2021年、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。メジャーリーグ部門の第1位は、こちら!(初公開日 2021年11月18日/肩書などはすべて当時)。

「大谷はクローザーにすべきでは?」彼はそんな意見を真っ向から否定する。'10年代にメジャー最多の161勝を挙げた“マッド・マックス”が先発・大谷を語る。

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 誰もが認めるメジャー最高峰の投手、マックス・シャーザー。今年のオールスターではナ・リーグで自身4度目のスターター(先発)を務め、投手・大谷と投げ合い、そして打者・大谷と対峙した。まずは2球でセカンドゴロに打ち取った、打者・大谷の印象を訊いてみた。

オールスターでの打者・大谷 ©Getty Images

「ハハハ、そんなに多くはないね(笑)。ただ、打席ではいつもよりカッターをしっかり投げないといけない、とは思っていた。完璧に投げ切らないと、長打にされてしまうからね。運よく打ち取れて良かったよ」

両方できるのはクレイジーというしかない

 シャーザーが所属するドジャースはDH制のないナ・リーグのため、彼はシーズン中の試合でバットを握ることも多い。

「僕も打席に立つのは大好きなんだ。バッティングをすることで、ピッチャーとしてバランスの取れた状態を保つことができる。ただ、大谷がア・リーグでやっているのは凄いことだ。ピッチングだけでも相当な負担がかかるから、両方できるのはクレイジーというしかない。信じられないほどのアスリートしか、あんなことはできないよ」

 彼は中4日で投げ続けるためのコンディションを保つことに人一倍の努力を続けてきた。だからこそ今年の大谷が二刀流での出場を続けていることに驚きを隠さない。

打者として出場しながら、投手としての調整も怠らない ©Nanae Suzuki

「スターターは、可能な限りフレッシュな状態を保つために、自分のルーティンを持っていなくちゃいけない。僕の場合は登板の合間のウェイトだね。身体に負担をかけることで、肉体をメンテナンスしている。僕はそんな感じだけど、大谷には二刀流を可能にするためのルーティンがあるだろうね。それをシーズン通してやり抜こうとしてるんだから、怪物だよ、ホント。2カ月やそこらじゃない。夏場も越えてシーズン中、コンディションを維持して最高のパフォーマンスを見せることがいかに難しいか、みんな理解していないんだ」

 奪三振率の高い大谷に対して「将来はクローザーになるべきだ」という意見がある。つまり、DHとして4、5回打席に立ったあと、最終回はマウンドに上がって試合を締める、というものだ。

「そのシナリオは、僕も耳にしたことがある。でも、大谷は現実にスターターとバッターを両立してるってことを考えてほしいな。スターターを務めながら二刀流をしていることには、とてつもない価値がある。スターターはチームの大黒柱であって、最高の投手なんだ。長いイニングを投げて、勝利をもたらすスターターをどのチームも望んでいる。僕らがイニングを投げれば投げるほど、ブルペンをフレッシュに保つことができるし、その分チームを勢いづかせることができる。これはとても重要なことなんだ」

大谷は二刀流であり続けることは可能なのか

 メジャーでは、フィールドプレーヤーが中継ぎとしてマウンドに立つことも珍しくなくなっている。今後、大谷の影響で若いアスリートが二刀流に挑む可能性もある。シャーザーの目に、この状況はどう映っているのだろうか。

「たとえば外野手でも一塁手でも、肩が良ければ短いイニングを投げられるかもしれない。彼らが1、2イニングでも凌いでくれたら、その分ブルペンが休むことができる。トップクラスの中継ぎじゃなくていいし、試合終盤である必要もない。メジャーで1イニングでも投げられる才能と能力がある選手がいるなら、チームには本来ブルペンにいないピッチャーが控えていることになる。チーム戦略の観点から言っても、大学で二刀流だった選手は、重要な中継ぎになる可能性があると思う」

 今年37歳のシャーザーはキャリアで大きな怪我をすることなく、昨年まで12年連続で規定投球回に達したメジャー屈指のスターターである。今年も12勝(9月1日現在)と、いまだ衰えはみせていない。大谷が彼の年齢までスターターで、そして二刀流であり続けることは可能なのだろうか。

投打の両方でベースボールの頂点に立った男が現実に

©Nanae Suzuki

「もし大谷の身体がもたなくなったら……、うーん、そうだな、もしかするとチームがリリーフという選択肢をとるかもしれない。ただ、その場合はスターターとしてはもう投げられない、というのが大前提になる。そう、残された問題はどこまで耐えられるかなんだ。彼がこれから何シーズンも今の二刀流を繰り返すことができるのかどうか……僕は大谷がずっとスターターとして二刀流を続けることを願っているよ。一人の野球ファンとして、本当にずっと見ていたい。今、目の前にあるのは子どもの夢じゃない。投打の両方でベースボールの頂点に立った男が現実にいるんだ。楽しくないはずがない。だって次に彼が何をしてくれるのか、誰にもわからないんだからね」

 スターターとしての誇りを全身に漲らせた鉄腕は、インタビューを終えると、再びトレーニングに戻っていった。

2021年​ メジャーリーグ部門 BEST5


1位:「オオタニに残された問題はどこまで…」最強投手シャーザーが明かす《二刀流・大谷翔平への率直な評価》とは
https://number.bunshun.jp/articles/-/851320

2位:大谷翔平にエンゼルス監督、チームメイトが抱いた“畏敬の念”「野球史上最高の選手と一緒に戦っている」 大谷だけが持つ“特別な能力”とは?
https://number.bunshun.jp/articles/-/851319

3位:《単独インタビュー》大谷翔平27歳が語る“完璧だったピッチング”「僕の全盛期は小6くらいのときだったので(笑)」
https://number.bunshun.jp/articles/-/851318

4位:大谷翔平のグッズが“バカ売れ”でエンゼルスのストア担当者もビックリ…「イチ押し大谷翔平MVPグッズ・ベスト5」を聞いてみた
https://number.bunshun.jp/articles/-/851317

5位:大谷翔平を一番近くで支える通訳・水原一平が明かす“ウラ側”「9月の頭は元気がなかった」「翔平の前で甘いモノは絶対に食べません」
https://number.bunshun.jp/articles/-/851316

文=ブラッド・レフトン

photograph by Nanae Suzuki/Getty Images