発売中のNumber1051号「ダービーから世界へ」の表紙を飾ったのは、福永祐一騎手とクリストフ・ルメール騎手。皐月賞では、福永騎乗のジオグリフが1着、ルメールのイクイノックスが2着だった。当然ダービーでも本命視される2頭の鞍上が揃い、ダービー直前特集として、これ以上ないツーショットとなっている。ちなみに、Numberの競馬特集で2人の騎手が表紙となるのは創刊以来はじめてのことだ。

 覇を競うライバルであり、今世紀の日本競馬を支えてきた盟友ともいえる2人の巻頭対談「頂上決戦もクールに決める」では、先の皐月賞を振り返りながら、ダービーへの意気込み、今号のテーマである「世界」について大いに語り合っている。

 そして、この2人は皐月賞に限らず、近年は大舞台での1-2着が目立っている。話題がお互いの記憶に残る対戦に及ぶと、福永が挙げたのは2020年の菊花賞だった。コントレイルが三冠を決めたレースである。ルメール騎乗のアリストテレスがクビまで迫り、福永が「あれは“やられた”と思った」という場面を作り出した名勝負だ。

皐月賞 1着14番ジオグリフ 福永祐一騎手 2着18番・イクイノックス  クリストフ・ルメール騎手 木村哲也調教師は皐月賞初勝利でワンツー決着

ルメール「結果は負けだったけど、精一杯戦って気持ちがいいレースでした。いい戦いができましたし、コントレイルが三冠馬になったのも結果としてよかったです。(中略)スタート前はコントレイルをマークしようというプランではありませんでした。あ、こんな近いところにいる。それならマークしようと。そこからは完璧でした」

福永「凄いプレッシャーだった。マークされる立場なのは当然で、ある程度の覚悟はしていましたが、クリストフのは強烈。ギリギリ凌ぎきれましたが、あそこで苦しめられた分、次のJCはアーモンドアイに勝つことができませんでした。少なからずダメージが残りましたからね。本当に怖いジョッキーだと改めて思った」

「福永が来れば、ルメールも来る」

 20年のJCは、この年の三冠牝馬デアリングタクトも含め3頭の三冠馬が揃ったドリームレースだった。1着アーモンドアイ、2着コントレイル、3着がデアリングタクトで、アーモンドアイが有終の美を飾ったわけだが、実は福永とルメールは、菊花賞とJCだけでなく、この間に行われた天皇賞・秋とマイルCSでも1-2着となっている。天皇賞・秋は1着アーモンドアイ=ルメール、2着がフィエールマン=福永。マイルCSは1着グランアレグリア=ルメール、2着がインディチャンプ=福永だった。

 しかもルメールは11/15のエリザベス女王杯もラッキーライラックで制しており(福永はソフトフルートで6着)、自身が18年に達成したGⅠ実施機会4連勝の歴代最多タイ記録を樹立している。

 ちなみに2人がともに複勝圏内(3着まで)に入ったGⅠにまで範囲を広げてみてみると、NHKマイルCと安田記念がともに2着がルメール(レシステンシア、アーモンドアイ)、3着が福永(ギルデッドミラー、インディチャンプ)だった。

 続く21年はスプリンターズS(1着ピクシーナイト=福永、2着レシステンシア=ルメール)とJC(1着コントレイル=福永、2着オーソリティ=ルメール)で、2度の1-2着があるほか、ともに複勝圏内に入ったのが4度(桜花賞、秋華賞、菊花賞、天皇賞・秋)。

昨年11月のジャパンカップ

 GⅠのデータを詳しく見ていくと、20年は福永が(3-3-3-13)で複勝率.409、ルメールは(8-4-1-8)複勝率.619。21年は福永が(3-1-5-9)で複勝率.500、ルメールは(6-7-2-9).625だった。

 つまり2020年以降のGⅠでは、2人のうち、少なくともどちらかが複勝圏内に入っている確率が非常に高かったことがよくわかる。福永にとっては、GⅠでルメールとともに複勝圏内に入ったのが20年は9レース中6回、21年にいたっては8レース中6回。「福永が来れば、ルメールも来る」といっても過言ではないのだ。

 一方、ダービーはというと……2人がともに馬券圏内に入ってきたことは一度もない。ドゥラメンテが勝った2015年の3着サトノクラウン=ルメール。4着リアルスティール=福永が着順としてはもっとも惜しかった。

 ただし皐月賞も、今年まで2人の1-2着も複勝圏内もなかったレースで、すでに歴史は塗り替えられている。今年は平地GⅠ全8レース、まだ1-2着、複勝圏内ともに皐月賞のみ(5月20日現在)だが、そろそろ数字が例年に近づいていくころだろう。しかもここ4年で3度ダービーを制している福永と、5年連続リーディングを継続中のルメールが、ともに有力馬にまたがる――。ダービーで1-2着の再現があったとしても、不思議ではない。

文=Number編集部

photograph by Atsushi Kondo