳田悠岐(ソ)
投:ムーア(ソ)

打:ビシエド(中)
投:大野雄大(中)

 10月19日、ヤクルト坂口智隆が史上129人目の1500安打、22日には楽天、岸孝之が史上90人目の2000イニング登板を達成している。

 今週はドラフト会議があったが、例年、ドラフトで選手が入団すると入れ替わりに「戦力外通告」が行われる。ペナントレース中だが非情な通告があるかもしれない。

文=広尾晃

photograph by Kyodo News