ラ・リーガの試合撮影などを精力的に行っている現地在住の日本人フォトグラファー中島大介氏。そのオリジナル写真を定期的に掲載している(※写真は関連記事からもご覧になれます)。

 久保建英が途中出場したマジョルカvsベティスの翌日、バルセロナへと戻ってバルサvsレアル・ソシエダを撮影した。久々に観客が戻ってきたカンプノウは、クラブにとっての象徴的存在だったリオネル・メッシが退団して初めての一戦となった。果たしてファンは、バルサはどのような雰囲気だったのか――。

年代も性別も違う”たくさんのメッシ”

 バルサの20-21シーズン初戦をカンプノウで撮影しました。相手はオリンピックで日本と対戦したスペイン代表メンバーを何名も抱えるレアル・ソシエダ。

 コロナ以降、カンプノウでは初めての有観客の試合になりました。奇しくもカンプ・ノウで行われた最後の有観客の試合は2020年3月7日のソシエダ戦でした。

 またこの試合は、バルサからメッシがいなくなってしまってから、最初の試合でもありました。人数規制はあるものの、ファンがどのような反応を示すのかにも興味を持って現場に向かいました。

 1年ぶりにカンプノウに入場したサポーター達。まず観客席からピッチを携帯で撮影する姿が多く見られました。

 また、10番メッシのユニホームを着ているファンも多く見つけることができました。基本的にはファンクラブに入会しているソシオから優先してチケットを購入することができたということで、結構年代物のユニを着ているようなファンや年配の方もいました。

 個人的には、もうメッシの存在しないスタジアムでの撮影なのだなと感傷的な部分もあったのですが、各シーズンの10番ユニホームを着た、年代も性別も違うたくさんのメッシを見ることができ嬉しかったです。

 メッシの退団や財政問題など就任早々渦中の人となっているラポルタ会長の姿もありました。

 両チームの入場シーン、入場者数2万400人ほどの発表でしたが、ここまでRAKUTENの文字が見えることは有観客ではありませんでした。

前半10分、コールにブーイングも…

 ソシエダのキャプテンは10番のオジャルサバル。東京オリンピックに出場した24歳で、日本とも対戦しました。ソシエダは試合開始から激しい前プレスをFWのポルトゥを中心にかけてきましたが、ピケも冷静に対処。なおバルサのキャプテンはブスケッツに受け継がれました。

 メッシの背番号に合わせ前半10分、会場からはメッシコールが。また、前会長バルトメウを揶揄するような声や現経営陣に向けたと思われるブーイングなども多少聞こえてきました。

 新加入のエリック・ガルシア。カンテラ育ちということもあってか、そつなくソシエダの攻撃を止めていました。

 前半19分、新加入メンフィスのフリーキックをピケが頭で合わせて先制点。メッシの契約交渉や、クラブの財政難から新加入選手のリーガへの登録ができていなかったことから、自身の給料を大幅に下げてクラブに協力をしていたという報道のあったピケが先制点を取ったことで、会場は大盛り上がりに。シーズンの開幕をファンの前で祝う選手たち。

 やはりここまで含めてのサッカーだなということを実感しました。とてもいいシーンでした。

ダビド・シルバの“ふわり”としたパス

 ブスケッツのプレスを受けながら、ふわりと浮かしたパスを相手の間に通すダビド・シルバ。相変わらずのスキルの高さを随所で見せました。一方でバルサの新加入メンフィスは、強さとしなやかさを併せ持ち、プレシーズン、この試合でも相手の意表をつくプレーで効果的に貢献しました。

 給水タイムのクーマン監督が試合後に言及していましたが、前半立ち上がりの30分はしばらく見ることのできなかった、最高のバルサでした。実際ここまでソシエダのチャンスらしいチャンスは撮影できませんでした。深い位置からの折り返しにもしっかりと対応したシーンが象徴的でした。

 コーナーでの激しいポジション争い。上手くエリック・ガルシアのマークを外し、デヨング側で勝負をしましたが、アリツ・エルストンドはしっかりとミートすることはできませんでした。

 オリンピック代表でも中盤でスペインの攻撃をオーガナイズしていたスビメンディですが、この試合ではなかなか前を向いてボールを持つことができていませんでした。オーバーエイジでオリンピックに出場したメリノに対して、デヨングが体を張って守備をするシーンも。

カンプノウ上空の美しい夕焼け

 20時キックオフの前半終了間際、スタジアム上空は夕焼けに覆われました。

 オフサイド判定になってしまいましたが、後ろからのフィードを反転しながら見事なトラップ、即座にグリーズマンへとパス。

 メンフィスの相手DFを欺くスキルフルなスルーパスに、ジョルディ・アルバが見事に反応。そこから鋭いボールを入れてブライスワイトのゴールを導きました。また昨シーズンからユーロ、オリンピックとノンストップの18歳のペドリはこの試合もフル出場を果たしました。

 メンフィスの後頭部には十字架でしょうか、デザインが入っていました。なおブライスワイトは放出候補と言われながら、この試合でも先発し2得点1アシスト。信頼を勝ち取れるか。

メッシ不在の影響はいかに

 83分、ブスケッツに変わって出場したのは19歳のニコ。オジャルサバルの激しいプレスにも臆することなくボールを運びました。

 85分、オジャルサバルの見事なFKは弧を描いてサイドネットに突き刺さりました。ソシエダは0-3から2-3と追い上げましたが、時すでに遅しでした。

 90分にお役目御免のメンフィス。スタンドからの声援と拍手にウィンクで応えていました。これまでのところ、新加入とは思えない存在感を放っており、バルサ躍進のキーマンになりそうです。

 ソシエダに追い上げられたバルサでしたが、セルジ・ロベルトが追加点を奪い試合を終わらせました。アシストのブライスワイトだけでなく、交代後ベンチに戻る途中のメンフィスも喜びに加わりました。

 メッシ後のバルサの初撮影でしたが、むしろ組織的な攻撃、守備ができていたように思います。ただ本当のメッシの不在の影響の大きさは、リーガでの上位チームとのゲームやCLでの戦いで問われてくるのかなと思います。

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文=中島大介

photograph by Daisuke Nakashima