1月6日、リーガ2部22節、柴崎岳(30)所属のレガネス対ルーゴ戦を撮影した。 

 21節終了時点でリーガ直近の10節無敗(5勝5分)で9位と好調を維持するレガネス。

 その中で柴崎は中盤のレギュラー格としてチームを支えてきた。しかし、レガネスが戦うリーガ2部では、W杯での中断がなかったため、日本代表MF不在で日程を進めてきた。その間、柴崎不在の穴を埋めて6試合を2勝4分けと無敗が続く。

 W杯メンバーの一員だった柴崎は、クリスマス休暇前の最終節となった12月19日、対サラゴサ戦よりチームに復帰。先発出場こそならなかったが途中出場を果たし、22年最後の試合を勝利で終えている。そしてクリスマス休暇明け初戦として、ルーゴをホームに迎えた。

柴崎が控えの中で、サポーターがまさかの落下

 日本人取材者としては――柴崎の先発復帰に期待をしていたが、無敗を続けるチームにおいて、イディアケス監督は、大きな変更は行わず、2戦連続での控えメンバーとなった。

 先発グループにやや遅れてアップに現れた柴崎は、まずピッチの状態を確かめる姿が見られた。この日のマドリードはかなりの冷え込みで、ピッチ状態にも気になる点があっただろうか。またアップ終わりには、ピッチ中央で円陣が組まれ、士気を高めた。

 昇格プレーオフ(6位以内)に回るためにも、降格圏19位に沈むルーゴから確実に3ポイントが欲しい勝負だった。

 入りこそ遅かったが、キックオフ21時が近づくにつれ多くのサポーターがスタジアムを埋めていった。

 試合序盤にはテンションの上がりきったサポーターの1人が、3メートルほどある応援席最前列より落下するアクシデントがあった。意識はあるものの朦朧としており、試合も一時中断、救護班が呼ばれタンカで運ばれた。

 審判はこの事態がコントロールされていることを確認した後、試合を再開したが、救護が続く中での再開に大きなブーイングが響き、事態を正確につかめていない選手たちにも戸惑いの表情がみられた。

後半に入ってアップを始めた柴崎だが

 レガネスの中盤に入るのは今シーズンから加入した20番ウンダバレラ、柴崎と同期で30歳の18番パルドだった。この2人が中盤のつなぎ役として働き、柴崎のポジション争いの直接のライバルとなる。

 そしてレガネスCより昇格を果たした21歳、32番シセはドリブラーとして、直接的にゴールに絡む動きをする。

 試合は2部特有でもある激しさと、ボールが空中を行き交う時間が多い展開が続いた。 

 無得点のまま試合は折り返すと、後半頭より柴崎が先頭になりアップに登場。

 56分には、ショートコーナーからバルサにも所属していた時期があるアルナイスがドリブルで切り込みシュート。キーパーが弾いたボールは、ポストに跳ね返ると、シセが頭で反応し、レガネスが先制に成功した。

W杯出場ゼロで内に秘めた思いもあるはず

 ルーゴの交代策を確認した後、76分に柴崎はパルドに代わってピッチイン。交代出場した柴崎はそのままプレースキックのキッカーとしてファーストプレーを行なった。その後もFKではキッカーもしくはおとりとして関わり、CKのキッカーも務めた。

 オンプレーとしては、前線まで絡んでいくようなシーンはほとんどなく、仲間がドリブルをするシーンでも、取られた後を念頭に置き、カウンターをその場で防ぐようなポジションどりからの体を張ったプレー、相手ターゲットマンに入るボールを事前にカットするような守備面でのプレーが光った。

 終了のホイッスルが鳴ると、控えめにガッツポーズをみせ、仲間たちと勝利を喜び合った。前節からの連勝、また無敗が続くチームの雰囲気の良さが伝わるシーンだった。

 柴崎にとっては、W杯直前の調整試合カナダ戦でロングフィードでアシストをマークするなど、好調をアピールしていたものの、本大会での出場は叶わなかった。ドイツ、スペインという強国を相手に躍進した日本代表の盛り上がりとは裏腹に、内に秘めた思いもあったはず。

 まずはレギュラーポジションの奪取、それとともにチームとしてプレーオフ進出を狙う戦いが続く。

文=中島大介

photograph by Daisuke Nakashima