競馬をやっていると1年経つのが早い。アッと言う間に2022年となった。今年最初の当コラムでは、12月28日の開催をもって終了した2021年の中央競馬を、10大ニュース風に振り返ってみたい。

10位〜7位 ソダシブームに、名馬たちの有終の美…

第10位 オジュウチョウサンの復活V

 暮れの中山大障害(J・GI)をオジュウチョウサン(牡、美浦・和田正一郎厩舎)が優勝。前年の中山グランドジャンプ(J・GI)を最後に勝利から見放されていたが、約1年8カ月ぶりに先頭でゴールを駆け抜けた。

 これで同馬は障害GIを8勝目。今後に関しては明言されていないが、輝きを取り戻した現在の良い状態で惜しまれてターフを去るのか、はたまた現役を続行するのか。または再び平地に参戦というウルトラCがあるのか、その動向に注目したい。

中山大障害で復活優勝を果たしたオジュウチョウサン ©Satoshi Hiramatsu

第9位 JRA初女性騎手ワンツースリー

 4月17日、1回新潟競馬3日目の第7レース、4歳以上500万条件を優勝したのは3番人気のクラウンデザイアー。騎乗したのは古川奈穂騎手だった。

 このレース、2着には藤田菜七子騎手騎乗の2番人気馬キムケンドリーム、3着は永島まなみ騎手騎乗で8番人気のモノポリーアイズが入り、JRA史上初めて女性騎手のワンツースリーで決着した。今後はこのような結果が増え、ゆくゆくは別段取り上げる必要もない普通の事になるのを期待したい。

8位 ソダシブーム

 一昨年の阪神ジュベナイルフィリーズを制し、白毛馬として初めて芝のGI馬となったソダシ(牝、栗東・須貝尚介厩舎)が健在。クラシック第1弾の桜花賞を優勝した。

 その後、札幌記念(GII)ではラヴズオンリーユーを破って勝利。他のGIでは勝てなかったもののオークス(GI、8着)と秋華賞(GI、10着)でいずれも1番人気、またダートのチャンピオンズC(GI)にも挑戦(12着)するなど通年で真っ白な馬体は話題を振り撒き続けた。

7位 コントレイル、グランアレグリアら有終の美飾る

 クロノジェネシス(牝、栗東・斉藤崇史厩舎)ら名馬が相次いで引退したが、コントレイル(牡、栗東・矢作芳人厩舎)とグランアレグリア(牝、美浦・藤沢和雄厩舎)はラストランを勝利で飾った。

 コントレイルはジャパンC(GI)が現役最後の1戦。1番人気に応え2着のオーソリティらに勝利。一昨年の菊花賞以来となる5つ目のGIタイトルを手にし、レース直後に引退式を行った。

 また、グランアレグリアはマイルチャンピオンシップで6度目のGI制覇。歴史的名マイラーの座を確かなモノにしてターフを去った。

マイルCSにて有終の美を飾ったグランアレグリア ©Photostud

 他にもラヴズオンリーユー(牝、栗東・矢作芳人厩舎)は渡航先の香港で香港カップ(GI)を優勝。有終の美を飾った。

6位〜4位 GI3勝の名馬、今年もリーディングのアノ騎手

6位 蛯名正義騎手引退

 蛯名正義騎手は一昨年の調教師試験に合格。21年2月28日をもって鞭を置いたため、ニュースとしては新鮮味に欠けるため6位としたが、彼の実績を考えれば本来ならトップにしてもおかしくない事件である。

 1987年、美浦の矢野進厩舎からデビュー。2001年には133勝を挙げて全国リーディングを獲得。アパパネとの牝馬三冠などGI26勝を含むJRA通算2541勝の他、エルコンドルパサーとのコンビで制したサンクルー大賞典(GI、フランス)や2度の凱旋門賞(GI)2着などの好騎乗がある。

1998年のジャパンCで優勝した際の蛯名正義とエルコンドルパサー ©Keiji Ishikawa

 今年の3月には新規調教師として厩舎を開業する予定。名手の引退は残念だがこれからは同期の武豊騎手とのタッグが見られる事を期待しよう。

5位 ルメール騎手5年連続リーディング

 C・ルメール騎手が5年連続でのリーディングジョッキーを獲得。前年の204勝や自身が持つJRA記録の215勝には及ばなかったもののナント2度目となる199勝をマークした。

 また、グランアレグリアによるヴィクトリアマイルやマイルチャンピオンシップ、クロノジェネシスとのタッグで制した宝塚記念などJRAのGIを5勝。通年の勝ち鞍だけでなく、大舞台での活躍も目立ち、質量共に素晴らしい成績を残してみせた。

4位 エフフォーリア3歳で天皇賞などGI3勝

 皐月賞を制したエフフォーリア(牡、美浦・鹿戸雄一厩舎)が秋には古馬相手にも大活躍を披露。

 天皇賞・秋では前年の無敗の三冠馬コントレイルや最強マイラー・グランアレグリアを寄せ付けず。直後の香港カップで“ラヴズオンリーユーに勝つか?”という走りを披露するヒシイグアスにも圧倒的な差をつけて先頭でゴールイン。シンボリクリスエス以来、実に19年ぶりとなる3歳馬による天皇賞・秋優勝という偉業を達成した。

