日本代表がカタールW杯グループステージ第2戦で戦うコスタリカ。中米の強国で長年にわたって守護神として君臨するケイロル・ナバスへの独占取材に成功した。ワールドクラスで居続ける秘訣や日本人選手への率直な印象を聞いた<翻訳:木崎伸也>(全2回の2回目/#1も読む)

 日本がカタールW杯でベスト8以上を目指す上で、絶対に落とせないのが第2戦のコスタリカ戦だ。

 ブックメーカー『bwin』の「E組突破オッズ」を見ると、スペイン1.08倍、ドイツ1.11倍、日本4倍、コスタリカ15倍。コスタリカはE組の中で最も弱いと見られており、日本はしっかり勝ち点を稼ぎたいところだ。

 だが、コスタリカは前評判があてにならない国でもある。2014年W杯では初戦でウルグアイに勝利して勢いに乗ると、第2戦でイタリアに勝利し、第3戦でイングランドと引き分けて“死の組”を首位通過した(イタリアとイングランドが敗退)。

ブラジルW杯時のナバス ©JMPA

 そのとき守護神としてスーパーセーブを連発したのが、GKケイロル・ナバスである。大会後、ナバスはレバンテからレアル・マドリーへ移籍し、スターGKの仲間入りを果たした。

 いったいコスタリカは日本をどう見ているのか? 8月中旬、パリ・サン・ジェルマン(PSG)のクラブハウスでナバスに話を聞いた。

浦和のスタンドは鳥肌モノの雰囲気だったね

――PSGは7月に日本ツアーを実施しましたね。あなたは第2戦の浦和レッズ戦で先発し、58分までプレーしました。浦和にどんな印象を持ちましたか?

「スコアこそ3対0になったが、浦和は前半から自分たちを信じてプレーしており、特に後半はゴールに迫っていた。試合に臨む姿勢に感銘を受けた」

――埼玉スタジアムの雰囲気はいかがでしたか?

「素晴らしいの一言だね。とても個性的なものだった。スタンドから熱が溢れ出てくるようで、ほぼすべてのプレーに歓声があがっていた。鳥肌モノの雰囲気だった」

浦和戦でのナバス ©Sports Graphic Number

――あなたはスタンドからの観戦となりましたが、2対1で勝利した川崎フロンターレ戦はどう見ましたか?

「予想以上に拮抗した試合になった。川崎はこちらをまったく恐れておらず、サプライズを起こしてやろうという意欲がビンビン伝わってきたよ」

――6対2で勝利したガンバ大阪戦は?

「縦に早く攻めるという点でクオリティの高いチームだと思った。守備面で連携がうまくいかない場面もあったが、どのチームもネイマールやリオネル・メッシを防ぐのは簡単ではない。さらにサイドからアクラフ・ハキミやヌーノ・メンデスがタイミングを図って上がってくるんだからね」

印象に残ったのはサカイ、そして浦和の背番号8と11だ

――日本ツアーで印象に残った日本人選手はいますか?

「浦和の背番号8(小泉佳穂)だ。前線で守備を混乱させるような動きをしていた。あとはやはりヒロキ・サカイ(酒井宏樹)だね。ダイナミックなプレーでチームにエネルギーを与えていた。マルセイユ時代に対戦したときにも、彼はチームを安定させていた。規律があり、計算できる選手だ。

 背番号11(松尾佑介)のドリブルも印象に残っている。鋭いドリブルによって敵から自由になることができていた」

フランスでのプレー経験のある酒井宏樹についてはナバスの印象に残ったようだ ©Takuya Sugiyama

――日本のGKについてはどう見ましたか? ガンバのGK東口順昭は好セーブを連発しましたが、ネイマールのPKを止めることはできませんでした。

「ネイマールのPKを止めるのはどのGKにも困難だよ。ネイマールはGKが動くぎりぎりまで蹴らないからね。

 近年、日本のGKのレベルは非常に高まっていると思う。ストラスブールでプレーするエイジ・カワシマ(川島永嗣)はその代表格だ。彼はライン上の守備で強さを発揮する」

スペイン、日本、ドイツと同組はどう思っている?

――カタールW杯でコスタリカはE組に入り、スペイン、日本、ドイツと対戦します。この組み合わせをどう見ていますか?

「スペインとドイツという2つの有力国と、コスタリカと日本というサプライズを起こせる国が入った。魅力的なグループだと思う。

 どの試合も楽しみだが、特にスペイン戦を楽しみにしている。スペイン代表はガビやペドリなど若手が増えたけど、旧知の選手がたくさんいるからね。個人的に熱い試合になることは間違いない」

――コスタリカはE組を突破できると思いますか?

「私たちのアドバンテージは、失う物がないということだ。2014年W杯を思い出して欲しい。コスタリカはウルグアイとイタリアに勝利し、イングランドと引き分けて首位通過した。今回もコスタリカは弱者と見なされているが、2014年のときのように序列を覆せると信じている。サプライズを起こして、コスタリカの存在を世界にアピールしたい。

 ただ、そのためには運も必要だ。2014年W杯のとき、運にも助けられたからね」

ブラジルW杯のコスタリカ。8強に進出した ©JMPA

――コスタリカを率いるコロンビア人のルイス・フェルナンド・スアレス監督はどんな指揮官ですか?

「選手との距離感が近く、常にドアを開けている監督だ。陣形をコンパクトに保ち、アグレッシブなサッカーをするのを好んでいる」

ミナミノも知っている。日本戦の戦い方については…

――最近、日本代表の試合を見ましたか?

「いや、最近は見ていない。最後に見たのは2018年W杯のベルギー戦だ。日本が勇敢にプレーしていたのを覚えている」

――日本代表の強みはどこにあると思いますか?

「攻撃的で運動量が多く、相手にとって予測しづらい動きをすることだ。どの国にとっても厄介なチームだと思う」

――コスタリカは2014年W杯の直前、アメリカ合宿中の日本と親善試合を行い、1対3で敗れました。覚えていますか?

「覚えている。でも、あまり参考にならないだろう。日本のコンディションはすでに仕上がっている感じだったが、こちらは大会に向けてまだ調整中だったからね」

――現日本代表で名前を知っている選手はいますか?

「リバプールからモナコへ移籍したミナミノ(南野拓実)を知っているし、タケフサ・クボ(久保建英)はレアルで短い期間一緒だった。タケは技術的に万能な選手だ」

バルセロナのフレンキー・デヨングと対峙する久保 ©︎Getty Images

――コスタリカは固い守備からのカウンターに定評があります。日本戦でも同じようにカウンターを狙いますか?

「それについては教えられないね(笑)。きっとうちの監督は戦術的なサプライズを用意しているだろう。コスタリカはボールを持ってゲームを支配することもできるんだよ」

 <#1からつづく>

文=アレクシス・メヌーゲ

photograph by Asami Enomoto