2021年から2022年(対象:12月〜4月)まで、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト3を発表します。競馬部門の第3位は、こちら!(初公開日 2021年12月24日/肩書などはすべて当時)。

 1956年に「中山グランプリ」として創設され、いまや競馬界を超えて年の瀬の風物詩として定着しているGI有馬記念。今年も史上初のグランプリ4連覇がかかるクロノジェネシスや、天皇賞・秋でコントレイルを降した皐月賞馬エフフォーリア、菊花賞を鮮やかに逃げ切ったタイトルホルダーといった有力馬が出走を予定しています。

 過去65回の有馬記念では、ファン投票によって選出されたスターホースたちが、暮れの中山競馬場を舞台にいくつものドラマを紡いできました。『Number Web』では、1990年以降の有馬記念を対象に「あなたが選ぶベストレース」というテーマでアンケートを実施。12月8日から15日にかけて、計1137票の投票が集まりました。

 後編では、いよいよ5位から1位の結果を発表。もっとも多くのファンの心を震わせた「最高の有馬記念」は、いったいどのレースだったのでしょうか。<#1では有馬記念アンケート6〜10位の結果を公開中です>

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5位 2000年 テイエムオペラオー 77票

©Sports Graphic Number

 テイエムオペラオーが「年間グランドスラム」の偉業を達成した2000年の有馬記念が5位に選ばれました。年間を通して8戦8勝、うちGI5勝(天皇賞・春、宝塚記念、天皇賞・秋、ジャパンカップ、有馬記念)という成績は、いまや競馬界の“不滅の大記録”のひとつに数えられています。

 古馬の芝中長距離GI(当時は大阪杯はGII)を1年間ですべて制したテイエムオペラオーですが、有馬記念では“包囲網”を敷かれたかのように他馬に囲まれ、直線を向いても後方という絶望的な位置取り。しかしそこから馬群を突き破るように脚を伸ばし、メイショウドトウをハナ差でかわして勝利を収めました。310mという中山の短い直線で見せた驚異的な勝負強さは、まさに“世紀末覇王”という異名にふさわしいものでした。

「年間8戦8勝の最終戦、絶望的な位置から馬群を貫いて差しきったハナ差圧勝劇。空前絶後、唯一無二の夢を観させていただいた」(42歳・男性)

「最後の直線までずっと他馬に囲まれて後方にいたテイエムオペラオーが、一瞬の間を突いて先頭に躍り出る瞬間は、何度レースを見返してもその強さに感動します」(26歳・女性)

「もはやこれまでか、というところからの最後の伸び。人馬一体となって、最後の力を振り絞って達成できた年間無敗の大記録。世紀末覇王の名に恥じない素晴らしいレースでした」(37歳・男性)

「騎手も諦めてしまうような状況の中、希望と闘志を保って走り抜いたテイエムオペラオーの姿に胸を打たれる」(27歳・女性)

「対テイエムオペラオー包囲網がありながらも、絶対的な強さで他馬をねじ伏せた」(22歳・男性)

4位 2006年 ディープインパクト 84票

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 規格外の末脚でシンボリルドルフ以来の無敗の三冠馬となり、競馬ファンに衝撃を与えたディープインパクトのラストランとなったのが、4位にランクインした2006年の有馬記念です。前年にハーツクライの後塵を拝し、国内唯一の敗戦を喫した舞台でしたが、競走馬として完成されたディープインパクトにもはや死角はありませんでした。

 後方3番手から3コーナー付近で徐々に進出を開始し、直線に入る手前で一気に加速。他馬が止まって見えるほどの勢いで一気に先頭に立つと、悠々とリードを広げて3馬身差の完勝を収め、多くのファンに惜しまれながらターフに別れを告げました。

 数々の名馬の背中を知る武豊騎手が「飛んでいるかのよう」と表現した走りの集大成を、現役最後の有馬記念で披露したディープインパクト。2019年にこの世を去るまで種牡馬としても圧倒的な成績を残し、コントレイルをはじめ数々の名馬を送り出しています。

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「4コーナーの超加速に心震え、直線で炸裂した末脚にただただ拍手を贈った」(40歳・男性)

