交流戦が終わり、17日からペナントレースが再開した。交流戦前後で大きくチーム状況が変わったのは、交流戦開催3年連続で最下位となった広島だろう。

 交流戦直前は1位ヤクルトに2.5ゲーム差の3位と、第1集団に位置した。だが現在は1位ヤクルトとは12.5ゲーム差も離され、4位に転落。最下位DeNAとのゲーム差は2。上位争いをしていたはずが、気づけば下位争いに明け暮れている(6月18 日時点。以下、記述のないデータは同様)。

 またも鬼門となったパ・リーグ球団との対戦を終え、再びセ・リーグ球団との戦いに戻った。

 だが、交流戦が明けても広島らしさは戻らない。リーグ戦再開初戦の17日ヤクルト戦は2−7で敗れ、翌18日ヤクルト戦も6−10。大瀬良大地、森下暢仁という2枚看板を立てて弾みをつけたかったところで、大きくつまずいた。

 打線の中軸を担った西川龍馬の離脱や4番ライアン・マクブルームの不振など野手陣も不安を抱えている。ただ、再び上位に押し上げるためには、先発陣の立て直しが不可欠である。

強力先発陣でも勝てないわけ

 今年、広島の最大の武器は「先発力」にある。

 大瀬良、森下、九里亜蓮の3本柱に、今季飛躍を見せる床田寛樹が4本目の柱に台頭した。交流戦を終えた時点で、1チーム4投手が規定投球回に到達しているのは、両リーグでも広島のみ。あと5イニングで規定投球回到達となる若い遠藤淳志もいる。

 さらに5月5日巨人戦で来日初登板初勝利した新外国人、ドリュー・アンダーソンもローテーションに定着した。

 交流戦で今季初先発初勝利を挙げた野村祐輔らも控えており、広島の先発陣は質、量ともにリーグ屈指と言える。交流戦までのクオリティースタート達成率(QS率)が物語る。

◆セ・リーグQS率(5月23日時点)

ヤクルト 52.3%
巨人   59.2%
広島   73.9%
中日   45.5%
DeNA  42.5%
阪神   55.3%

 先発陣の安定感があったからこそ、つなぎの攻撃ができ、不安を残す中継ぎ陣をカバーしながら白星を積み重ねることができた。

 ただ、最大の武器をフル回転させてきた反動が、交流戦で出たように感じる。森下は1勝もできず、九里は1勝2敗。2戦2敗の大瀬良は先発予定だった10日西武戦登板を回避し、再調整に充てた。交流戦18試合中、QSは9度。達成率50%にとどまった。

 交流戦優勝のヤクルトの交流戦QS率は38.9%と広島を下回るが、最大の武器はリリーフ陣だ。今季の救援防御率は他5球団を圧倒している。

◆セ・リーグ救援防御率

ヤクルト 2.00
巨人   3.86
阪神   2.66
広島   3.82
中日   3.46
DeNA  3.24

 強力なリリーフ陣を積極的かつ効果的に投入することでパ・リーグの攻撃をしのいできた。交流戦でもヤクルトらしさで戦い、勝ってきたということだろう。

昨季は大車輪の活躍だった森下だが、交流戦明けのヤクルト戦でも勝利を逃し、4連敗を喫した

鍵を握る先発のマネジメント

 一方の広島は、セ・リーグとの戦いで“らしさ”を取り戻すことができるかどうか。先発の陣容を崩せば中継ぎに厚みを持たせることもできるが、当然リスクを伴う。ないものねだりはできない。やはり先発陣が最大のストロングポイントとなる。そんな先発力を最大限に生かすには、マネジメント力が鍵を握る。

 離脱という目に見える影響だけでなく、疲労の蓄積や不調など目に見えない影響も極力避けたい。目先の勝利をつかみつつも、その先にあるリスクにも目を光らせなければいけない。

 今季は大量リードしても、先発投手に一定の投球回、球数までは投げさせてきた。5月20日の中日戦では、5点リードの6回まで98球を投げた大瀬良はその後も続投。結局、8回121球を投げ切った。前回登板が雨天中止で流れたことで登板間隔を中13日空けたとはいえ、そんな貯金を使い果たす続投策だったように感じられた。結果、大瀬良はその後1度の選手登録抹消を含め、勝ち星を得ていない。

 森下はリーグ戦再開後初登板の18日ヤクルト戦で、6回途中4失点と4連敗を喫した。ここまで12球団最長の88回を投げ、球数も12球団最多1394球の西武高橋光成より1球少ない1393球。入団1年目から昨年の東京五輪を含めフル稼働してきた。その影響がゼロとは言い難い。

 可能な限り先発投手を引っ張る傾向にあるのは、中継ぎに不安を残すチーム事情もあるだろう。ただ、ここまで先発投手のイニング途中の降板は17試合にのぼる。中継ぎ陣は「ピンチを迎えたら」「走者を出して左打者を迎えたら」という「もし〜したら」に備えなければいけない。ブルペンで何度も肩をつくる回数は増え、目に見えない負担が増しているはずだ。

選手起用に迷いはないか?

 結果の出ない状況が焦りとなり、悪循環に陥っているのかもしれない。選手起用にも迷いが見える。

 交流戦明けのリーグ戦再開初戦。首脳陣は先発を中13日の大瀬良に託した。だが、大黒柱にも全幅の信頼をおいているわけではないように映った。

 バッテリーを組んだ捕手は「僕よりも僕のことを分かってくれている」と大瀬良が信頼を置く正捕手・會澤ではなく、若い中村奨成だった。會澤が2戦目に先発マスクを被ったことを考えればアクシデントではなかったのだろう。今季大きく負け越すヤクルト対策という意味合いがあったかもしれないが、エースを期待する投手への信頼をも揺るぎ始めているのか——。大瀬良と會澤のバッテリーは広島の核ともいえる存在。マネジメントする上で両者間の信頼関係は必要不可欠なものだ。

 これから梅雨や夏場が訪れ、目に見えないダメージを負う季節となる。本当の戦いはその先にある。3連連続Bクラスに終止符を打つためにも、ヤクルトを追走するためにも、目の前の1試合にすべてを注ぐだけではなく、その先までを見据えて戦っていかなければいけない。

文=前原淳

photograph by KYODO