史上初めて無敗で牝馬三冠を制した女傑、外国馬として11年ぶりに参戦する愛オークス馬、そして、秋華賞でワンツーフィニッシュを決めた高野厩舎勢。ほかに、牡馬相手の重賞を勝った馬が4頭と、昨年の覇者もいる。

 第47回エリザベス女王杯(11月13日、阪神芝内回り2200m、3歳以上牝馬GI)には、ワクワクするような豪華メンバーが揃った。

 京都競馬場が改修工事中のため、今年もゴール前に上り坂のある阪神コースで行われる。宝塚記念と同じ舞台だ。

状態さえまともなら、この馬が一番強い

 1番人気に支持されるのは、今年の宝塚記念で3着と、復活の気配を見せたデアリングタクト(5歳、父エピファネイア、栗東・杉山晴紀厩舎)か。

 2020年に史上初めて無敗の三冠牝馬となったあと、ジャパンカップでアーモンドアイ、コントレイルに次ぐ3着となり、さすがと思わせた。

 しかし、翌21年の金鯱賞で2着、香港のクイーンエリザベス2世カップで3着となったあと脚部不安で長期休養に入る。復帰戦は今春のヴィクトリアマイルで、6着。次走が、前述したように、3着となった宝塚記念。そして、秋初戦となったオールカマーで6着となったあと、ここに駒を進めてきた。

 そのオールカマーでは後方から外を回り、勝ち馬から6馬身ほど離された。が、1〜3着の馬番が2、1、3だったことが示すように、内で上手く立ち回った馬が好結果を出す「トラックバイアス」の差だったとも言える。勝負どころから押し上げて行く脚には、本来の迫力が戻っていた。この結果に関しては、杉山調教師も「悲観はしていません」とコメントしている。

 1週前追い切りでは主戦の松山弘平を背に、ウッドチップコースで3頭併せの真ん中に入れて闘志を引き出した。当週の本追い切りでは調教助手を背に坂路を駆け上がり、態勢を整えた。

 状態さえまともなら、この馬が一番強いはずだ。感動的な「復活劇」に期待したい。

本気参戦の外国産馬

 2011年のスノーフェアリー(1着)、ダンシングレイン(16着)以来、11年ぶりに外国馬として参戦するマジカルラグーン(3歳、父ガリレオ、愛・J.ハリントン厩舎)も有力候補だ。

 スノーフェアリーは3歳だった2010年につづく連覇だった。その3歳時は、イギリスオークスとアイルランドオークスを勝ち、ヨークシャーオークスで2着となり、牡馬相手のセントレジャーで4着となったあと来日。次走の香港カップも勝っている。

 それに比べるとマジカルラグーンの実績は見劣りするものの、同じアイルランドオークスを勝ち、斤量面で有利な3歳に参戦してきたというだけでも怖い。招待レースではなく、輸送費などは自己負担となるここに、前走、8月18日のヨークシャーオークスで、凱旋門賞馬アルピニスタの5着に敗れたあと、早くも狙いを定めてきたという本気度も「買い」の材料になる。

注目は秋華賞組?

 秋華賞で1、2着だったスタニングローズ(3歳、父キングカメハメハ、栗東・高野友和厩舎)とナミュール(3歳、父ハービンジャー、栗東・高野友和厩舎)にもチャンスがある。距離は1ハロン伸びるが、秋華賞と同じ阪神の内回りというのもいい。

 ウインレーシングクラブが送り込んでくる3頭は、どれも怖い。特に、これが3度目の女王杯参戦となるウインマリリン(5歳、父スクリーンヒーロー、美浦・手塚貴久厩舎)は、過去の2度では状態が思わしくなかった「肘腫」が落ちついているというだけに、あっさりのシーンがあっても驚けない。苦手な長距離輸送対策として、早めに栗東に滞在している。手塚調教師が、過去2回と出来に関しては雲泥の差だと話しているのも心強い。

 前走のオールカマーでデアリングタクトを下して重賞初勝利を挙げたジェラルディーナ(4歳、父モーリス、栗東・斉藤崇史厩舎)は、牝馬三冠を含めGIを7勝した名牝ジェンティルドンナの娘という超良血だ。

「残念秋華賞」の西宮ステークスを完勝したピンハイ(3歳、父ミッキーアイル、栗東・田中克典厩舎)も穴っぽい。

牝馬三冠馬のエリザベス女王杯での戦績は…

 ◎デアリングタクト

 ○スタニングローズ

 ▲ウインマリリン

 これまで女王杯に出走した牝馬三冠馬は、スティルインラブが2003年2着、04年9着、アパパネが2010、11年ともに3着と、2頭とも勝っていないという嫌なデータがあるが、そのジンクスを吹き飛ばしてほしい。

 デアリングタクトの単勝と、○と▲のほか1、2頭に流した馬連を買って、感動する準備をしたい。

文=島田明宏

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