「いまだに繰り返し映像を見ては惚れ惚れしています」(59歳・女性)

「最強の馬だった」(66歳・女性)

「競馬で初めて感動したレース。これがきっかけで競馬の面白さにはまりました!」(32歳・男性)

「英雄のラストラン! 我々にくれた最後の衝撃は忘れられない」(45歳・男性)

3位 2013年 オルフェーヴル 116票

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 ディープインパクトに続く史上7頭目の三冠馬であり、フランス・凱旋門賞でも2年連続で2着となったオルフェーヴル。逸走や斜行などのエピソードに事欠かない“世紀の暴れん坊”の引退レースが、3位に入った2013年の第58回有馬記念です。

 三冠レースを制したパートナーの池添謙一が手綱をとったラストランは、まさに暴れん坊の独壇場。かつて好勝負を演じた同期のウインバリアシオンを、8馬身も引き離すという常識はずれのパフォーマンスを披露しました。強さと狂気が同居したオルフェーヴルの爆走に、あらためて度肝を抜かれた競馬ファンも少なくなかったようです。

「競馬を好きになるきっかけになった大好きなオルフェーヴルのラストラン。8年経った今でも、何度見ても鳥肌が止まりません」(41歳・女性)

「4コーナーから直線までの瞬間移動のような抜け出しを現地で目の当たりにして、私にとっての最強馬はこれだと確信しました」(54歳・男性)

「当時中学生で、競馬がよくわかっていなかった私にも、痺れるほどの強さが伝わってきました」(20歳・男性)

「いろいろとエモくて最高。強すぎる」(25歳・女性)

「これがラストランなんて信じられないし、目に焼き付いて離れない」(17歳・男性)

「今まで私たちはオルフェーヴルの能力のほんの一部しか目の当たりにしてなかったんじゃないか」(38歳・男性)

2位 1990年 オグリキャップ 217票

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 2位に選ばれたのは、“芦毛の怪物”オグリキャップが有終の美を飾った1990年の有馬記念です。地方競馬の笠松でデビューし、1988年に中央競馬に移籍したオグリキャップは、同年の有馬記念でGI初制覇。タマモクロス、スーパークリーク、イナリワン、ヤエノムテキ、バンブーメモリーなどライバルにも恵まれ、バブル景気に沸く日本列島に競馬ブームを巻き起こしました。

 デビュー以来一度も掲示板(5着以内)を外したことがなかったオグリキャップでしたが、1990年の天皇賞・秋で6着となり、続くジャパンカップでも11着と大敗。メディアや関係者から「オグリは終わった」と囁かれるなか、12月23日にラストランの有馬記念を迎えます。

 アイドルホースの最後の勇姿を目に焼き付けようと、当日の中山競馬場には17万人を超える観衆が詰めかけました。オグリキャップは単勝5.5倍の4番人気。“応援馬券”が多く買われていたことを考えると、決して本命サイドとは言えない評価でした。

 しかしオグリキャップは、その類まれな勝負根性を最後の最後に見せつけます。21歳の武豊騎手を背に好位で折り合うと、直線の入口で逃げるオサイチジョージをかわして先頭に。脚色は最後まで衰えず、内をすくったホワイトストーンと外から追い込むメジロライアンを抑え、見事に1着でゴール板を駆け抜けました。

「競馬場で生観戦していましたが、馬券を当てた、外したに関わらず、周りの見知らぬ人とハイタッチをしたあの瞬間は、忘れられない」(58歳・男性)

「競馬場で初めて見た有馬記念。オグリの走りに感動し、涙したことを覚えています。とにかく最高でした」(56歳・女性)

「あの感動は今でも忘れられません。このレースを観て競馬にのめり込むようになりました。好きな馬はたくさんいますが、愛した馬はオグリキャップただ1頭です」(57歳・男性)

「自分の生まれた年、父が何度も語ってくれたレースでした。涙なくして画面を見ることが出来ない、数少ないレースの一つだと思ってます」(31歳・男性)

「リアルタイムで見られなかったのが悔しい」(33歳・男性)

