東京オリンピックによるブレークがあったために、例年よりも少し長いシーズンになっているがそれでもシーズンはあと1カ月となった。

 今季の観客動員は12球団合わせて637万8382人(1試合平均8847人)。2020年は482万3578人(1試合平均6699人)だから約20%の増加だが、2019年は2653万6962人(1試合平均3万929人)だったことを踏まえると、2020年は75%減、2021年でも69%減である。

 もともと12球団の財政は、1試合2万人以上を動員することを前提に組まれていたので、球団経営はこの2年で厳しくなったはずだ。

 客席の応援スタイルも変わったし、球場内の物販も厳しい制限を受けている。この状況が3年目も続くかどうかは、12球団の経営に大きく関わってくるはずだ。

 ファンもこの2シーズン、間隔の空いた客席で静かに試合を見る観戦スタイルが身についた。大声をあげたり、ハイタッチしたり、風船を飛ばしたりする従来の野球の楽しみ方に戻るにはしばらく時間がかかるかもしれない。球団や選手だけでなくファンも「プロ野球の応援の仕方」を考えるべき時が来ているのだろう。

9月21日から9月26日の両リーグ、投打の好成績選手

 〇パ・リーグ
 打撃 ※RCは打撃の総合指標
 近藤健介(日)15打8安2本4点 率.533 RC8.52
 宗佑磨(オ)17打6安1本2点 率.353 RC5.00
 佐藤都志也(ロ)14打7安3点 率.500 RC4.90
 森友哉(西)18打7安1本1点1盗 率.389 RC4.79
 栗原陵矢(ソ)18打5安2本2点 率.278 RC4.38

 オリックスの主軸・吉田正尚が26日の楽天戦で一軍復帰した一方で、ロッテはレオニス・マーティンが9月19日の日本ハム戦で右足に自打球を当てて登録抹消。最終盤で明暗が逆転した。オリックスは宗佑磨が1二塁打2三塁打1本塁打の活躍。一方のロッテも2年目の佐藤都志也が「打てる捕手」として殊勲打を連発。チームのピンチは若手選手にとってはチャンスになるのだ。

 本塁打は日本ハムの近藤、ソフトバンク栗原、リチャード、西武・中村剛也、岸潤一郎の2本、打点はロッテ藤岡裕大の5打点、盗塁は楽天の山崎剛の2が最多だった。

 投手 ※PRはリーグ防御率による総合指標
 マルティネス(ソ)1登1勝 7回 率0.00 PR2.25
 上沢直之(日)1登1勝 8回 率1.13 PR1.57
 竹安大知(オ)1登 4.2回 率0.00 PR1.50
 千賀滉大(ソ)1登1勝 7.2回 率1.17 PR1.46
 宋家豪(楽)4登2S 1H 4回 率0.00 PR1.28

 ソフトバンクのマルティネスは23日のロッテ戦で7回零封。日本ハムの上沢は24日のソフトバンク戦で8回自責点1の好投を見せ、3年ぶりとなる2けた勝利をマークした。

 オリックスの竹安は西勇輝の人的補償で阪神から移籍した右腕。26日の楽天戦で5回2死まで無失点で、勝ち星こそ得られなかったものの、チームに貢献した。

 松井裕樹の戦線離脱の後を受けてクローザーに抜擢された宋家豪は、2セーブ1ホールド。最多セーブは復活したソフトバンクの森唯斗が3セーブである。

カープ打線は小園、鈴木誠也が週間打率4割超

 〇セ・リーグ
 打撃
 村上宗隆(ヤ)23打8安3本8点 率.348 RC6.53
 小園海斗(広)27打13安1本3点1盗 率.481 RC6.15
 山田哲人(ヤ)18打7安3本8点 率.389 RC6.13
 オースティン(De)22打8安1本7点 率.364 RC6.01
 鈴木誠也(広)19打8安5点 率.421 RC5.91

 ヤクルトは9月13日に中日に0-1で負けてから8勝4引き分けと負けなし。この原動力が村上、山田らの打撃陣だ。この2人だけでなく塩見泰隆が打率.370、西浦直亨も.333と好調を維持している。なお村上、山田の3本塁打8打点はリーグ最多。広島は小園が打率.481、鈴木誠也が.421と当たっている。盗塁は阪神・中野拓夢の2盗塁が最も多かった。

 投手
 高橋遥人(神)1登1勝 9回 率0.00 PR3.15
 床田寛樹(広)1登1勝 9回 率0.00 PR3.15
 ロドリゲス(中)1登 7.2回 率0.00 PR2.68
 戸郷翔征(巨)1登1勝 7回 率0.00 PR2.45
 高梨裕稔(ヤ)1登1勝 7回 率0.00 PR2.45

 阪神の高橋と広島の床田がともにプロ入り初の完封勝利を挙げた。中日のロドリゲスは25日のヤクルト戦で8回1死までノーヒットノーラン。今季未勝利ながら計算できる投手になっている。救援ではヤクルトのマクガフが3セーブ、同じく清水昇と中日の祖父江大輔が3ホールドを挙げた。

五輪での全試合登板が影響するどころか……

★今週の《ピカいち》 新人で圧倒的なクローザーになった広島、栗林良吏★

トヨタ自動車時代の栗林 ©Kyodo News

 広島の栗林良吏は昨年、トヨタ自動車からドラフト1位で入団。新人でいきなりクローザーに抜擢され、期待に違わぬ活躍を見せている。

©JMPA

 東京オリンピックでも侍ジャパンのクローザーとして投げ、5登板で2勝3セーブと圧倒的な活躍だった。筆者は五輪での全試合登板が、その後のペナントレースの成績に影響しないかと危惧したが……。

