メジャー1年目を迎えるレッドソックス澤村拓一が3月2日、始動した。ビザ取得の関係で渡米が遅れたため、バッテリー組からは約2週間遅れでキャンプに合流。翌日、早速ブルペンで投球を行ったとはいえ、既にオープン戦は始まっており、調整遅れは否定できない。それでも、巨人時代から人一倍トレーニングには熱心だった澤村に焦りはない。

「自分が求められている部分、評価されている部分を出したいです」

 合流直後、暫定的に付けていた背番号「22」を「19」に変更した。巨人だけでなく、レッドソックスでも先輩となる上原浩治が現役時代に背負っていた番号で、澤村の希望によるものだった。

「うれしいですね。身近にいる尊敬する方が背負っていた番号ですから光栄です」

 上原と言えば、レッドソックスのクローザーとして、'13年ワールドシリーズ制覇の立役者となったレジェンドの1人。本拠地フェンウェーパークの記者席には今も世界一の瞬間、歓喜の雄叫びを挙げる上原を写真入りで報じた地元紙の一面が飾られるなど、ボストンのファンから絶大な信頼を集めた。レッドソックスでは、上原だけでなく、過去に岡島秀樹、田澤純一ら日本人救援陣が実績を残しており、澤村への期待値も高い。

クローザーまで成長していきたい

 昨季、地区最下位に終わったレッドソックスはチーム防御率5.58(メジャー28位)で、投手陣再建を最大のテーマに掲げてきた。昨季9セーブのマット・バーンズに加えて、オフにはベテラン右腕アダム・オッタビーノを獲得したものの、クローザーは確定していない。アレックス・コーラ監督が「全員がいかに適応するか。9回だけでなく、7回、8回の投手を決めることも大切だ」と慎重に言葉を選んだように、NPB通算75セーブの実績を持つ澤村が有力候補の1人であることも間違いない。

 澤村自身、「チームが求めるところで投げるのは変わらない」と謙虚な姿勢を見せる一方で、クローザーについて「そのポジションまで成長していきたいです」と、意欲を隠そうとはしない。

 自らの立ち位置は、与えられるものではなく、その手でつかむもの――。

「ボストンに導いてくれた」という上原の魂を引き継ぎ、背中を追うように、澤村の挑戦が始まる。

文=四竈衛

photograph by Getty Images