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 ウイニングランの最中、場内のファンからは「オ、グ、リ! オ、グ、リ!」の大合唱。また、実況を担当した大川和彦アナの「右手(実際には左手)を上げた武豊! オグリ1着! オグリ1着!」という名調子や、故・大川慶次郎さんの「(メジロ)ライアン! ライアン!」という声が中継に拾われたことも、広く知られているエピソードです。

「17万人のファンから沸き上がった“オグリコール”の大合唱は一生忘れられません」(67歳・男性)

「放送席にいた大川慶次郎さんの『ライアン』の声も微笑ましかった」(54歳・男性)

「オグリコールの中、武豊がガッツポーズをするシーンは日本競馬史上最高の名場面」(36歳・男性)

 今回のアンケートでは惜しくも2位という結果になりましたが、1位とはわずか14票差。30年以上前のレースがこれだけ支持されていることからも、オグリキャップの絶大な人気が窺えます。

1位 1993年 トウカイテイオー 231票

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 トウカイテイオーが“奇跡の復活”を果たした1993年の有馬記念が、231票を獲得して堂々の1位に輝きました。

 無敗で1991年の皐月賞とダービーを制し、父シンボリルドルフ以来の三冠馬への期待が高まったトウカイテイオーでしたが、無念の骨折で菊花賞を断念。ここから、怪我との長い戦いが始まります。復帰戦となった翌年の大阪杯を圧勝するも、続く天皇賞・春ではメジロマックイーンの5着に敗れて、ふたたび骨折で休養。さらにぶっつけ本番の天皇賞・秋も7着に終わり、“帝王”の名は地に落ちてしまいます。

 それでもトウカイテイオーは、1992年のジャパンカップで「史上最強メンバー」と言われた外国馬を撃破。健在を示しましたが、有馬記念では腰を痛めた影響もあって11着に惨敗。その後の休養中に3度目の骨折が判明し、陣営の懸命の努力で364日ぶりにこぎ着けた復帰戦が、1993年の第38回有馬記念でした。

 中央競馬の常識では、1年ぶりの出走でGI制覇など夢のまた夢。トウカイテイオーは単勝9.4倍の4番人気に支持されましたが、その多くが“応援馬券”でした。しかしレースでは田原成貴騎手の渾身の手綱に応え、常識を覆す走りを披露します。最後の直線で同年の菊花賞馬・ビワハヤヒデを一完歩ごとに追い詰め、半馬身抜け出したところでゴール。日本競馬史に刻まれる“奇跡の復活”を成し遂げました。今回のアンケートの投票理由を見れば、ファンの感動のほどがよく理解できるはずです。

「どんなに辛くても諦めない心をテイオーから学ばせてもらいました」(55歳・女性)

「端正なルックス。皇帝から帝王へと繋がる、名前も含めた系譜のドラマ性。天まで翔けていきそうな強さ。挫折からの二度の奇跡の復活。これぞ主人公」(46歳・男性)

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「馬券は他の馬を買っていたけれど、行けー! トウカイテイオー! と叫んでいました」(63歳・男性)

「1年というブランクがあるなか、強く美しく、皇帝の血を引く帝王のあの走り、涙が止まりませんでした」(47歳・女性)

「生まれる前の有馬記念なのに、1番見返すレースで1番感動するレース」(25歳・男性)

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 トウカイテイオーの不屈の闘志に、鞍上の田原騎手がレース後のインタビューで涙を流す場面もありました。「勝利ジョッキーインタビューも感動的」(59歳・男性)、「田原騎手の涙に貰い泣きした」(53歳・女性)など、その姿が印象に残っているファンも多いようです。

 なかには「あの日、中山競馬場で目にした光景は、30年近く経ったいまでもまったく色褪せていない。競馬史上のみならず、日本のスポーツ史上でもほとんど類を見ない最高の奇跡のひとつ」(56歳・男性)というコメントも。オグリキャップのラストランと同様に、トウカイテイオーの“奇跡”はこれからも語り継がれていくことでしょう。

 果たして今年の有馬記念では、どのようなドラマが紡がれるのか――アンケートで上位にランクインした名勝負に負けないほどの、素晴らしいレースに期待しましょう。

<『ウマ娘』は伝説の有馬記念をどう描いたか? へ続く>

文=NumberWeb編集部

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