サッカー日本代表・守田英正(27歳)が今月カタールへ渡る直前に、Number Webの単独インタビューに応じていた。26人のメンバー発表で感じた“悲しさ”、そして積極的に意見をぶつけあうようになったという代表選手間の雰囲気について明かした。【全2回の1回目/#2へ】

「日本は勝てない…“悲観論”を見返したい」

 いまから4年前、23歳の守田英正はテレビでロシアワールドカップを見た。

 遠いところで、大迫勇也が、乾貴士が、香川真司が観衆を沸かせていた。

 グループリーグを突破し国が歓喜する光景を、ベルギー戦の悲しい結末を、守田はピッチの外側から眺めた。

 日本を揺るがしたそんな熱気の記憶が残っているからだろうか。歓喜の残り香が消えた4年後の日本代表を取り巻く多数の悲観論に対し、守田は悔しさを覚える。

 勝てないと思われていることがすごく悔しい、そう守田は言う。

「ツイッターやインスタグラムなどのSNS、メディア上の否定的なコメントは嫌でも目につく時代なので。日本は勝てない――。そう思われるのが普通だとも思います。ただ、僕たち選手は結果で生きてきた。見返したいという気持ちはあります。悲観的な人をも巻き込んで、一緒になって勝ちたい。日本代表はすげえ。そう思って応援してくれるように、自分たちが巻き込んでいく」

 この4年間、数え切れないほどの経験をした。気心の知れた仲間との素敵なサッカーが保証された環境に別れを告げ、海を渡った。大西洋に浮かぶ孤島の、荒れた芝の上をひとり走った日々がある。

 キャリアを振りかえってみても、濃密で過酷な、そして得ることの多い時間だった。

 最終予選では日本代表の中盤に定着し、欠かせない主力となった。今夏には小クラブのサンタクララから名門スポルティングへとステップアップを果たした。ワールドカップを経て、守田はさらにその先へ踏み出そうとしている。

 初めてのワールドカップ、日本代表にとって鍵を握るドイツ戦を前に、27歳のミッドフィルダーは何を考えているのか――。

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「どこか悲しい。複雑な感情でしたね」

――ワールドカップに挑む26人の選手リストを見た時、何が浮かびましたか?

守田 選ばれる選手と選ばれない選手がはっきり分かれてしまう日が、いつか来る。それは分かっていました。でも実際に26人の名前を見て、もちろん僕が入ったこと自体はすごく嬉しかったし、前向きな気持ちにはなりますが、やっぱり入れなかった選手のことを思うとすごく残念というか……。最終予選でも二次予選でも、これまで代表でいろんな選手と一緒にプレーしてきました。彼らの分まで頑張ってこないといけないなと。喜びたいんですけど、どこか悲しい。複雑な感情でしたね。

――26名の選考も含め、9月のドイツ合宿でベースが固まった印象があります。

守田 9月は本戦が近づく中での最後のシリーズだったので、より密度の高いものを共有できました。ミーティングひとつとっても以前より細かく、映像で分かりやすく共有できるようになった。対戦国の試合の映像と、ボード上での自分たちがこう動いてほしい、こういう守備をしたいという2点をマッチさせる映像です。今までも選手間ミーティングや、スタッフを入れての全体ミーティングというのは重ねてきました。でも9月の選手間ミーティングでは、いま圧倒的に足りていないもの、本戦までに改善しないといけないというものをいくつか挙げて、みんなで発言する機会があった。今までにもなかったわけじゃないけど、より積極的に意見を出して詳細なところまで詰めていく話をしましたね。

――細部を突き詰める、最後のチャンスだと個々が思っていた?

守田 今までのチーム作りは、提示されるというよりも、選手とスタッフが一緒に作っていくというスタンスだった。それでここまで積み重ねてきたけれど、漏れはあった。もうすぐワールドカップという時点で細部をまだ突き詰められていなかった。そこは絶対的にやらなくちゃいけないんじゃないかと。

――細部を詰めて、やることは明確になった?

守田 相当意見交換をしましたからね。ただ、それをまだピッチで表現できてはいない。お互いの共通理解の下で試合ができてないというのは少し懸念材料ですね。9月の米国戦でも、相手が後半に形を変えてきた時に前半のようにはいかなかった。試合中にどう修正するかというところまでは行けていなかったので、そこは課題です。少なからず、自分たちから主体的にアクションを起こす必要があるのかなと思っています。

「個人的には田中碧、鎌田大地とはいろいろ話します」

――主体的なアクションを起こす上では、選手間で本音で言い合えるような雰囲気になってきた?

守田 どこまでが本音かは分からないんですけど、各々の立場を取っ払って若手からベテランまで、ちゃんと意見を言う選手がこのチームにはすごく多い。その意見交換はすごく増えました。個人的には田中碧だったり鎌田大地とはいろいろ話しますし、(遠藤)航くんとも話をする機会は多いです。田中碧は一番、何でも話すというか、それこそ本音なのかなと思いますね。選手ミーティングでは吉田麻也くんとか、遠藤航くんを中心に話をしてましたね。あとはワールドカップを経験されたようなベテランの選手たちの意見も聞いたり。

――26人全員が共通意識を持つというのはそもそも不可能に近い。それをドイツ戦までに話しながらできる限り合わせていく?

守田 いやあ、難しいですね……。現状は、良くも悪くも「これをしよう」というのがないということ。じゃあそれを作ろうといって1個作って、基礎をしっかりして応用は各々でつける形にするのか。まだ何が最適なのかというのは僕の中でも分からないというのが正直なところです。全選手で共有するというのはただでさえ難しいんですけど、より今の状況だと難しいものがあるんじゃないかなと思います。

――ドイツ戦にむけ、焦点となる細部をどう詰めていく?

守田 あらゆる展開に備えて、3バックだったり5バックでブロックを作り、どこで出ていくのか、というところをテストするべきじゃないかなと。あとは主に守備。守る展開になると思います。攻撃は各々が1対1ではがせたりとか、状況を打開する力というのはあると思うけど、守備はより組織的に守らなきゃいけない時間が多い。ドイツが自分たちが予想していたシステムじゃなかったとき、あるいは相手のボランチが下りていってビルドアップで変化を加えてきたりするときにどうするのか。自分たちが2個、3個プランを持っておけるかどうかだと思います。

<続く>

守田英正(もりた・ひでまさ)

1995年5月10日、大阪府生まれ。金光大阪高から流通経済大に進み、2018年に川崎フロンターレ加入。1年目から定位置を確保し、2度のリーグ優勝に貢献。2021年にポルトガルリーグのサンタ・クララに移籍。2022年に同国の名門クラブ・スポルティングへ。2018年9月に代表初招集され、2021年に定着。日本代表17試合出場、2得点。177cm、74kg

文=豊福晋

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