 更に続く有馬記念(GI)ではグランプリ4連覇を目指して出走してきたディフェンディングチャンピオンのクロノジェネシスにも圧勝してみせた。

有馬記念を制し、今年GI3勝を挙げたエフフォーリア ©Kiichi Matsumoto

 これで通算成績は7戦6勝。昨年1年に限っても5戦4勝で唯一の敗戦がハナ差で敗れた日本ダービーのみ。当時の勝ち馬シャフリヤールには共同通信杯(GIII)で勝っており、昨年のJRAで主役を張った1頭なのは間違いないだろう。

2021年の競馬界「トップ3」のニュースは?

3位 ラヴズオンリーユー、BCなど海外3勝

 ラヴズオンリーユーがグローバルな活躍を展開した。日本では19年のオークスが唯一のGI勝利という彼女だが、昨年は香港でクイーンエリザベスII世カップ(GI)と香港カップ(GI)を、また、アメリカではブリーダーズCフィリーアンドメアターフ(GI)を優勝。日本調教馬として史上初めて1年間のうちに海外GIを3度も制すという偉業を成し遂げてみせた。

 GI実績に劣るマイシスターナットやヒシイグアスが2着した事からSNSを中心に「相手に恵まれた」という声も上がったそうだが、大陸を渡り歩きながら勝利するのが偉業である事には疑いようがない。そもそもそのようなトライをしなければ掌中におさめられない成果であるのは間違いなく、そういう意味で矢作芳人調教師とそのスタッフの努力は高い評価を受けて良いだろう。

 ©AFLO

2位 世界のダート戦線で1、2着

 まずは春、チュウワウィザード(牡、栗東・大久保龍志厩舎)がドバイワールドカップ(GI)で2着に好走した。オールウェザー時代はヴィクトワールピサが優勝した事もある同レースだが、ダート戦としては01年のトゥザヴィクトリー以来となる日本調教馬の連対。芝は中距離戦を中心に日本馬が充分に世界の舞台で渡り合える時代になったが、ダート戦となると話は別。世界の壁の高さと厚さに弾き返されるケースがほとんどだっただけにこの好走には驚かされた。

 しかし、その約7カ月後、私達は更に驚かされる事になる。アメリカのブリーダーズCディスタフ(GI)に挑戦したマルシュロレーヌ(牝、栗東・矢作芳人厩舎)が大仕事をやってのける。北米の強豪を相手に見事に優勝。ダートの本場アメリカで、牝馬同士といえダートを舞台としたブリーダーズCを制したのは偉業中の偉業。個人的にはこの一発で21年のJRA賞最優秀ダート馬に選定して良いと思っている。それくらい大きな価値のある勝利だった。

 いずれにしろダート戦線での度重なる日本調教馬の好走は日本馬のレベルの向上を感じさせるモノであった。

1位 横山武史騎手、大躍進

 先述した通りエフフォーリアは3つのGIを制したが、その手綱を取ったのは全て横山武史騎手。デビュー5年目で12月に23歳になったばかりの彼だが、他にもタイトルホルダー(牡、美浦・栗田徹厩舎)での菊花賞、キラーアビリティ(牡、栗東・斉藤崇史厩舎)でのホープフルSとGIを計5勝。年間の勝利数も自身初めて三桁にのせる104勝を記録し、2年連続での関東リーディングに輝いた。

 またJRAの通算勝利数も、年頭に200に乗せたばかりか、年末には300勝を達成してみせた。

年間300勝を達成した横山武史騎手 ©Satoshi Hiramatsu

 名手・横山典弘騎手の三男という血筋が一気に花開いた感じで、今年は更に数字を伸ばし、全国リーディング争いに食い込んでくれる事を願いたい。

 他にも熊沢重文騎手の障害最多勝記録更新、武豊騎手のGIコンプリート王手、福永祐一騎手の2年連続日本ダービー制覇や悲しいところでは岡田繁幸氏逝去など、残念ながら選に漏れた話題は多々あるが、あくまでも個人的な印象で列挙させていただいたのでお許しいただきたい。

 さて、今年はどんなニュースが飛び込むか。横山武史騎手の躍進やラヴズオンリーユーの世界を舞台にした活躍のような明るいニュースで賑わう事を願いたい。

 1位 横山武史騎手、大躍進

 2位 世界のダート戦線で1、2着

 3位 ラヴズオンリーユー、BCなど海外3勝

 4位 エフフォーリア3歳で天皇賞などGI3勝

 5位 ルメール騎手5年連続リーディング

 6位 蛯名正義騎手引退

 7位 コントレイル、グランアレグリアら有終の美飾る

 8位 ソダシブーム

 9位 JRA初女性騎手ワンツースリー

 10位 オジュウチョウサンの復活V

文=平松さとし

photograph by Photostud