スペシャルウィークやトウカイテイオーなどの有名競走馬を美少女化したスマホゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」が人気を博しています。競馬ファンは「最近聞くけれど、どんなゲーム?」「馬じゃなくて人なの?」と目を白黒させているのではないでしょうか。そこで同作の魅力を説明します。

2カ月足らずで500万DL 「月収100億円」とも……

「ウマ娘」は、実在の競走馬の名前と魂を受け継いだ美少女「ウマ娘」たちが、学園生活を送り、「日本ダービー」や「有馬記念」などのレースに挑むという内容です。プロジェクト自体は2016年に発表され、テレビアニメが2018年4〜6月と今年の1〜3月に放送されました。「ヤングジャンプ」でもマンガが連載されています。

トウカイテイオー(筆者が実際にプレーして撮影)

 要するに既に数年にわたり展開されているコンテンツなのですが、話題になったのが2月に配信を始めたスマホゲームです。事前登録も60万ありましたが、ゲームの出来の良さもあって、2カ月足らずで500万ダウンロードを記録。公式ツイッターのフォロワー数は70万を超えています。

 ゲームのヒットを受けて、同作を配信するサイゲームスの親会社サイバーエージェントの時価総額は1兆円を突破したし、スマホゲーム「ウマ娘」について「月収100億円」という額が報じられています。

・サイバー、初の時価総額1兆円 「ウマ娘」で収益成長期待(日本経済新聞)https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGD3178Q0R30C21A3000000/

 ヒットの理由ですが、元々アニメが放送されていたこともあり、メディアも説明に困っているのが現状です。スマホゲームの出来の良さゆえに口コミ的にネットで拡散。ネットメディアの記事や実況動画が後押しした……ということになりますが、スマホゲームでここまでのヒットになるとは、誰もが予想していなかったのではないでしょうか。

 では競馬ファンにとって「ウマ娘は面白いのか」と言うと「イエス」と断言できます。世界観に合わせて、ある程度のアレンジはされているわけですが、レースシーンのスピード感、出来映えは秀逸です。主観的に言えば「ダービースタリオン」や「ウイニングポスト」などの人気ゲームにも負けていません。

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その1)強い馬が勝つとは限らない

 1つ目のポイントは、強い馬が必ず勝つとは限らないことでしょう。実力があっても運悪く前がふさがって脚を余したり、枠順や馬場状態、展開次第では実力の劣る馬でも一発があります。もちろん出遅れ、かかることもあります。特に最後の直線の攻防は見応えがあり、差し、追込みが炸裂して、ゴール前での逆転が目につきます。

 オリジナルの馬を育てるのでなく、名馬の名前を冠した「ウマ娘」を育てるので、能力不足ということもありません。競馬ゲームでは、スピードなどの能力値が隠されていますが、「ウマ娘」では表示されていますし、訓練を積んだ分だけ能力は確実に上がります。つまりGIで戦う強い馬を作ることが容易なのです。

サイレンススズカ(筆者が実際にプレーして撮影)

 とはいえ、日本ダービーや天皇賞・春を勝つのは他のレースよりも大変ですし、三冠馬を育てたり、全勝のまま引退させようとすれば、それなりに手ごわいといえます。もちろん戦績も付くので、後から振り返ると感慨深いものがあります。

その2)トウカイテイオーが三冠馬… “リベンジ”ができる

 実在する競走馬の名前を冠した「ウマ娘」を育てるということは、トウカイテイオーやミホノブルボンを三冠馬にしたり、サイレンススズカで天皇賞・秋を制する「リベンジ」ができることを意味します。ゲームでは、実在のライバル関係に沿ったストーリーが展開しますから、競馬ファンの心を刺激します。

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その3)ドラマチックなエピソードが盛りだくさん

 もう1つのポイントは、モデルになった名馬のドラマチックなエピソードがふんだんに盛り込まれていることです。ビワハヤヒデであれば頭が大きく映ることを気にします。ダイワスカーレットは優等生という設定で、ウオッカは逆に自由奔放という感じでしょうか。競馬好きならニヤニヤできるでしょう。

 反面、ゲームとしての面白さを重視していますから、美少女の設定もそうですが、血統的な部分は重視されていません。例えば親子三代の天皇賞制覇とか、親子二代の無敗の三冠馬……という遊び方はできないのですね。

“競馬ファンだからこそ”楽しめるコンテンツ??

 つまり、競馬ファンがかつて経験したエピソードが再び燃え上がるのが「ウマ娘」の魅力と言えます。アニメの2期では、トウカイテイオーの有馬記念での復活が題材になっていましたし、ヤングジャンプの連載マンガでは、オグリキャップとタマモクロスが天皇賞・秋で激突するのもそうですね。

 結果は知っているのに、アニメやマンガ、ゲームを見て感情が揺さぶられる……というのは、やはりコンテンツ制作側が競馬を理解していることにつきます。競馬ファンであれば、「食わず嫌い」で終わるには、もったいないのは確かなのです。

 個人的には、スマホゲームをプレーして、サイレンススズカを選択、天皇賞・秋を制した後の感動のドラマは必見と言えます。

筆者が実際にプレーして撮影

文=河村鳴紘

photograph by © Cygames, Inc.