雑誌「Sports Graphic Number」と「Number Web」に掲載された記事のなかから、トップアスリートや指導者たちの「名言」を紹介します。今回はプロ野球選手が戦力外通告を受けたあとに語った、印象的な3つの言葉です。

<名言1>

選手としてはやめるかもしれないけど、野球人としては生き続けるわけですから。
(黒木知宏/698号 2008年2月21日発売)

◇解説◇

 2007年9月24日、ロッテのイースタンリーグ最終戦。二番手投手として黒木はマウンドに上がった。

 翌日以降も黒木は浦和の二軍練習場でトレーニングを続けたが、一軍には呼ばれなかった。そして10月2日に戦力外通告。

 11月にはトライアウトを受験し、現役続行を視野に入れていたが、年も押し迫った12月にユニフォームを脱ぐという決断を下した。

「一度、離れたところから野球を見てみようと。そして、好きな野球に対して、違った形で恩返しをしていこう」と、解説者へ転身した。

 それから6年。帰ってきた“ジョニー”は2013年シーズンから日本ハムの一軍投手コーチに就任し、2017年まで務めた。

2018年、日本ハムコーチ時代の教え子、アストロズ・大谷翔平投手を訪ねた黒木氏 (C)AP/AFLO

見えないところでは人一倍過酷なトレーニングを

<名言2>

結果を残し続けなければジャイアンツでは認めてもらえない。だから結果を欲しがって、思い切りが悪くなってしまうんです。
(中井大介/967号 2018年12月6日発売)

◇解説◇

 プロ5年目の2012年、中井は二軍で最多安打と打点王のタイトルを獲得。二軍では11年間で699安打を記録したが、一軍では10年間で161安打に留まった。

 プレッシャーと戦い続けた中井は2018年オフ、巨人を戦力外となり、トライアウトを経て、DeNAに入団が決まった。

「この11年間が自分にとって財産になったことは間違いない」

 DeNAでは内野の複数のポジションに加え、外野も守れるユーティリティ性を生かして活躍している。

DeNAで活躍している中井 (C)Naoya Sanuki


<名言3>

俺は若手を引っ張るような性格じゃない。でも、若い選手に自分が苦しんでる姿を見せられたらと思う。
(下柳剛/713号 2008年10月2日発売)

◇解説◇
 飄々とした性格で、ヒーローインタビューは人を食ったような発言で煙に巻くことも多かった下柳。しかし、見えないところでは人一倍過酷なトレーニングで自らを追い込んでいた。

阪神時代の下柳 (C)KYODO

 2011年シーズンをもって阪神から戦力外を通告されたが、本人は現役にこだわり、楽天の春季キャンプに参加して見事に契約を勝ち取った。楽天も1年で戦力外となったが、2013年にロサンゼルス・ドジャースのトライアウトに参加し、不合格となったあとに現役引退を表明した。

文=NumberWeb編集部

photograph by KYODO