カタールW杯に臨む26人のメンバーがいよいよ11月1日に発表される。グループEのドイツ、コスタリカ、スペインという超難敵たちといかに戦うか? サッカーライター・木崎伸也さんと戦術分析で人気のYouTuber・レオザフットボールさんに徹底対談してもらった。2回目の論点は「ドイツ戦のスタメン11人、誰がベストなのか?」。(全3回の2回目/#1、#3へ)

論点【1】「左SBは長友か、中山か?」

――大一番のドイツ戦を想定して、お2人が考える理想のスタメンについて伺えればと思います。まずは4バックの人選から、論点となりそうな左SBはどう見ていますか?

レオザフットボールさん(以下、レオ) 僕は長友佑都がいいと思いますね。ドイツは右のウインガーとしてニャブリ(バイエルン)とかが出てくるじゃないですか。僕らがいろいろ言ったところで、ドイツには攻められ続けると思うので、ちゃんと1対1で対応できる方がいい。長友の対人守備はエクアドル戦でも良かったので、4バックは左から長友、冨安健洋、吉田麻也、酒井宏樹という感じです。板倉滉が万全なら、吉田のところは板倉だったかもしれませんが。

木崎伸也さん(以下、木崎) 僕はアメリカ戦の4人でいいんじゃないかなと思っています。左から中山雄太、冨安、吉田、酒井です。板倉もどうやら間に合うんじゃないか、とも聞いていますが、ここにきて吉田を外すのは難しいのかな、と。

――木崎さんが左SBに中山を選んだ理由を聞かせてもらえますか?

木崎 やっぱりアメリカ戦を踏まえたうえで、最後は同じメンバーで固定した方がいい。もう時間もないですし、選手たちの間で約束事を決めている現状がある以上、メンバーはあまり変えない方がいいと思います。ただ、吉田に関しては連戦の疲れが気になりますよね。シャルケでも少し疲弊しているように見えますし、コスタリカ戦やスペイン戦まで保つか、ということを考えると、板倉や谷口彰悟の存在は必要だと思います。吉田自身は、いざとなれば「出たい」というエゴを捨てられる選手だと想像しますが……。

レオ 吉田に関しては、本人が出たいというよりも、森保監督が残しておきたいんじゃないですか。

木崎 多少コンディションが悪くても必要だ、という……。

レオ 東京五輪でも、ターンオーバーしなかった吉田と遠藤航は2週間で6戦に出場してヘロヘロになっていたじゃないですか。サッカーの枠組みをしっかり決めていないから、軸となる選手が「枠」になってしまうんじゃないかと感じます。

木崎 そうですね。属人的なところはあると思います。

論点【2】「左MFは久保か、三笘か?」

――中盤の構成はどう考えていますか? 4-2-3-1だとすると、ダブルボランチは遠藤と守田英正のコンビが“鉄板”という印象ですが。

レオ そうですね。田中碧はボールタッチなどを見ると、ちょっとコンディションを崩している印象もあります。

木崎 今、鎌田大地の調子が本当にいいので、彼をトップ下で活かすならやっぱり4-2-3-1でしょうね。最終予選で採用していた4-3-3は、守備はいいかもしれないけど攻撃面が少し物足りない。そのバランスを調整して、前線にカウンター要員を作るための4-2-3-1なのかな、と。

――ではその4-2-3-1の「3」についてはどうでしょうか。現状、2列目の左サイドはアメリカ戦で先発した久保建英と、途中出場でゴールを決めた三笘薫が争っている状況です。

レオ 左は三笘がいいと思いますね。ジョーカーではなく、スタメンとして。中央に鎌田か久保、右に伊東純也の並びです。

木崎 僕は左サイドに久保を推します。というか、離脱がなければドイツ戦も9月のアメリカ戦とまったく同じスタメンで臨むのがいいと考えています。良くも悪くも一長一短というか、誰が出てもチームとしての総力はそんなに変わらないのかな、と。それならコミュニケーションをした時間の総量が大事だと思うので。

論点【3】「1トップは前田か、大迫か、上田か?」

――「アメリカ戦と同じスタメン」ということは、もうひとつの論点になりそうな1トップに木崎さんは前田大然を選ばれたわけですが、レオさんはいかがでしょうか。

レオ 正直、前田はその素材をもっと活かせるはずなのに……という印象があるのですが、浅野拓磨を重用してきたように森保監督は「可視化しやすい能力」が好きなんだろうな、と。前田を置いてアメリカ戦のようにハイプレスのサッカーをするとなったら、ロンドン五輪の永井謙佑のようなイメージになりますよね。ただ、その時点でスペースを活かした攻撃以外は手詰まりになる。もしアメリカ戦のメンバーそのままだったら、基本はしっかり守って、奪った瞬間に前田がスペースに走る。相手が裏をケアして空いたスペースに鎌田が入って、仕掛けられる両サイドの選手に渡し、なんとかシュートまで持っていく……みたいな戦い方になる気がします。

木崎 長友がコメントしていたんですが、プレスの「いつ出るか・いつ出ないか」に関してはドイツ戦をかなり意識しているようで、おそらく「あえて持たせる」ことも考えていると思います。要するに、ひたすら追いかけ回すようなプレスではもう無理だと。試合序盤だけやるかもしれませんけど、90分は持たないですし。ちょっと引いて、どこから守備をするかを決めて、そこからのカウンターというイメージを持っている。そのなかでレオさんが言ったように、前田に「とにかく裏に走れ」みたいな、ロンドン五輪の永井のように足の速さを活かして「戦術前田」をやるつもりもあるんじゃないでしょうか。

――前田以外のFWの選手についてはどうでしょうか。ドイツ遠征組に加えて、大迫勇也が戻ってくる可能性もあります。

木崎 そこはちょっと読めないですね。今大会は選手選考であまり議論が起きにくい状況ですが、FWは大迫や古橋亨梧が落ちる可能性もあるので、唯一の大きなポイントかもしれません。大迫に関しては、上田綺世がドイツ遠征で“互換性”を示した印象もあります。

レオ 僕は1トップのスタメンとして上田を推します。相手の変化に応じてプレスの形を変える賢さや、追い込み方の賢さにおいて、前田よりも優れていると思うので。

――まとめると、木崎さんが選ぶドイツ戦のスタメンはアメリカ戦と同じ11人。レオさんのスタメンはDFが左から長友、冨安、吉田、酒井、ボランチに遠藤と守田、2列目は左から三笘、鎌田、伊東、FWに上田ということですね。GKはどうされますか。

レオ CKやクロス対応のところで少し不安はありますが、シュミット・ダニエルがエクアドル戦でPKストップという結果を出したので、シュミットでお願いします。

木崎 アメリカ戦までの短い日数であの出来だったことを考えると、W杯直前の合宿期間で戦術が整理され、チームが向上する余地はまだあると感じます。選手たちがどこまで相互理解を深め、練度を高められるのか、注目したいですね。

<#3へ続く>

文=NumberWeb編集部

photograph by Getty Images