2022年を迎え、ファンの方々からよく聞かれる質問がある。

「今年の大谷は去年と同じ様な活躍が期待できそうですか?」

 決まって、こう答えている。

「去年以上の歴史的シーズンとなる可能性は非常に高いと思っています」

 ファンの方々の思いを察し、適当な言葉を選んでいるのではない。22年の大谷翔平にも大きく期待できる理由がある。それなりの根拠もある。

 キーワードは月並みではあるが、アスリートにとって最も大事なこと、「健康」だ。現状で彼の健康状態は昨年のオフと同等、それ以上と感じる。大谷自身の発言がそれを物語っている。まずは10月3日の昨季最終戦の言葉から。

「(このオフも)基本的な流れは一緒だと思います。トレーニングももっとハードなものにしたいですし、まだまだ上に行けると思っています。今年以上のパフォーマンスが出せるように、そういうオフシーズンにしたいと思っています」

昨季最終戦での大谷翔平

“二刀流で158試合出場”という驚異の事実

 21年シーズンは9勝、46本塁打、26盗塁。日米9年間の二刀流のキャリアを通じ、最高の成績を残した。その中で忘れてはならないことは『158試合』に出場した事実である。

 試合に出続けること。選手にとってチームへの最大の貢献はここにある。二刀流として、162試合のシーズンで158試合に出場した事実は驚異的であり、健康を維持できた証そのものである。

 昨年11月15日に行われた日本記者クラブの会見でも大谷はこんな言葉を残した。

「一番はフィジカルを保っていくというか、さらに向上させていくことだと思う。(右肘の)患部含めてまだ本当に100%、120%というわけじゃないので。キャンプインまでにそこを詰めていって、そうすればスキルの部分で気付くことが多くなってくると思う。そこからの擦り合わせはスプリングトレーニングに入ってからかなと思います」

 健康状態に問題がなく、体を鍛え上げていくことに専念できている現状がよくわかる。アスリートにとって、オフシーズンの理想的な状態であり、近年でこの状態にあるのは昨年と今年だけだろう。ここに今季も昨季同様の活躍が期待できる理由がある。

21年オフに語っていた確信「自分の体になってきている」

 21年の大飛躍もキーワードは健康だった。春先のオープン戦から投げては100マイル(約161キロ)を計測し、打撃では打率.548、5本塁打、OPSは驚異の1.604をマークした。好調の理由を聞くと彼の話は体調面の良さに終始した。

「去年(20年)より全然いいと思います。体調もいいです。(右肘の)患部の部分で言うと、やはり馴染んできているのか、自分の体になってきているのかなという感覚も去年より全然あるんじゃないかなと思いますね」

「去年が極端に(体重が)低かったので、体重的には元に戻った(約102キロ)のかなという感覚ですかね。特に下半身は去年は(左)膝のリハビリがメインだったので、しっかりと強化するというメニューではなかったですし、その中でしっかりと下半身は強化できたのかなと思います」

2018年、メジャー1年目の大谷翔平 大躍進を果たした2021年の大谷翔平

“オフの出来”がシーズンの活躍を左右する

 18年10月のトミー・ジョン手術に加え19年9月には左膝の手術も行った。その結果、18年以降、大谷のオフシーズンは常にリハビリであり続け強化には程遠かった。だが、昨オフに転換期はやってきた。体調面での不安がなくなり、自身で思い描く強化トレーニングが実現すると、シーズンは非現実的と謳われるまでになった。

 大谷は自身がまだ発展途上にあるという言葉をよく繰り返す。取り戻した健康体と苦労を重ねたことで積み上げた経験値がこれからを支え、伸びしろもまだ十分にあると感じている。今季への抱負を聞かれた大谷は記者クラブでの会見で言った。

「一番は数じゃないかなと思っているので。どれくらい試合に出られるか、どれくらい打席に立てるか、どれくらい登板できるか。後はやれることをやって、良かった悪かったっていうのを自分で振り返ればいいと思っているので。健康でシーズン通して出続けることが一番かなと思っています」

 健康であれば、自ずと数字はついてくる。彼なりの自信を示した言葉と感じた。

「2年連続MVPもあり得る」最大の理由は?

 エンゼルスは今季も6人ローテーションを掲げている。大谷の先発機会は単純計算で最大で27ほどになる。1試合平均で6回を投げれば投球回数は162となり、昨季130回1/3を投げた投手としては理想的な数となる。打撃に関しては昨季と同数の639打席ほどか。プラスポイントはマイク・トラウトとアンソニー・レンドンが復帰することで、相手投手は大谷にストライクを投げざるを得ない状況が生まれる。昨季以上の成績が残る要素はある。

 2022年、大谷翔平にこんな数字を期待したい。

 出場155試合以上。投手として、10勝、200奪三振、防御率2点台。打者として、打率3割、50本塁打、OPS1.00。健康を維持できれば、絵空事ではないだろう。サイ・ヤング賞に本塁打王、2年連続MVPだってあり得る。今年も大谷翔平には大いに楽しませてもらいたい。

文=笹田幸嗣

photograph by Getty Images