2020年に続いて、今年も窮屈なゴールデンウイークになってしまった。そこで野球好き各位が楽しんでいただける記録ネタをご提供したい。題して「NPB本塁打番付」。

 NPB打者の本塁打数の上位5シーズン(2020年まで)を合計してランキングしてみた。

 昨年までで5年間の合計本塁打数が100本以上の選手は、169人いた。日本人選手が110人に対し、外国人選手は59人である。「外国人選手が予想以上に多いな」と思った。

 ご存じの通り、番付は「東西」に選手を振り分けることになる。何も考えずに大相撲の番付のように「東が西よりも半枚上」で並べていくことも可能だが、東西に何らかの「意味」を持たせる方が、番付は楽しい。

 セ・パ両リーグで分けることも考えたが、大杉勝男、落合博満、清原和博、小笠原道大のように両リーグで活躍した選手の扱いが難しくなる。出身地の東西で分けると、西日本出身選手が多くなるし、そもそも外国人選手の振り分けに困る。

 いろいろ考えて「日本人選手」を東、「外国人選手」を西に振り分けることにした。

 なお外国人は原則として「外国人枠」の選手に加え、「外国生まれ」の選手とした。

 基本は5年間の総本塁打数順だが、その下にその選手のシーズン最多本塁打を示した。総本塁打数が同数の場合、稼働年数やシーズン最多本塁打が多い方を上にした。両方の数字が同じ場合は、古い時代の選手を上にした。

野村克也、山本浩二ともに40本塁打以上4回!

 東の横綱は言わずと知れた王貞治。NPB史上最多の868本塁打だが、50本塁打以上3回、49本塁打が2回。本塁打王を15回も取っている。

 東の大関は本塁打史上2位、657本塁打の野村克也。50本塁打は1回だけだが、40本塁打以上を4回もマークしている。

1965年、MVPに輝いた時の野村(左)と王©JIJI PRESS

 王と野村は三冠王経験者だが、関脇は同じく三冠王の落合博満ではなく山本浩二。王貞治引退後のセ・リーグで掛布雅之とともに最強打者の座を争った広島のスラッガーだ。最多本塁打は44本塁打だが、40本塁打以上が5回。安定して好成績をたたき出したのだ。

 小結は落合博満。三冠王3回、50本塁打以上を2回記録しているが、40本塁打は他に1回だけだった。

西の横綱・大関が“バースじゃない”ワケ

 西の横綱は近鉄、巨人で活躍したタフィー・ローズ。長くNPB記録だった王貞治の記録に並ぶ55本塁打をはじめ40本塁打以上を7回記録。本塁打王4回、打点王3回。NPBで13年にわたって活躍した。

近鉄時代のローズ©Kazuaki Nishiyama

 続いて大関は西武、オリックス、ソフトバンクで活躍したアレックス・カブレラ。彼も王貞治に並ぶ55本塁打を記録。本塁打王、打点王各1回だが、NPBでは12年にわたって活躍した。

 関脇にタイロン・ウッズ。ローズ、カブレラはともにMLBでのプレー経験が多少なりともあるが、ウッズはマイナーで終わり、KBO(韓国プロ野球)を経て横浜に。のち中日に移籍し、本塁打王3回、打点王1回。NPBでは6年のキャリアだったが最終年も35本塁打を打った。

 小結はランディ・バース。三冠王2回、史上最強外国人の評価もあるが、打撃タイトルは三冠王を取った1985、86年だけ。活躍した期間は意外に短かったのだ。

85年、落合(右)とともに三冠王に輝いたバースだが、日本での“稼働期間”は意外と短かった©Yohei Maruyama

広くなった球場の中で中村、松井、松中は偉大

 東の前頭筆頭は現役の中村剛也。6回の本塁打王に輝く。すでにレジェンドだ。王貞治や野村が活躍した昭和時代、球場は両翼90m、中堅115m程度。中村が活躍している現代は両翼100m、中堅120m。飛距離100m以下の本塁打は地方球場以外では絶滅している。それを考えれば、この数字は偉大だと言えよう。

