ラ・リーガの試合撮影などを精力的に行っている現地在住の日本人フォトグラファー中島大介氏。中島氏が撮った久保建英らの活躍やオリジナル写真を定期的に掲載している。スペイン直送の熱を写真を通してぜひ味わってほしい。

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 リーガ5節、RCDマジョルカvsビジャレアルCFの一戦を撮影するため、マジョルカを訪れました。

 昨季所属していたビジャレアルを相手に、またエメリ監督の前で久保がどのようなプレーを見せるのかに注目して撮影に臨みました。

 試合前、スタジアムまで乗ったタクシーの運転手はサルバ・セビージャが好きだという、サポーター歴の長いベテランでした。試合の時間は「もちろん一休みして試合を見るよ」とのこと。そして久保に対する印象について……。

《タケか、まだちょっと細いけど、tiki takaして良い選手だよ。マジョルカの次はレアル・マドリーが好きなんだけど、それでもメッシのプレーを見るのは好きなんだよ。驚くような事をするだろ。

 タケにもそんなプレーを期待している。子供達もとても注目している。それに、開幕した時は胸スポンサーが付いていなかったけど、日本のスポンサーがついてくれた。

 それもタケのおかげだよ。》

 と、こんな感じでサッカー談義をしてくれました。

子供サポが「KUBO、ユニちょうだい!」

 スタジアムと試合の写真を見ていきましょう。チュッパチャプスを舐めながら選手たちを見つめる子供サポーター。《KUBO、ユニフォームちょうだい!》というメッセージをかかげる子供ファンもいました。

 ビジャレアルの元同僚たちとのハグ。スタッフなどとも親しげに話をしていました。

 両チームの監督。ルイス・ガルシアは、試合中以外だと、とても柔和な表情の方です。

 序盤からビジャレアルの波状攻撃を受け、体を張って必死の守備に追われました。ワントップに入り、ビジャレアルから加入のニーニョにボールを繋げようとしたものの、スペイン代表DFパウ・トーレスを前に、前線に起点を作ることができません。

久保が水分補給をしようとすると……

 プレーが切れて久保が水分補給をしようとした際、サブのホアン・サストレがすかさずボトルを手渡したのが印象に残りました。昇格組ながらしっかりと勝ち点を重ねている、チーム状況の良さが現れているように感じました。

 右サイドにポジションを取った久保と、試合を通してバチバチとやりあう事となったエクアドル代表のエストゥピニャン。序盤は、ボールの入ったエストゥピニャンにプレスをかけるなど、久保が守備に追われる展開が多くなりました。

 また久保への単純なスルーパスに対しては、エストゥピニャンが走力で上回る場面が見られました。

 サイドでパスを受け、縦への突破を図る久保。いつもなら相手を置き去りにできるタイミングでしたが、左サイドバックも対応してきます。

 マジョルカのルイス・ガルシア監督が試合後会見で「最初の15分間は苦しみ、20分間で3回もシステムを変更した」と話したように、ビジャレアルを崩すことができない状況に、久保は頭の中で必死で状況を整理し、打開策を生み出そうとしていました。

 マジョルカの攻めのターンも、大半がハーフラインよりも下の自陣からのスタートになってしまい、相手ゴールまでなかなか攻めあがることができませんでした。

 アジアマーケットを意識して、と言われる14時開催となったこの日も非常に暑く、給水タイムが取られました。ビジャレアルの選手たちがポジションに戻ろうとする中で、必死に監督からの戦術が伝えられていました。

 ボールカットから、相手をかわしてボールを運ぶ久保。徐々にエストゥピニャンを攻略する時間が増えてきました。両監督がテクニカルエリアで見つめる中、ボールを展開する場面もありました。

久保のラストパスで最大の決定機を作ったが

 給水タイム後、前線からプレスをかけ始めたマジョルカに、チャンスが増え始めました。後半も序盤は守備ブロックを敷き、給水タイム後に前線からプレスに行く戦術を取っていたことからも、格上のビジャレアルに対して、前後半それぞれ最後の15分ずつに攻勢をかけていたようです。

 久保と縦関係でコンビを組む右サイドバックのマフェオが負傷交代。久保がかなり寄って激しくプレスをかけますが、ビジャレアルはしっかりボールをつないでいきます。この夏のコパ・アメリカでベストイレブンを獲得したエストゥピニャンの実力も伊達ではないです。

 前半終盤、徐々に久保が攻撃面で存在感を出してきました。

 マジョルカはフェル・ニーニョの高さを武器としてFKに臨みますが、ビジャレアルの守備陣もしっかりマークを怠りませんでした。

 0−0が続く中で久保がサイドから中にボールを運びながら、フリーで走りこんできたダニ・ロドリゲスにパス。ダイレクトでシュートを狙うも、わずかにクロスバーの上に外れました。しっかり視線は前を向き、状況を把握してこの日最大の決定機を創出しましたが……。

サイドハーフ起用だと守備に追われる時間も

 逆に久保は、欲しいタイミングでパスをもらえず、ジェスチャーを交えてチームメートに要求していきます。相手に押し込まれる場面が多くなるマジョルカでのサイドハーフ起用は、守備に追われる時間も増えてしまいます。できればトップ下で出場し、どんどんボールが回ってくる展開を期待したいところです。

 相手を出し抜き、サルバ・セビージャからのパスを受けて駆け上がる久保。遅れてきたエストピニャンに倒されながらパスを出したものの、足を踏まれてしまいます。意図的ではなかったようには見えましたが、危険なシーンでした。

 この前の週にCLを戦ったビジャレアルはダニ・パレホなど先発要員をローテーションで休ませていましたが、後半10分過ぎに一気に4枚替えをして勝負に出てきました。

 その間には、久保はババと激しく修正点のすり合わせをしています。そのボランチのババですが、昨季のEL優勝を経て、さらにチーム力を高めてきたビジャレアル相手にも、ボール奪取やボールを散らすなど存分に力を発揮しました。

 途中出場のアメリカ代表ホッペと久保がパウ・トーレスにプレスをかけますが、2人の間を割って駆け上がられてしまいました。高さに加え、足元も上手く常に冷静でした。

久保が起点となってゴールネットを揺らしたが……

 久保のパスから、サルバ・セビージャがシュートを放つ場面もありました。

 3人のDFを前に切り返して右足でシュートを狙いましたが、ブロックにあって弾かれてしまいました。

 味方のクリア気味のボールを久保が冷静にコントロールした後、3人が囲みに来ますが、左足でわずかにボールを動かしてパスコースを作ると、右足でそのままパスを出しカウンター攻撃に繋ぎます。最終的に歯ホッペがゴールネットを揺らしましたが、わずかにオフサイド判定になりました。

ビジャレアル時代ライバルの18歳へのリスペクト

 試合終盤になると《バモス、タケ》という、久保にマジョルカの勝利を託す声援が多く聞こえてきました。そして久保は再度シュートを狙っていきます。ここでも久保は右足でシュートを選択しましたが、ビジャレアル側もしっかり久保に左にカットインさせないよう対応しているようです。

 ホッペとのパス交換でゴールに迫りますが、ビジャレアルも久保には人数をかけ激しく潰しにきます。

 ビジャレアル時代のライバルでもある18歳のピノに激しく倒されました。その後、手を合わせていくシーンでは、プレーは激しく、それでもしっかりとお互いがリスペクトしあっている様子が伝わってきました。

 アディショナルタイムに入り交代の久保。次節は平日開催のレアル・マドリー戦です。試合間隔が短くなっていますが、先発メンバーなど、監督の采配にも注目して写真に収めていきます。

文=中島大介

photograph by Daisuke Nakashima