各球団の消化試合数は70試合を越えて、ペナントレース143試合の折り返し地点を越えた。セ・リーグは阪神が巨人に1.5差をつけて首位をキープしているが、3週間前は7差あったから、開幕からのアドバンテージがなくなりつつあると言えよう。パ・リーグは昨年の最下位だったオリックスが、ソフトバンク、ロッテ、楽天に4.5差をつけて首位に立っている。

 オリックスはチーム打率.258で1位、本塁打数76本も1位、防御率3.35はソフトバンクに次ぐ2位、チームとしての完封勝利数9も1位、投打ともに堂々たる成績だ。

 ただ、オリックスのリーグ優勝は、まだオリックス・ブルーウェーブ時代の1996年まで遡る。故・仰木彬監督の時代で若き日のイチローがプレーしていた。吸収合併した近鉄バファローズの歴史をたどれば梨田昌孝監督時代の2001年に優勝しているが、いずれにしても当時のメンバーはだれ一人残っていない。

オリックス−巨人で行われた1996年の日本シリーズ©Hideki Sugiyama

 ポストシーズン進出も2014年が最後。森脇浩司監督の時代だ。当時のメンバーとしてはT-岡田、安達了一、平野佳寿らがいるが、ペナントレースのつばぜり合いを経験した選手が少ないことが、これからネックになってくる可能性はあるだろう。

 オリックスは残り64試合、プレッシャーをはねのけて先頭でペナントレースのテープを切ることができるだろうか?

オリックス杉本は三冠王も狙える勢い

<6月28日から7月4日の両リーグ、投打の好成績選手>
〇パ・リーグ
打撃 ※RCは打撃の総合指標
杉本裕太郎(オ)21打9安3本7点 率.429 RC7.53
柳田悠岐(ソ)18打8安3点1盗 率.444 RC6.28
中村奨吾(ロ)16打7安1本8点2盗 率.438 RC5.76
中村剛也(西)18打7安2本2点 率.389 RC5.19
藤原恭大(ロ)8打5安1本1点2盗 率.625 RC4.68

 オリックスの杉本裕太郎は先週も24打数10安打1本塁打4打点、打率.417 RC7.86で1位だったが、今週も1位。猛烈な打棒が続いている。リーグ打率は僚友・吉田正尚に次ぐ2位、本塁打は1位、打点は2位、三冠王を狙う勢いだ。

 ソフトバンクの柳田は本塁打こそなかったが3二塁打を打つなど好調。ロッテの中村奨吾はリーグ最多の8打点をあげた。同じロッテの藤原は7月3日の楽天戦、4月20日以来の一軍試合出場で4打数2安打、翌日も5打数4安打と存在をアピール。2盗塁もソフトバンク三森大貴と並ぶリーグ最多をマークした。

投手 ※PRはリーグ防御率による総合指標
高橋光成(西)1登1勝 8回 率0.00 PR2.86
田嶋大樹(オ)1登1勝 7回 率0.00 PR2.50
山崎福也(オ)1登1勝 7回 率0.00 PR2.50
マルティネス(ソ)1登1勝 8回 率1.13 PR1.86
立野和明(日)1登1勝 5回 率0.00 PR1.79

 西武の高橋光成は8回零封。オリックスの田嶋大樹、山崎福也はともに7回零封。オリックスといえば山本由伸と宮城大弥に注目が集まりがちだが、他の先発投手もしっかりしている。

 日本ハムの2年目の立野は3度目の起用で5回零封と結果を出した。救援では39試合連続無失点記録を樹立した西武の平良海馬、日本ハムの杉浦稔大、ロッテの益田直也、オリックスの平野佳寿が2セーブを挙げている。

山口、メルセデス、ビエイラも好投

〇セ・リーグ
打撃
岡本和真(巨)18打8安3本7点0盗 率.444 RC7.24
オスナ(ヤ)24打12安0本2点1盗 率.500 RC5.92
鈴木誠也(広)20打6安3本8点0盗 率.300 RC5.86
梅野隆太郎(神)22打9安1本1点0盗 率.409 RC5.18
ビシエド(中)16打5安3本6点0盗 率.313 RC5.04

 各球団の4番が活躍した週と言える。

DeNA戦で24号を放った岡本©Kyodo News

 巨人、岡本和真が最多タイの3本塁打7打点、打率.444と好調だった。広島の鈴木誠也は3本塁打にリーグトップの8打点、中日のビシエドも3本塁打を放っている。

 盗塁は阪神の近本光司、巨人の丸佳浩にヤクルトの吉田大成が2盗塁でトップ。

投手
九里亜蓮(広)1登1勝 7.2回 率0.00 PR3.44
伊藤将司(神)1登1勝 7回 率0.00 PR3.14
小川泰弘(ヤ)1登1勝 9回 率1.00 PR3.04
山口俊(巨)1登1敗 8回 率1.13 PR2.59
メルセデス(巨)1登1勝 5.9回 率0.00 PR2.54

 広島の九里亜蓮は、6月30日の巨人戦で7.2回零封の好投。今季零封の試合は初めてだった。MLBから復帰して2試合目の巨人、山口俊はこの試合で九里と投げ合い、7回までノーヒットノーランだったが8回に打たれて敗戦投手となった。

