ラ・リーガやヨーロッパサッカーの試合撮影を精力的に行っている現地在住の日本人フォトグラファー中島大介氏。そのオリジナル写真を定期的に掲載している。今回は柴崎岳と岡崎慎司の「バチバチだった日本人対決」をファインダー越しに追ってもらった。

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 11月2日、ラ・リーガ2部、レガネスvsカルタヘナ戦を撮影にマドリードに向かいました。

 柴崎擁するレガネスは、昨季昇格をかけたプレーオフまで勝ち残ったチームですが、今季は成績不振で降格圏に位置し、今節は新監督が就任して迎える試合でした。新体制の下で先発メンバーのチョイスに注目していましたが、柴崎は引き続きの先発でした。

 また、カルタヘナには今シーズンから岡崎が所属しています。ここ数試合、先発からは外れていましたが、この試合では先発メンバーに入り、両者先発での日本人対決となりました。

お互いの姿を見つけた柴崎・岡崎が笑みを浮かべて

 柴崎、岡崎とも先発グループでアップをスタート。レガネスのポゼッション練習では、柴崎はピンクのビブスを着けてフリーマンとなり、試合に向けての準備を進めていきました。また、新監督の元での初戦ということもあり、緊張感が感じられました。

 キックオフ直前になって小雨が降り始めますが、チームマスコットが子供サポーターと写真撮影で会場の雰囲気を盛り上げる場面も。

 ほどなく両チーム選手入場。柴崎はデポルティボ・ラコルーニャ時代の同僚ダビド・シモンと再会と健闘を祝いハグしていましたが、後ろに岡崎を見つけると……両者の顔に笑みが浮かんでいました。

 レガネス新監督のナフティはアップの際に、コートのまま選手の間近でハッパをかけていました。監督が自らピッチの上で指示を出すのはあまり見かけることではなく、この試合への意気込みが感じられました。その中でボランチで出場の柴崎は、自陣の低い位置からゲームを組み立てようとする意図と動きが見られました。

 新監督での初陣を良い形で入りたかったレガネスですが――前半10分過ぎのこと。カルタヘナの岡崎が絡んだ組み立てから、ペナルティーボックス内でのクロスへの競り合いでDFの肘が顔に入ったのがVARによって確認されました。これでレガネスはPKを与えてしまい、早くも不穏な空気が流れます。カルタヘナは得たPKを9番オルトゥニョーが流し込み、カルタヘナが先制点をゲットしました。

岡崎vs柴崎の競り合いが何度も見られた

 2トップの一角として出場した岡崎は裏への抜け出しなど、積極的にボールを受けに走ります。

 レガネスとしては先制されたこともあり、柴崎もゴール前に走り込みますが、なかなか良いタイミングでボールが回ってこない時間帯もありました。

 ポジションが右寄りの岡崎と左寄りの柴崎で噛み合い、この試合中は何度も競り合う姿が見られました。このシーンでは、プレスバックに来る岡崎をひらりと反転してかわすと、狙いすました見事なクロスを入れましたが、FWフアン・ムニョスがコントロールしきれませんでした。

 一方でレガネスのプレースキックはほとんど柴崎が務めていました。コーナーキックに向かう姿も写真に収めることができました。

 前半の中盤に入るとレガネスが攻勢を強めていく展開に。左サイドで柴崎、20番ハビ、17番エラソとつないだボールを右サイドからゴール前に走り込んだフェデ・ビコが押し込み、レガネスが同点に追いつきます。

 ゴールを確認してガッツポーズの柴崎と、コアサポーターの前で歓喜するレガネスの選手たち。そこに柴崎も遅れて歓喜の輪に入ります。その後、左サイドでコンビを組むアルナイスと話し合う姿も。

 岡崎にボールが入り、攻撃のスイッチを入れようとした瞬間に柴崎が走り寄ります。ルイス・ペレアとともに岡崎を潰しました。ただしレガネスの立場から見ると、現在の順位で格上のカルタヘナ相手にポゼッション、ゴールチャンスでも互角以上の戦いを見せていましたが、フォワードが決め切ることができない印象でした。

 その後、DFの裏に抜け出した岡崎が見事なファーストタッチから、豪快なシュートでネットを揺らしましたが、オフサイド判定。岡崎もすぐさま線審の判定を確認して悔しそうな表情でしたが、実際はかなり微妙な判定だったため、VARにて確認が取られたものの、判定は変わらず。

 その直後、サイドからのクロスを岡崎のプレスがDFのミスを誘発してオウンゴールと思われましたが、またもやオフサイドが取られました。

 岡崎の精力的な動きがカルタヘナに勢いを与える中で、前半終盤には柴崎も前線で起点となってクロス、スルーパス、FKでチャンスを作っていました。

岡崎vs柴崎、ユニを引っ張ったような感じなのは……

 後半キックオフ、味方からの指示を聞く岡崎。その後、彼のプレースタイルらしく、前線から激しくプレッシャーをかけていく姿も。

 レガネスDFラインから柴崎へのパスコースを切りながらプレス。また柴崎にパスが入ると、柴崎に対してもプレスをかけていました。

 なおカルタヘナのCKでのシーンですが、岡崎のマークには柴崎がついており、ユニフォームを引っ張るようなシーンもありました。

 最後までDFにプレスをかけ続けた岡崎でしたが、72分にピッチを後にしました。前述したようにオフサイドによってゴールが取り消されるシーンもありましたが、オフィシャルではシュート0本となり、フォワードとしては一抹の物足りなさも感じさせる結果に終わりました。

柴崎が激しい肉弾戦を見せる場面も

 終盤になると、かなり雨脚が強くなってきました。フル出場の柴崎は最後まで守備面、攻撃面両方でボールに絡んでいきましたが、ゴールには結びつかず、そのまま1−1のドローに終わりました。

 レガネスの面々は新監督のもとでの初戦を勝利で飾れず肩を落としていました。その中で柴崎は、ダビド・シモンと再度言葉を交わしていました。

 平日開催という事で21時15分にキックオフされたこの試合でしたが、携帯の温度計では11度、強い雨脚に冷たい風も吹き、体感では凍えそうな中での撮影でしたが、まさに日本人対決という、直接両者がバチバチとやりあう見応えのある熱い試合でした。

文=中島大介

photograph by Daisuke Nakashima