終息の兆しが見えないコロナ禍に、7割を超える東京五輪開催反対の世論……聖火リレーは始まったものの、こんな状況で本当にオリンピックはできるのか? 

 かつてない逆風が吹く中でNumber1025号「オリンピックの話をしよう。アスリート50人が語る東京五輪」では、東京五輪を目指す現役アスリートと歴代オリンピアンたちの声を届けるべく大特集を組んだ。

 開催まで約3カ月。彼らは今、何を思うのか。また、オリンピックとは一体いかなる舞台なのか。

 マラソン日本代表として五輪出場を決めている大迫傑は、「コロナ禍での五輪がどんなものになるかはわからない」と前置きした上で、こう語る。

「それぞれが葛藤を持つなかで、みんな自分なりのドラマとゴールを見つけて、自分なりの価値観を持って取り組み、突き進んできた。(中略)そのプロセスを多くの人と共有したいし、それが誰かの背中を押すきっかけになることがあれば、とても嬉しいと思っています」

 リオに続き東京でのオリンピック出場を目指す桐生祥秀も「東京オリンピックは今までのように全員が開催に賛成という雰囲気にはもうならないと思っています」と現状を把握しつつ「それでも僕は正直に、オリンピックに出場したい。自分がオリンピックの舞台で100mを走るんだという意気込みは変わりません」と胸のうちを明かした。

リオ五輪メダリスト「何のための東京五輪なのか」

 リオ五輪でバドミントン(シングルス)史上日本人初の銅メダルを獲得し、今年3月の全英オープンで優勝を飾った奥原希望は「目標は金メダル」と明確に口にしながらも、「今回の五輪は結果だけがゴールではない」という。

「これまで五輪はスポーツを楽しむためのものでしたが、コロナ禍で社会的問題などが一気に顕在化しました。開催するかしないかも含めて、こんなに議論が交わされたことがあったでしょうか。何のための五輪なのか。東京五輪はそれを見つめ直すいいタイミングだったのではないかとさえ感じています。そして私たちアスリートは、スポーツの価値を伝えるような試合を見せないといけない」

 同じくリオ五輪で銅メダルを獲得したカヌー界のパイオニア・羽根田卓也は、2021年に東京2020が開催される意義を「無形のレガシー」と表現した。

「スポーツという垣根、枠を超えて、人類の知見やノウハウを集めて、感染症を乗り越えてできることがレガシーになる。それは後世にも伝えられるのではないでしょうか」

文=Number編集部