大半のチームで残り試合は30試合を切った。パ・リーグでは22日にもロッテにマジックが点灯しそうな様相である。

 一方でセ・リーグではヤクルトの塩見泰隆が9月18日の巨人戦で、サイクル安打を達成した。NPB史上76人目、セ・リーグ41人目。今季は8月25日のDeNAのルーキー牧秀悟に続いて2人目。ヤクルトとしては、国鉄時代も通じて7人目である。

若松・池山・稲葉・山田……スワローズとサイクル安打

 過去の達成選手を見ていこう。〇は国鉄スワローズ。※は現役。

町田行彦(1959.7.26中日戦)〇
中安・左3・左2・中安・左本
若松勉(1976.7.9中日戦)
右本・左飛・右安・右3・左2
池山隆寛(1990.8.23中日戦)
中本・二安・右2・右3
ハウエル(1992.7.29広島戦)
右安・右2・中本・右3
稲葉篤紀(2003.7.1横浜戦)
右3・右本・右安・右2
山田哲人(2018.7.9巨人戦)※
左安・四球・左本・左2・右3
塩見泰隆(2021.9.18巨人戦)※
右安・右3・右本・左2・三振・三振

ヤクルト時代の稲葉篤紀 ©Koji Asakura

 いずれもヤクルト球史を彩った強打者ぞろいだ。

 塩見はJX-ENEOSから2017年のドラフト4位で入団した28歳。4年目にして大記録を達成した。入団時から即戦力として期待されたが、今年初めて規定打席に到達。打率.297と3割打者も目前だ。盗塁もリーグ3位の20を記録している。

 今季のヤクルトの躍進には、1番に塩見が定着したことも大きい。

塩見は今季ヤクルトのトップバッターに定着した ©Hideki Sugiyama

 なお塩見は4打席でサイクル安打を達成したが、残る2打席を連続三振。これは初めての記録である。今季、セ・リーグの最多三振は阪神、佐藤輝明の151だが、塩見はそれに続き116。四球はわずか37。1番打者としては、確実性を高めることが課題になるだろう。

<9月13日から9月20日の両リーグ、投打の好成績選手>
〇パ・リーグ
打撃 ※RCは打撃の総合指標
デスパイネ(ソ)17打9安2本3点 率.529 RC7.90
浅村栄斗(楽)18打6安2本4点 率.333 RC4.90
荻野貴司(ロ)20打7安2盗 率.350 RC4.88
宗佑磨(オ)22打8安1点 率.364 RC4.17
森友哉(西)18打5安2点 率.278 RC3.97

 ソフトバンクのデスパイネは今季、東京五輪予選のためにキューバに帰ったがこの時に左肩を負傷、帰国後も不振だったものの、ここへ来て復調している。

 ロッテのリードオフマン荻野は引き続き好調をキープし、9月の月間打率は.323。オリックスでは2番を打つことが多い宗が、吉田正尚不在の中で、穴を埋めている。

 本塁打はデスパイネとオリックスT-岡田、紅林弘太郎の2本塁打が最多。打点はオリックスのモヤとロッテのレアードの5打点が最多。盗塁はロッテ荻野の2が最多となっている。

投手 ※PRはリーグ防御率による総合指標
小島和哉(ロ)1登1勝 9回 率0.00 PR2.47
山本由伸(オ)1登1勝 8回 率0.00 PR2.20
瀧中瞭太(楽)1登1勝 7回 率0.00 PR1.92
石川歩(ロ)1登1勝 6回 率0.00 PR1.65
則本昂大(楽)1登 6回 率0.00 PR1.65
バーヘイゲン(日)1登1勝 6回 率0.00 PR1.65

 先週はリーグ防御率が2.47と極端な投高だったが、先発で6回以上を投げて零封した投手が6人出た。

 ロッテの小島は9月19日の日本ハム戦でプロ初完封勝利。オリックスの山本は18日の西武戦で8回零封勝利。後半戦、5試合に先発して40回を投げて自責点わずかに2、防御率0.45という驚異的な安定感だ。

 楽天の瀧中は9月8日に再昇格以降、2試合連続で零封し2勝。終盤になって戦力アップに貢献している。救援投手ではロッテの益田直也ら5投手が2セーブ、同じくロッテの国吉佑樹が2ホールドを挙げた。

