ラ・リーガの試合撮影などを精力的に行っている現地在住の日本人フォトグラファー中島大介氏。中島氏が撮った久保建英らの活躍やオリジナル写真を定期的に掲載している。スペイン直送の熱を写真を通してぜひ味わってほしい。

 久保は負傷で前半限りでの交代になってしまったものの、イ・カンインのゴールに絡んだ一戦。マドリーにおける久保のライバルとなるアセンシオ、ビニシウスらのプレーもカメラ越しに追ってもらった。

久保にとって初のベルナベウは改装中だった

 リーガ6節、レアル・マドリーvsマジョルカ戦を撮影するため、スペインの首都マドリードを訪れました。久保にとっては、前節ビジャレアルとの熱戦から中2日、自身の保有元となるマドリーのホームスタジアム、サンティアゴ・ベルナベウに乗り込んでの試合となりました。

©Daisuke nakashima ©Daisuke nakashima

 現在改修工事中だというのが一目瞭然のスタジアム外観。また内部からも、屋根の部分が工事されていることや、1階席がシートで覆われていたり、改修中ということが伝わってきます。平日開催のこの日のキックオフは22時。まだ光量が落とされたスタジアムと、日が落ちた直後の空模様が相まって神秘的な雰囲気でした。

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 リーガ3シーズン目となる久保にとって、初のベルナベウでのプレーになります。

 特段変わった様子はなく、時折笑顔を浮かべながらのアップ風景でした。ただこの日は両チーム、中2日で迎える試合とあって、ローテーションでメンバーを変更してきました。特にマジョルカは選手層の薄さもあり、今季初先発の選手や、B登録の選手なども多く、マドリーを相手に不安を感じる陣容でした。

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 審判を先頭に両チームが入場。現在スペイン・カナリア諸島のラ・パルマ島にて火山の噴火による大きな被害が出ており、被災者に向けたエールのメッセージが掲げられました。ちなみに先発メンバー発表の際、スタジアムに久保の名がアナウンスされると、ベルナベウのサポーターから拍手が送られていました。

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 試合開始から3分、リーガ初出場となるマジョルカDFガヤがスリップした際に、ベンゼマがボールを奪い、そのままGKと1対1になったところを冷静にボールを流し込み、先制点を奪いました。

鮮やかなコントロールからシュートまでいったが

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 失点からの再開直後のシーンでは、久保へのロングボールをジャンプしながらコントロールすると、目測を誤ったマドリー左サイドバックのグティエレスをそのままかわして一気に加速。左足でシュートまでもっていったものの、枠はとらえきれず。久保は悔しがっていました。

 先日発売されたNumberの欧州蹴球名鑑2021-2022で確認すると、グティエレスも久保と同年生まれの20歳のプレイヤーです。同ポジションには、バイエルンから新加入のアラバ、メンディ、マルセロと層が厚い中で、どこまで出場機会を伸ばしていくかは注目です。

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 右サイドで出場した久保のポジションには、マドリーから見て左サイドのビニシウス、グティエレスに加え、ベンゼマも流れてきます。そのため、久保もディフェンスラインに落ちざるを得ないタイミングもあり、攻守に運動量を求められます。

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 ビニシウスのシュートフェイント1つだけで、マジョルカのDF3人を反応してしまっているのがよく分かるシーンもありました。

イ・カンインと“話し合い”からゴール

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 マドリーの攻勢が続く中、マジョルカも久保が絡んだパス交換からゴール前に迫る場面もありました。久保もシュートコースに走りこみますが、ここはラゴがシュートを選びました。

 なお守備面では久保の“縦切り”に対して、マドリーは中にカットインしてボールを展開していきます。前節のビジャレアルもそうですが、上位チームではDFラインでもしっかりボールを展開していきます。

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 ビニシウスが最終ラインまで戻った久保と、サストレの間にできたわずかな隙間にノールックでスルーパス。走り込んだロドリゴのパスをアセンシオが決めて2-0とリードを広げました。

 この日、初の日韓同時先発となった久保とイ・カンインが言葉を交わす場面も。マドリーを前に上手く機能できていないもどかしさが伝わってきます。

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 失点からの再開直後、久保が縦に入れたボールを受けたホッペがワンタッチでイ・カンインへとパス。そのままボールを持ち上がったイ・カンインがゴール。この時点で1点のビハインド、喜ぶ間もなく、ボールを持ち帰りました。

ベンゼマとの接触シーン直後に痛そうな表情を

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 最終ラインで久保がボールをカット、そのまま持ち運びます。パスを奪われたベンゼマが必死に追いかけ、ボールを奪い返しにきたところで、接触がありました。激しい接触には見えませんでしたが……その直後から、久保は右膝に痛みを感じているようでした。

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 マジョルカのゴールから4分後、あっさりとアセンシオにこの日2ゴール目を奪われ点差を開かれます。同点に追いつこうとするタイミングでの失点に、久保は天を見上げて大きく息をつきました。

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 前半終了間際、久保からのクロスをホッペとナチョが競り合います。遅れたナチョの頭がホッペの頭部に入ります。試合はそのまま続きますが、クルトワが心配して試合を止めさせました。その間にも、久保とイ・カンインがコミュニケーションを取っています。

ビニシウス、アセンシオらが貫禄のプレー

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 マドリーに目を移すと……何かとドリブル突破が注目されるビニシウスですが、DFからの激しいチャージにもしっかりボールを収め、中の動き出しを作るようなプレーもこの日は見受けられました。

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 前半終了とともにピッチを後にした久保ですが、ベンゼマとの接触後も激しくプレーを続けていました。それだけに負傷の状態が気がかりですが……。

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 ハーフタイムにもピッチコンディションを整備します。後半もマドリーの攻勢が続きました。

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 後半に入ってからはマドリーの強さが目立つ展開となりました。開始から5分、サイドからのパスをベンゼマが流し込みますが、VARによって取り消されます。

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この日ハットトリックのアセンシオと、ゴール・アシスト両面でチームに貢献する、絶好調のビニシウス。

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 ウルグアイ代表バルベルデの突破、マジョルカ守備陣の激しいマークに倒されながらもゴールを狙うロドリゴ。ベンゼマのお膳立てからゴールを挙げるアセンシオと、CLが控える過密日程の中でそれぞれが力を見せつけました。

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 意図的かどうか分かりませんでしたが、最終ラインからのロングボールに対して、ベンゼマが2人の屈強なDFに挟まれた状態で背中でコントロール。そのままゴールに流し込んで5−1。その直後、お役御免でスタンディングオベーションの中ピッチを後にしました。

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 DFライン裏に出されたボールが簡単にビニシウスに繋がります。6点目のイスコのゴールをアシスト。今季5ゴールという結果を出しているので、無理にシュートにいかずパスを選択するなど、良さを引き出しています。ペナルティエリア内でもボールをコントロールしつつ余裕を見せていたのが印象的でした。

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 最後までマドリーの猛攻は続き、途中出場のヨビッチもゴールを狙い、マジョルカはなんとか体を張って守るという状態でした。結局、6−1で大勝したマドリー。他の選手がロッカーに戻る中、守護神のクルトワはグラウンドを1周してファンに感謝を伝えていました。

文=中島大介

photograph by Daisuke Nakashima