ラ・リーガの試合撮影などを精力的に行っている現地在住の日本人フォトグラファー中島大介氏。そのオリジナル写真を定期的に掲載している(※写真は関連記事の【新着写真】からもご覧になれます)。

 この週末はエイバルvsウエスカの一戦に足を運んだ。それぞれ乾貴士と武藤嘉紀、岡崎慎司が所属するお馴染みのクラブだが、今シーズンは残留争いを強いられている。この試合では出場したのは武藤だけにとどまったものの、長年このクラブに在籍する乾に対するホームタウンの愛情は厚いようだ。その街の雰囲気を含めて、ご紹介する。

エイバルの本拠地は山の中腹にある

 両チーム合わせて日本人3人が絡む試合であり、また残留争いの直接のライバル同士の対決ということでエイバルを訪れました。バスク州の2大都市、ビルバオとサンセバスチャンのほぼ中間にあり、今回はビルバオよりバスで1時間弱で向かいました。

 エイバルのスタジアム、イプルアは住宅街の側ですが、山の中腹にあります。

 2台のエスカレータを乗り継いでいって、たどり着きます。途中には、今はスポーツ広場として使われている元闘牛場跡が見下ろせます。

過去に「乾か?! 乾の友達なのか?!」と(笑)。

 向かいの山には、乾選手がエイバル加入直後のNumber本誌の現地ルポの際に登りましたが、半分放し飼いのロバがいて驚かされました。また、乾選手がデビュー前だったのもあり、町を歩いていると「乾か?! 乾の友達なのか?!」と声をかけられ、その度にビールを飲まされました。そのくらい自然豊かな素朴な町です(笑)。

乾が突然ウエスカ側にボールを蹴ったかと思うと

 まず両チーム先発メンバーがピッチに現れました。遅れて乾選手が出てきたので注目していると、ボールをウエスカ側に蹴りました。「なんだ?!」と見てみると、レンズの画角外に居た岡崎選手へのパスでした。その後、気づいた広報が2ショットを撮影し、2人は笑顔でしばしリフティングをしていました。

©Daisuke Nakashima リフティングに興じる乾と岡崎©Daisuke Nakashima

 この試合を撮影した日本人カメラマンとしては、このような絡みは有り難いのですが、両選手共サブメンバーだったからこその笑顔での絡みであり、また、この試合が、両チームの残留争いに大事な試合だったということを考えると、そこに選ばれなかったということであり、少々残念でもありました。

 キックオフ前、前日に亡くなったエイバルGKドミトロビッチの親への追悼がありました。22人のメンバーに日本人選手は居ませんでした。メーン写真にある通り、乾選手と岡崎選手は、両チームのベンチの最も近い場所に座り、仲の良さを伺わせました。

 リーガの試合といえども上位同士の争いとは違い、明確な意図のないロングボールなども多い試合でしたが、要所要所の激しさは迫力があります。エイバル先制の決定的なチャンスをキケが空振りでフイにする場面も……。

ペドロ・レオン©Daisuke Nakashima

 右サイドでの出場も増えている乾に代わって出場のペドロ・レオン。サイドからのクロスや意表をついたロングシュートなど存在感を発揮しました。

エイバルのキーマンであるブライアン・ヒル©Daisuke Nakashima

 ブライアン・ヒルへのマークはやはり激しかったです。

 エイバルはセネガル人のディオプ、ウエスカはコートジボワール人のドゥンビアとアンカーにはフィジカル的な強さとテクニックを併せ持つ選手を置き、またフォワードには逞しい選手を置き、基本的な陣容は似ているように思います。

 ハーフタイム、アップ中の武藤選手と乾選手。乾は、最後までベンチコートを着たままのようでした。ボール自体は蹴っていたので怪我などではないと思いますが……。

武藤が途中出場したものの……

 武藤が途中出場も、見せ場は作れませんでした。

エイバルのゴールシーン©Daisuke Nakashima

 試合はサイドからのクロスにウエスカのラファ・ミルが前で潰れ、後ろでフリーになったサンドロがゴール。残留に向け貴重なゴールでしたが、再開直後にエイバルの同点ゴールが生まれました。

©Daisuke Nakashima

 終了のホイッスルとともに天を見上げる武藤。残留を争う直接対決でしたが、その中で日本人選手が与える影響力はほとんどありませんでした。勝ち点1ずつを得た両チーム。上位に位置するエイバルにとって僅かに価値ある引き分けとなったか。

 現在、久保建英の所属するヘタフェを含めて、日本人選手が所属するリーガ1部クラブは残留争いの真っただ中にいます。彼らが存在感を発揮してチームに貢献する姿を、1枚でも多く収めたいと願っています。

文=中島大介

photograph by Daisuke Nakashima