ヤクルト投手陣は小川、奥川、清水が好投した

〇セ・リーグ
打撃
塩見泰隆(ヤ)27打13安2本10点1盗 率.481 RC9.90
坂本勇人(巨)19打9安4本10点 率.474 RC9.14
桑原将志(De)22打9安3本4点 率.409 RC6.45
牧秀悟(De)19打7安2本5点 率.368 RC5.08
糸原健斗(神)13打7安2点 率.538 RC5.02

 ヤクルトは7試合を戦ったが、塩見は6試合で安打を打ち、18日のサイクル安打を含めて4試合連続でマルチ安打と絶好調だった。

 巨人の坂本は、9月15日のDeNA戦から4試合で4本塁打。ベテランのここへ来ての好調は頼もしい。新人の牧も打率.368と再び上り調子。本塁打は坂本の4本塁打、打点は塩見と坂本の10打点がトップ。

投手
ロメロ(De)2登2勝 16.1回 率1.10 PR4.28
小川泰弘(ヤ)1登1勝 7.2回 率0.00 PR2.95
高橋遥人(神)1登1勝 7回 率0.00 PR2.69
今永昇太(De)1登1勝 9回 率1.00 PR2.46
菅野智之(巨)1登1勝 7回 率1.29 PR1.69
大野雄大(中)1登1敗 7回 率1.29 PR1.69
大瀬良大地(広)1登 7回 率1.29 PR1.69
奥川恭伸(ヤ)1登1勝 7回 率1.29 PR1.69

 今季5月に登録されたDeNAのフェルナンド・ロメロが9月14日の巨人戦と20日の中日戦に先発し、それぞれ7.1回自責点2、9回完封で週間2勝を挙げた。週1回のローテが当たり前になっている昨今のNPBでは珍しい。同じくDeNAの今永は19日の中日戦で9回自責点1で完投勝利をマークした。

 巨人の菅野、中日の大野、広島の大瀬良、ヤクルト奥川が7回自責点1の好投を見せた。救援ではヤクルトの清水昇が4ホールドを挙げている。

2年前の甲子園ヒーロー奥川もいよいよ本格化の気配がある ©Hideki Sugiyama

清原、松井、張本、王を上回る大記録

★今週の《ぴかイチ》怪童から大打者に、村上宗隆の進境★

 記録更新は間違いないだろうと思われていたが、ヤクルトの村上宗隆が100本塁打を21歳7カ月の史上最年少で達成した(100本塁打は史上303人目)。

<100本塁打最年少10傑 達成試合と最終本塁打数>※は現役。9月20日時点
村上宗隆/ヤクルト(2021.9.19広島戦)
21歳7カ月/100本※
清原和博/西武(1989.6.4ダイエー戦)
21歳9カ月/525本
中西太/西鉄(1955.8.4近鉄戦)
22歳3カ月/244本
松井秀喜/巨人(1997.4.27広島戦)
22歳10カ月/332本
張本勲/東映(1963.7.7西鉄戦)
23歳0カ月/504本
王貞治/巨人(1963.7.28広島戦)
23歳2カ月/868本
豊田泰光/西鉄(1958.6.28南海戦)
23歳4カ月/263本
土井正博/近鉄(1967.5.28南海戦)
23歳5カ月/465本
掛布雅之/阪神(1979.4.21大洋戦)
23歳11カ月/349本
山田哲人/ヤクルト(2016.7.10中日戦)
23歳11カ月/242本※

2016年の山田哲人 ©Hideki Sugiyama

 最年少10傑は全員が高卒で入団した打者である。大卒で入団した選手は1年目に23歳になってしまうから、というのが絶対的な理由である。大卒選手では阪急・長池徳二の25歳7カ月が最短だ。なお100本塁打を打つまでに要した試合数は、近鉄ブライアントの246試合を筆頭に、上位5人までは外国人選手だ。