巨大化したスタジアムの中で中村剛也が残した数字は偉大だ©Shigeki Yamamoto

 そういう意味では前頭2枚目の松井秀喜、9枚目の中村紀洋、幕尻の松中信彦らも大きく評価されてよいものだろう。

 なお東の幕内には、田淵、門田、秋山、大杉、長池、掛布と一世を風靡したスラッガーが並んでいる。

 西の前頭筆頭はラルフ・ブライアント。来日時は中日でくすぶっていたが、近鉄に移籍してから大爆発した。本塁打王3回、打点王1回だが、1993年には史上最多の204三振を記録した超大型扇風機だった。

 2枚目は昨年までDeNAの監督で、外国人初の2000本安打を記録したアレックス・ラミレス。

 3枚目は2013年、ヤクルト時代に王貞治の記録を抜く60本塁打を記録したウラディミール・バレンティン。NPBのFA資格を有し、外国人枠を外れているが、ソフトバンク移籍後は不振が続いている。

 三冠王のブーマー・ウェルズは西の5枚目、現役では現ロッテのブランドン・レアードが9枚目につけている。レアードは今後、記録を更新する可能性があるだろう。

十両や幕下を見ていくと現役選手が出てくる

 東の十両幕下では、現役の山田哲人が十両4枚目。今季は久々に打撃好調で、今季の本塁打数は僚友の村上宗隆と競っているが、この数字を更新するかもしれない。

今季好調の山田哲人©Hideki Sugiyama

 すぐ下の5枚目に長嶋茂雄。長嶋は40本塁打を打ったことがない。本塁打王を2回とっているがいずれも20本台。チームメート王貞治の台頭で、本塁打王のレベルが上がってからはこのタイトルには無縁となった。

 西の十両幕下では、十両6枚目のトニー・ソレイタは4年でこの数字をたたき出した。「サモアの怪人」と呼ばれた日本ハムのスラッガーだった。

 幕下筆頭のウォーレン・クロマティはMLBでも1104安打したスター選手だったが、巨人でも大活躍。ランディ・バースと時代が重なったために1986年は打率.363をマークしながら首位打者になれなかった(89年に首位打者を獲得)。

山川、柳田、浅村、中田、ソトも今後に期待

 東の三段目以下では、働き盛りの現役選手が散見される。山川穂高、柳田悠岐、浅村栄斗、中田翔あたりはこれから本塁打数を伸ばしそうだ。

 西の三段目以下では、番付では一番下のネフタリ・ソトは2018年にDeNAに入団して3年で109本塁打。2年連続本塁打王にも輝いている。この選手も上位に上がってくるだろう。

 ということで番付表は以下のようになる。

5シーズン本塁打の番付©Kou Hiroo

 右側の東に漢字の名前がずらっとならび、左側の西はアルファベット、カタカナの名前が並ぶ。数字は東の方が多くて、ややアンバランスではあるが対比の妙としてはなかなか興味深い。

殿堂入り選手を見てみると明らかな違いが

 なお番付中央の下段には“番外編”として、この記録のMLB3傑も掲げた。

 1位はマーク・マグワイア。史上初めて70本塁打を記録。2位はマグワイアと本塁打を競ったサミー・ソーサ。そして3位にベーブ・ルースとなっている。

1998年、ソーサとマグワイアの本塁打量産に日米が熱狂したが……©Getty Images

 MLB記録の73本塁打を記録したバリー・ボンズは5年間では259本塁打。73本を打った2001年を除けば50本塁打以上打ったシーズンはない。

 マグワイア、ソーサ、ボンズは、薬物疑惑で騒がれた。つまり“オーガニック”な打者としては今もベーブ・ルースが1位だと言えよう。

 番付では「殿堂入り選手」を薄緑色で表示している。東にはたくさん薄緑色の選手がいるが、西は皆無。プロ野球の評価は本塁打だけではないが、外国人選手は、日本野球に豪快な魅力を付加してきた。そろそろ歴史的な評価をしてもらえれば――と筆者は願っている。

(外部サイトでご覧の方は関連記事より番付表をご覧になれます)

文=広尾晃

photograph by Koji Kakuta/Kou Hiroo