 前半戦(3〜7月)34試合0勝1敗18S 0H 33.2回 率0.54
 後半戦(8〜9月)8試合0勝0敗8S 0H 8回 率0.00

 佐々岡監督は、後半戦は栗林に無理をさせず、登板間隔を空けて起用したが、登板した8試合をすべて零封して8セーブ。クオリティを維持している。

 セーブ記録はチームの勝敗と連動している。どれだけ好投しても味方が勝たなければ、セーブはつかない。セ・リーグでは阪神のスアレスが34セーブ、栗林は26セーブで2位。ここからの逆転でのタイトル獲得はかなり厳しい。

42登板で失点したのは2試合、ともに1失点のみ

 しかし、投球内容で見ると栗林は抜群の数字を残している。

<セ6球団・主なクローザーの投手成績>
 スアレス(神)51試1勝1敗34S 0H 50.1回 率1.43
 栗林良吏(広)42試0勝1敗26S 0H 41.2回 率0.43
 マクガフ(ヤ)53試2勝1敗23S 14H 51.2回 率2.61
 三嶋一輝(De)52試1勝5敗21S 1H 49.2回 率3.99
 R・マルティネス(中)40試0勝3敗19S 0H 39.1回 率2.06
 ビエイラ(巨)48試0勝1敗16S 1H 48回 率2.63

 防御率も素晴らしいが、零封した試合数を比較すると、栗林のすごさが際立ってくる。以下は零封した試合/登板試合数。セーブシチュエーション以外の試合も含む。

 スアレス(神)47零封/51登板 零封率92.2%
 栗林良吏(広)40零封/42登板 零封率95.2%
 マクガフ(ヤ)45零封/53登板 零封率84.9%
 三嶋一輝(De)41零封/52登板 零封率78.8%
 R・マルティネス(中)36零封/40登板 零封率90.0%
 ビエイラ(巨)41零封/48登板 零封率85.4%

 栗林は2試合で失点しただけ。しかも2試合とも失点は「1」。他のクローザーが2点以上失点した試合がある中で、ほぼ完璧に近い投球内容だった。

新人王・山崎康晃と与田の成績はどうだった?

 今後の活躍次第で、栗林は30セーブに到達する可能性がある。新人での30セーブ以上はこれまで2人いる。

©NanaeSuzuki

 2015年 山崎康晃(De)58試2勝4敗37S 56.1回 率1.92
 1990年 与田剛(中)50試4勝5敗31S 88.1回 率3.26

©Naoya Sanuki

 2人はともに新人王に輝いている。

 なお新人で最多セーブを記録した選手はいない。ただ連盟表彰が「セーブポイント(SP=セーブ数+救援勝利)」だった2004年までには、1990年の与田剛が35SP(31S+4勝)、2004年のダイエー三瀬幸司が32SP(28S+4勝、日本ハム横山道哉と同数でタイトルを分け合う)で「最優秀救援投手」のタイトルを獲得している。

2021年の新人王争いは大激戦だが……

 栗林には盗塁王を狙う阪神の中野拓夢や、強打のDeNA牧秀悟など強力なライバルがいるので新人王はまだ微妙なところだが、山崎、与田と比べても投球内容は上回っていると言えよう。

 ただ新人で30セーブを記録した2人は、与田(2セーブ/防御率3.18)、山崎(33セーブ/防御率3.59)と翌年成績を落としている。

 新人クローザーとして、古今屈指の成績を上げた栗林。来季以降も活躍できるかどうか、注目したい。

達成記録と記録予報

<記録予報>
 ・2000試合
 あと11 福留孝介(中)これまで53人

 今季中の2000試合達成が見えてきた。地味ながらも長らく現役生活を続けてきたという面で、2000安打に匹敵する大記録だ。

 ・1000試合
 あと14 明石健志(ソ)これまで512人
 ・300本塁打
 あと1 松田宣浩(ソ)これまで43人
 ・250本塁打
 あと5 山田哲人(ヤ)これまで65人
 ・200本塁打
 あと1 T-岡田(オ) これまで110人
 あと4 内川聖一(ヤ) これまで110人
 あと6 レアード(ロ) これまで110人
 ・100本塁打
 あと1 宮崎敏郎(De) これまで304人
 あと7 森友哉(西) これまで304人
 ・400二塁打
 あと2 坂本勇人(巨) これまで13人
 ・350二塁打
 あと7 中島宏之(巨) これまで46人
 ・250盗塁
 あと1 大島洋平(中) これまで46人
 ・300犠打
 あと5 菊池涼介(広) これまで7人
 ・250犠打
 あと7 中島卓也(日) これまで20人
 ・100死球
 あと5 鈴木大地(楽) これまで22人
 ・1500三振
 あと12 松田宣浩(ソ) これまで13人
 ・500試合登板
 あと1 石川雅規(ヤ)これまで102人
 ・150勝
 あと7 和田毅(ソ)これまで49人
 ・100勝
 あと5 則本昂大(楽)これまで140人
 ・150セーブ
 あと6 増田達至(西)これまで17人
 ・2000投球回
 あと5 内海哲也(西)これまで91人

文=広尾晃

photograph by Sankei Shimbun