雑誌「Sports Graphic Number」と「NumberWeb」に掲載された記事のなかから、トップアスリートや指導者たちの「名言」を紹介します。今回は「2021年の打者・大谷翔平」にまつわる3つの言葉です。

<名言1>
今年、このまま順調にいけば、おそらくキャリアハイの数字は残ると思いますし、逆に言えばそれがこれからの自分の基準になるんじゃないですかね。
(大谷翔平/NumberWeb 2021年9月10日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/849727

◇解説◇
 大谷翔平の輝かしい2021シーズンのクライマックスは、絵になる先頭打者ホームランだった。日本時間4日(現地時間3日)に行われたマリナーズ戦で大谷は「1番・指名打者」で先発出場。プレイボールの声がかかるやいなや、相手先発アンダーソンのカットボールを打ち抜き、打球速度182kmの弾丸ライナーでライトスタンドに放り込んだ。

大谷の第46号ソロ本塁打 ©Getty Images

 最終的に本塁打王を分け合ったぺレス(ロイヤルズ)とゲレーロJr.(ブルージェイズ)の48本に2本及ばなかったものの、日本人シーズン最多本塁打となる「46本」、そして2007年の松井秀喜氏以来となる100打点も達成した。

 今シーズンの打者としての最終成績は以下の通り。カッコ内はア・リーグ内での順位。

打率.257 46本塁打(3位) 100打点(13位)
26盗塁(5位) 8三塁打(1位) OPS.965(2位)

 驚愕の数字ばかりである。

26盗塁、8つの三塁打と走力でも恐るべきスタッツを残した ©Nanae Suzuki

 本塁打王3回に輝いた経験を持つカージナルスのアレナドも「確実にア・リーグのMVPだろうね。ブラディ(ゲレーロJr.)もすごい活躍をしているけど、大谷は投打両方でとんでもない活躍をしているんだから、大谷が選ばれるべきだよ」と語るほどである。

 冒頭の言葉は9月に「Number」のインタビューに答えた際のもの。9勝2敗、防御率3.18、156奪三振という投手成績を含めてこれだけの成績を「基準」とすること自体が規格外だが、大谷の潜在能力であれば……と早くも2022年に期待が高まるばかりだ。

 何しろ、チームメートも「ショウヘイに不可能はない」と言っているのだから。

ホームランを打って、101マイルを投げるなんて

<名言2>
彼は間違いなく「ユニコーン」だ。
(ジャレッド・ウオルシュ/NumberWeb 2021年4月19日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/847804

◇解説◇
「ホームランを打って、101マイルを投げるなんて信じられないね」(マイク・トラウト)
「彼はメジャーにいながらリトルリーグでプレーしているようだ」(マックス・スタッシ)

メジャー最強打者トラウトとも仲睦まじい様子 ©Nanae Suzuki

 エンゼルスのチームメートから絶賛の嵐である大谷。そんな彼を想像上の生き物にたとえたのは、同じく二刀流経験のあるウオルシュだった。

「クラブハウスでの日々の立ち振る舞いは尊敬に値するほど素晴らしい。115マイルもの力強い打球を放ち、100マイル以上のボールを投げることは、肉体的に大きな負担がかかる。投打への集中力を同時に保つことも同様。本当に難しいことなんだ」

 そんなウオルシュだが、トラウトらの負傷離脱などで弱体化した打線にあって、打率.277、29本塁打98打点、OPS.850と大谷に次ぐ好成績を残した。来シーズンはトラウトらの復帰とともに、シーズン終盤戦に四球攻めにあった「ユニコーン」の大谷をバックアップするようなウオルシュの打棒炸裂を見たいところだ。

<名言3>
フットボールは週1度、バスケットボールは3度。それに対して、ほとんど毎日プレーしている選手。さらに投げて、打っている。それは本当に難しいこと。過小評価されるべきではないくらい、もの凄いこと。
(ジョー・マドン/NumberWeb 2021年7月18日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/848898

◇解説◇
 大谷に対する称賛は、メジャーリーグにとどまらない。NBAのケビン・デュラントは現地で観戦したほど夢中に。またアメフトのNFLで最優秀守備選手に3度輝くなどのスーパースター、J.J.ワットも「多くの人がショウヘイ・オオタニについて話題に挙げていると思うが、まだ足りない。彼が野球界でやっていることは、驚異的」と称したほどだ。

「それを、他競技のスター選手達が、認識出来ているのは、非常にいいことだ」

来季こそ“ポストシーズンでの翔タイム”を

 指揮官であるマドン監督が嬉しそうにコメントしたのは、競技の枠を超えてアスリートとして評価されているからだろう。アメフト、バスケともに身体接触があるタフな競技である。ただ、投手・打者として連日出場する大谷の体力やコンディション管理については、デュラントもワットも感銘を受けたのだろう。

©Getty Images

 なおマドン監督は弱小だったレイズを、ア・リーグ東地区でヤンキースやレッドソックスと伍するまでにした策士でもある。大谷の二刀流を確立した2021年を経て、来シーズンこそエンゼルスを強化し、大谷がポストシーズンで輝く姿もぜひ見せてほしい。 <投手編に続く>

文=NumberWeb編集部

photograph by Nanae Suzuki