清宮の外れ1位で入団以降、順調に力を伸ばした

 日本人選手に限れば、所要試合数10傑は以下のようになる。

山川穂高/西武(2019.5.12日本ハム戦)
321試合/170本※
秋山幸二/西武(1987.5.26日本ハム戦)
351試合/437本
別当薫/毎日(1951.5.15南海戦)
374試合/155本
村上宗隆/ヤクルト(2021.9.19広島戦)
379試合/100本※
清原和博/西武(1989.6.4ダイエー戦)
423試合/525本
田淵幸一/阪神(1973.4.26巨人戦)
424試合/474本
中西太/西鉄(1955.8.4近鉄戦)
438試合/244本
長池徳二/阪急(1969.9.27ロッテ戦)
444試合/338本
落合博満/ロッテ(1983.8.31阪急戦)
450試合/510本
原辰徳/巨人(1984.7.3ヤクルト戦)
453試合/382本

 村上は歴代4位になる。

九州学院時代の村上 ©Hideki Sugiyama

 村上宗隆は2018年、早実の清宮幸太郎の外れ1位でヤクルトに入団。1年目はほとんど二軍暮らしだったが、2年目の2019年から中軸に固定され、首脳陣の期待に違わぬ活躍をしてきた。

 村上には山川穂高同様、本塁打王を何度も獲るようなスラッガーへの期待がかかるが、それだけでなく打率も打点も稼げる総合的な強打者になる期待もできる。

総合的な強打者への成長が期待できる“数値”とは

 その期待は四球数を三振数で割った「BB/K」という数値を見ると裏付けられる。この3年間の数字の推移を見てみよう。

2019年 0.402(74四球/184三振)
2020年 0.757(87四球/115三振)
2021年 0.832(84四球/101三振)

 三振数が減り、四球が相対的に増えている。「三振は本塁打のコスト」であり、ある程度数字がかさむのは仕方がないが、本当に怖い打者は“本塁打が出なかったとしても出塁できる打者”だ。「BB/K」の数値は、村上の選球眼も向上していることを示している。

選球眼も向上し、大打者への一歩を歩んでいる ©Hideki Sugiyama

 2018年のオフに台湾で行われた「アジアウインターリーグ」で、村上はイースタン選抜の中軸をロッテの安田尚憲、楽天の岩見正紀とともに組んで大活躍し、台湾のスポーツ紙面をにぎわした。

 当時の村上の写真を見ると、今よりも腰回りが重たい印象がある。身長・体重は188cm、97kgで変わらないが、より引き締まった体形になったのではないかと推測される。

 村上は21日のDeNA戦でも初回に36号の満塁本塁打を放った。

21日のDeNA戦で満塁ホームランを放った村上 ©Kyodo News

 通算500本塁打以上をめざしてほしいが、それと同時に2000安打、打率3割、さらにはNPBでは9人しか達成していない1500打点も目指して、息の長い活躍をしてほしい。

達成記録と記録予報

達成記録
・100本塁打
村上宗隆(ヤ)9月19日広島戦 303人目

記録予報
・2000試合
あと15 福留孝介(中)これまで53人
・1000試合
あと14 明石健志(ソ)これまで512人
・300本塁打
あと1 松田宣浩(ソ)これまで43人
・250本塁打
あと8 山田哲人(ヤ)これまで65人
・200本塁打
あと1 T-岡田(オ) これまで110人
あと4 内川聖一(ヤ) これまで110人
あと7 レアード(ロ) これまで110人
・100本塁打
あと2 宮崎敏郎(De) これまで303人
あと8 森友哉(西) これまで303人
・400二塁打
あと4 坂本勇人(巨) これまで13人
・350二塁打
あと7 中島宏之(巨) これまで46人
・250盗塁
あと1 大島洋平(中) これまで46人
・300犠打
あと5 菊池涼介(広) これまで7人
・250犠打
あと7 中島卓也(日) これまで20人
・100死球
あと5 鈴木大地(楽) これまで22人
・1500三振
あと13 松田宣浩(ソ) これまで13人

・500試合登板
あと2 石川雅規(ヤ)これまで102人
・150勝
あと7 和田毅(ソ)これまで49人
・100勝
あと6 則本昂大(楽)これまで140人
・150セーブ
あと6 増田達至(西)これまで17人
・2000投球回
あと5 内海哲也(西)これまで91人

文=広尾晃

photograph by JIJI PRESS