これほどJ2が脚光を浴びたケースもないだろう。10月に開催されたカップ戦のファイナル。天皇杯とルヴァンカップだ。

 前者を制したのはJ2のヴァンフォーレ甲府。実に5つのJ1クラブを破って頂点に立つという史上最大の番狂わせを演じて見せた。

 後者はサンフレッチェ広島とセレッソ大阪というJ1勢同士の争い。ただ、両軍の中軸を担ったのは昨季や一昨季までJ2のクラブに在籍した選手たちだった。

 広島のそれはボランチの野津田岳人と進境著しい川村拓夢。C大阪に至ってはルヴァンカップで先制点を決めた点取り屋の加藤陸次樹をはじめ、スタメンのうち計6人が該当する。いわば“最大派閥”なのだ。

 もちろん、当初から彼らを優遇してきたわけではない。フェアな競争を経て、小菊昭雄監督の信頼をつかみ、先発の座を勝ち取っている。

狙い目は「J2で活躍する20代前半の大卒新人」

 近年、J2からの「個人昇格」で一気に台頭した選手は少なくない。その実力をJ1で示したのちに欧州へと渡り、いまや日本代表で活躍する古橋亨梧、前田大然がそうだ。

 ただ、今季のC大阪のように先発の過半数を占めるのは異例と言ってもいい。カップ戦ばかりか、リーグ戦に目を向けても、スタメンに“元J2組”が増えるにつれて勝ち点を伸ばし、上位に食い込む好循環。それだけの力を蔵する若者たちがJ2に数多くいることの証だろう。

 J1クラブの場合、戦力の維持が年々、難しくなっている。強くなるほど、主力を担う若者たちが欧州のクラブに引き抜かれるからだ。しかも、流失→補強→流失のサイクルは加速の一途。チームを束ねる指揮官の手腕もさることながら、人材確保の要となる強化部の働きがこれまで以上にモノを言う時代となった。

 出場機会のない若者たちの成長を促す場としてJ2を活用する広島式は王道だが、この先は名より実を取るC大阪の補強戦略も例外ではなくなるはずだ。狙い目はJ2で活躍する20代前半の大卒新人だろう。

 C大阪が一昨季にJ2のモンテディオ山形から獲得してブレイクし、今年1月に欧州へ渡った坂元達裕もその一人だ。この成功例が呼び水となった感もある。J2の臥竜鳳雛を探し出す争いはこの先、ますます加熱するはずだ。

文=北條聡

photograph by J.LEAGUE