カタールW杯日本代表26人が決まった。過去最高となる19人が欧州クラブ在籍となる中で、各国で戦う選手たちはどんな評価を受けているのか。“現地のガチでリアルな評価”を随時追っていく(三笘編も/※写真は【新着写真】からご覧になれます)。

 UEFAチャンピオンズリーグ、グループステージ最終節レアル・マドリー対セルティックの一戦は、すでにグループ通過を決めているマドリーに対し、セルティックは2分3敗と未勝利のまま最下位が決まっていた。

 ただセルティックとしては、グループステージ初勝利を目指し、また選手各々としても、欧州チャンピオンを相手にサンティアゴ・ベルナベウで、自身の実力を示そうとモチベーションを失うことはなかっただろう。

 その中には、古橋亨梧、前田大然、旗手怜央と、森保一監督率いる日本代表として活動してきたメンバーがいる。

ポステコグルー監督は日本人3人をスタメンに連ねた

 この試合の前日11月1日、カタールワールドカップに臨む日本代表メンバーの発表があった。最終メンバーには前田が選ばれ、古橋、旗手は惜しまれながらも落選している。

 それぞれが秘めた思いを抱きながらこの試合に臨む姿を撮影した。

 セルティック監督のポステコグルーは、Jリーグで横浜F・マリノスを率いたこともあるが――日本人3選手をともに先発リストに連ねた。

 最初にピッチに姿を現したのは古橋。ヘッドフォンの音楽に身を委ね、スタジアムの雰囲気を受け止める。それはキックオフ直前、チームフォト直後にとった行動からも感じられた。芝に両手をあて、エネルギーを充填するかのようだった。

 また、旗手は仲間がボールを使ったアップを始める中、黙々と左右のバランスを整えるような独特な調整が目についた。そんな旗手には、両チーム挨拶の際に、モドリッチがウインクをしながら手を合わせている。

仮想「ドイツ、スペインvs日本」とも見える陣容

 そして前田は、ピッチ入場の際に一度立ち止まりお辞儀をしてのピッチイン。三者三様の姿を撮影できた。

 ここまでのCL5試合の結果が示すように、両チームの実力差ははっきりとしている。セルティックの陣形は、9月の日本代表欧州遠征の際に取られた4-2-3-1と同じ。ただ日本代表では前田がワントップに入ったのとは違い、古橋がワントップ、前田は左のサイドに入り、旗手がトップ下のポジションをとった。

 またマドリーでは、ドイツ代表トニ・クロース、スペイン代表からはカルバハルとアセンシオが先発している。

 見方によっては、W杯で格上ドイツ、スペインに立ち向かう日本の姿が重なる。格上マドリーに対し、日本人3選手を擁するセルティックがどのように立ち向かうのかを注目すべきポイントとした。

古橋、旗手がマドリー相手にハイプレス

 キックオフはマドリー、ホイッスルと同時に前線の5人が横一列になりセルティック陣内に攻め入る。一気にカタをつける、そんな意志を感じさせる幕開けとなった。

 しかしセルティックも果敢に立ち向かった。古橋に加え、旗手までもがGKクルトワまでプレスをかける。両サイドの前田、アバダもサイドに大きく開いたCBのアラバ、ミリトンへ激しくぶつかる。

 しかし流石のマドリーは慌てることなく、モドリッチ、クロースが巧みにポジションを取り直し、プレスをかいくぐってはパスを引き取る。見ごたえ十分な立ち上がりとなった。

 ポゼッションはマドリーながらも、セルティックにも一発のチャンスを期待しかけた前半6分、マドリーにPKで先制を許してしまう。PKを誘発したのは、こぼれ球に反応したバルベルデのミスキック気味のボレーシュートだった。セルティックとしては不運としか言いようがないが、良い立ち上がりだっただけに――あまりにも早いPKでの失点が悔やまれる。

セルティックに流れが傾きかけた中で…

 プレー再開後も、セルティックの積極的な前線からのプレスが続く。トップ下の旗手が古橋を追い越してGKまでプレスをかけるなど、かなり積極的な守備が功を奏し、ショートカウンターから好機を作り出した。

 また旗手は、前線からのプレスだけではなく、中盤でボールを受けると、恐れずにボールをキープ。チームに落ち着きを与えた。前半13分には、フリーで前を向いた旗手からパスを受けた前田がゴール前にクロスを送ると、古橋が滑り込みながらシュートと大きなチャンスを作った。

 これにはマドリー監督アンチェロッティもたまらず最前線から指示を飛ばす姿がみられた。

 流れがセルティックに傾きかけた21分、VARにてまたもやPKを与えてしまい点差を広げられてしまった。格上マドリー相手に、自陣で守りを固めるのではなく、前線から果敢にチャレンジし、自分たちのプラン通りのサッカーをしていただけに、2つのPKでの失点にショックは隠しきれなかった。

 それでも日本人選手のコンビネーションから相手のミスを誘いチャンスを狙い続けた。終盤には古橋、旗手も絶好のシュート機会を得ている。さらにはアバダがボックス内で倒されPKを得た。しかしそこにはベルギー代表GKクルトワが立ちふさがり、反撃の狼煙をあげることはできなかった。

 このPK失敗で勝負の行方は決していたのかもしれない。前半を通してのハイプレスで得点を奪えないまま体力を消耗したセルティックは、51分、61分、71分と立て続けに3失点。84分に、途中投入されたジョタが直接FKを決めるも5対1の大敗となった。

結果を度外視して旗手の動きは特筆すべきものだった

 結果だけ見ると大敗だが、この試合での旗手のプレーには特筆すべきものがあった。

 トップ下で出場した旗手は、まさに神出鬼没、相手GKへの全力プレスから、自陣深くでフリーになってボールを受けるなど、広いプレーエリアで躍動した。

 中盤でボールを受けると、マドリーの早く強烈なプレスをいなしながら味方に落ち着きを与えた。さらに後半半ばからは明らかにマドリーから要注意人物として、徹底マークを受けた。

 このCLの舞台、マドリーを相手に存在感を示した旗手が、9月の日本代表の2戦で出場機会を得られないまま、W杯最終メンバーから落選したのは、残念でしかない。

少年ファンやセルティックのカメラマンに聞いたこと

 試合前、ベルナベウスタジアムの最前列でアップを見つめる少年ファンに〈日本人選手の名前分かる?〉と聞いてみると、当たり前だろとでもいう感じで、笑顔で応じてくれた。〈キヨウゴ、レオ、マエダ〉……やはり日本人の名前はちょっと難しいらしい。

 そして隣から父親が〈ナカムラ〉と付け加えてくれた。

 古橋、旗手の代表落選についても聞いてみたが〈日本代表のことは分からないけど、ビックリだね〉と、自分たちのクラブの選手より上手い選手がいることにびっくりしているようだった。

 さらにオフィシャルと新聞社の2名しか来ていないというセルティックからのカメラマンにも話を聞いてみた。

〈キヨウゴ、レオ、マエダの全員が皆から愛されているんだよ。全力でのプレーが気に入っている〉

 こう言ってくれた。

 また〈この冬の移籍市場で獲得する5人目の日本人プレーヤーも楽しみ〉とも。

文=中島大介

photograph by Daisuke Nakashima