 阪神の伊藤将司は7月3日の広島戦で7回零封で勝利。98球という少ない球数だった。救援では巨人のビエイラ、広島の栗林良吏が2セーブを挙げた。

岡本の成績をON、原、阿部、松井らと比べると

★今週の“ぴかイチ” ようやく打率が上向きになった巨人・岡本和真★

 筆者は巨人ファンではないが――ON時代、とりわけ王貞治の圧倒的な打棒を覚えているだけに「巨人の4番」には、それなりの重み、安定感のようなものが必要だと思っている。

 岡本和真は2018年に33本塁打100打点、打率.309をマークし、わずか22歳で「巨人の4番」として認められるに至った。

2016年の岡本和真©Hideki Sugiyama

 以後、2019年は31本塁打94打点、打率.265、2020年は31本塁打97打点、打率.275という記録を残した。昨年は本塁打王、打点王の二冠王だった。順調に成長しているという見方もできるだろうが、歴代の巨人4番打者と比較すると――どうしても物足りない。

 1936年のプロ野球開始以来、巨人で4番として1500打席以上立った打者は9人いる。これを4番における安打数順に並べるとこうなる。

川上哲治 1658試6420打2034安162本1129点 率.317

長嶋茂雄 1460試5396打1694安314本1075点 率.314

王貞治 1231試3994打1258安 392本1009点 率.315

原辰徳 1066試3940打1099安 255本729点 率.279

A.ラミレス 511試1978打610安 139本407点 率.308

阿部慎之助 505試1790打514安 97本343点 率.287

松井秀喜 470試1660打535安 138本349点 率.322

中島治康 410試1647打466安 34本266点 率.283

岡本和真 422試1606打437安 109本326点 率.272

原辰徳は川上、ONに次ぐ安打数をマークしている©BUNGEISHUNJU

 既に岡本和真は25歳の若さで巨人の歴代4番に列せられる存在ではある。

 坂本勇人は53試合しか4番を打っていないが、岡本はすでに422試合に4番打者として出場。109本塁打を打ち、本塁打数では阿部慎之助を抜いてはいる。しかし打率.272は、この中では最下位だ。捕手との兼業という激務だった阿部慎之助でも.287を残している。

安定感が求められる中で、好不調の波が大きい

 MLBなどでは近年、最強打者を4番ではなく2番に据えるチームも増えている。巨人も今季は最も調子が良いウィーラーを2番に置いている。4番は影が薄いように感じられるかもしれないが、4番打者は少々のことでは入れ替えることはせず、ポイントゲッターとして安定感ある成績を残すべきポジションだ。

 岡本は4番打者になってからも好不調の波が大きい。今季も3、4月は.234、ここ3年で月間打率が3割を超えたのは2020年9月(82打数27安打 率.329)、2019年8月(103打数31安打 率.301)の2回だけだ。

巨人時代の松井はハイアベレージでもあった©Naoya Sanuki

 4番打者に必要なのはアメリカでいう「RBIイーター(打点食い)」だろう。巨人の4番からヤンキースに移籍した松井秀喜の代名詞だが、巨人の4番時代の松井は打率.322をマークしている。

ホームランだけでなく、高打率で打点を稼げる打者に

 今週の岡本和真は18打数8安打3本塁打7打点、打率.444と好調だった。本塁打を打たないまでも、安打でチームに貢献するシーンが多く見られたが、この調子を続けて「三振か、ホームランか」ではなく、打点を狙い、高打率をマークする打者へと成長してほしいものだ。

打率でも数字が残れば岡本はまさに「巨人の4番」らしくなってくるだろう©Nanae Suzuki

<達成記録と記録予報>

記録予報
・2000試合
あと1 内川聖一(ヤ) これまで52人
・1500試合
あと1 坂口智隆(ヤ) これまで196人
ヤクルトの内川と坂口がそれぞれ節目の出場記録まであと1に迫った。

・300本塁打
あと4 松田宣浩(ソ)これまで43人
・200本塁打
あと4 内川聖一(ヤ) これまで110人
あと6 T-岡田(オ) これまで110人
・150本塁打
あと8 メヒア(西) これまで177人
・100本塁打
あと4 ロメロ(オ) これまで302人
あと7 宮崎敏郎(De) これまで302人
あと8 森友哉(西) これまで302人
・400二塁打
あと14 坂本勇人(巨) これまで13人
・350二塁打
あと9 中島宏之(巨) これまで46人
・300二塁打
あと5 青木宣親(ヤ) これまで73人
・300盗塁
あと1 糸井嘉男(神) これまで29人
あと2 西川遥輝(日) これまで29人
・250盗塁
あと7 大島洋平(中) これまで46人
・300犠打
あと5 菊池涼介(広) これまで7人
・1000四球
あと6 福留孝介(中) これまで15人

・500試合登板
あと7 石川雅規(ヤ)これまで102人
・150勝
あと8 和田毅(ソ)これまで49人
・100勝
あと1 西勇輝(神)これまで139人
あと9 則本昂大(楽)これまで139人
・150セーブ
あと6 増田達至(西)これまで16人
あと11 益田直也(ロ)これまで16人
・2000投球回
あと5 内海哲也(西)これまで91人

文=広尾晃

photograph by Nanae Suzuki