2011年から14年は13人で、15年から18年は14人だった。

 19年から22年は、12人だった。

 さて、何の数字か。アジアカップの登録メンバーが、ワールドカップに出場した人数である。ほぼ半分が残ったとも言えるし、ほぼ半分が入れ替わったとも言える。いずれにせよ、カタールでベスト8敗退に終わったチームが、26年の北中米ワールドカップでもベースになると考えていいのだろう。

横一線の正守護神争いから抜け出すのは…

 ポジション別に見ていくと、GKは混沌としている。アジアカップ正GKの鈴木彩艶が、このまま定位置をつかむとは考えにくい。所属クラブでプレータイムを確保していく前提で、シュミット・ダニエル、中村航輔、大迫敬介、谷晃生、鈴木が、3つの枠を争うと考えるのが妥当だ。

 シュミットは22年W杯代表である。中村は16年のリオ五輪で2試合に出場し、18年のロシアW杯でメンバー入りした。大迫は23年の活動で最多の4試合に先発した。23年は代表から遠ざかった谷は、森保一監督指揮下の21年東京五輪で正GKを務めた。

 実績も実力も横一線と言っていいが、ここでは谷を推す。東京五輪でメダルを逃した悔しさからカタールW杯の代表落ち、昨シーズンのベルギー挑戦からの国内復帰と、巻き返しへのモチベーションが列を成している。FC町田ゼルビアでのリスタートに注目だ。

競争続く左右のSB、一方CBコンビは「鉄板」か

 DFラインはどのポジションも候補者が多い。

 右サイドバックはアジアカップに出場した菅原由勢と毎熊晟矢に加えて、1月の移籍市場でプレミアリーグのルートン・タウンの一員となった橋岡大樹も候補にあがってくる。自分たちがボールを握る展開なら菅原か毎熊で、守備に軸足を置きたい展開では橋岡、という使い分けもできる。

 2年後へ向けた競争のなかでは、毎熊のさらなる伸びしろに期待する。アジアカップで評価されたアタッカー陣とのスムーズな連携、試合終盤でもアップダウンできるスタミナと走力を、3月から再開されるW杯予選を通して磨いてほしい。

 左サイドバックのポジションでは、中山雄太と伊藤洋輝の競争が続いていきそうだ。大前提としての守備力にどちらも不安はなく、ビルドアップ時の立ち位置にも工夫が見られる。そのうえで、ピッチを幅広く使える左足のサイドチェンジを評価して伊藤をチョイスする。

 彼らを追いかける存在にあげたいのが、森下龍矢である。昨年6月に日本代表デビューを飾った26歳は、1月からポーランドのレギア・ワルシャワへ期限付き移籍している。中山や伊藤にサイズで劣るものの、攻撃へスムーズに関われるのが特徴だ。4バックのサイドバックでもウイングバックでもプレーできる彼は、チームに戦術的柔軟性をもたらすこともできる。

 CBは板倉滉と冨安健洋のコンビが「鉄板」である。ただ、3番手以降の選手たちが、海外へ飛び出すことで成長速度を上げている。アジアカップに出場した谷口彰悟、町田浩樹、渡辺剛だけでなく、23年の代表活動に招集された瀬古歩夢、今冬からヨーロッパへ出た角田涼太朗と藤井陽也、U-23日本代表のチェイス・アンリらも、ここから本格的に競争へ加わっていきそうだ。

 アジアカップにトレーニングパートナーとして同行した18歳の市原吏音も、将来性は高い。プロ1年目の今季はアカデミーから昇格したJ3の大宮アルディージャでプレーするが、左右両足を使えるCBは早い段階で海外クラブから声がかかるかもしれない。

“アジアカップはメンバー外”鎌田大地の起用も視野に

 中盤は4-3-3のシステムを前提に人選をする。攻撃的なMFを有効活用するという意味で、4-2-3-1よりも選手起用の選択肢を多く持つことができるのがその理由だ。

 アンカーは遠藤航で決まりだ。どのポジションにも複数の候補がいるが、彼だけは取り替えが利かない。連戦を耐え抜くフィジカルとメンタルのタフネスさを備えたキャプテンは、チームの心臓であり肺でもある。

 インサイドハーフは、左に守田英正を置く。戦況に応じて遠藤と横並びになることができ、左サイドバックと左ウイングの特徴に合わせて立ち位置を変えることができる。左サイドを攻守両面で機能させるためにも、この28歳を欠くことはできない。

 右インサイドハーフは、現時点の序列なら久保建英になる。ポゼッション時はトップ下のようにプレーし、右ウイングとポジションチェンジをするなど、存在感を高めている。

 2年後を見据えると、アジアカップのメンバーから外れた鎌田大地の起用も視野に入れたい。ボランチとしてもトップ下としても振る舞えるこの27歳は、デュエルの局面でもヒケを取らない。

 インサイドハーフの候補者には、田中碧、旗手怜央、伊藤涼太郎らの名前もあげておく。左利きでポリバレントな資質を持つ川村拓夢も、今後の成長を追跡したい選手だ。

“パリ五輪世代の逸材”にも注目

 右ウイングはアジアカップを戦った伊東純也、堂安律、久保の3人が、引き続きスタメンを争う。それぞれに異なる個性を持つが、縦への推進力が際立つ伊東をファーストチョイスとしたい。そのドリブル突破は遅攻でも速攻でも力を発揮し、守備時は素早い帰陣でスペースを埋める。

 堂安を右ウイングで起用する際は、久保を右インサイドハーフに置き、毎熊に右サイドバックを任せる。3人のスムーズな連携は、アジアカップでも証明された。

 久保はトップ下やインサイドハーフでのプレータイムが長い。複数のポジションに対応できるからだが、右ウイングでもっと長く起用してもいいだろう。

 左ウイングは三笘薫だ。アンカーの遠藤と同じく、彼も外すことはできない。フィニッシャーとして力を発揮する中村敬斗、攻守にアップダウンできる前田大然に続いて、U-23日本代表の佐藤恵允の2年後は注目だ。貪欲で力強い縦突破は見どころがある。

覚醒に期待したい18歳の長身ストライカーも

 センターフォワードは、上田綺世が第1候補だ。フィジカルを生かして最前線で起点となり、攻撃に深さをもたらす。アジアカップ4ゴールの実績は、彼自身にとっても自信になっただろう。

 CFタイプでは、小川航基の招集が待たれる。期限付き移籍先のNECでは、エールディビジで7点、ベスト4入りしているカップ戦で3得点を記録している。2019年以来の招集に足る実績だ。

 26年のワールドカップを念頭に置くと、18歳の長身ストライカーが気になる。後藤啓介だ。昨シーズンのJ2で7ゴールをマークした彼は、1月からベルギーの名門アンデルレヒトへ期限付き移籍中だ。まずはセカンドチームでアピールをしていく立場だが、191センチのサイズをポストプレーでも生かせるようになれば、森保監督も無視できなくなるはずだ。

 アジアカップで連覇を成し遂げたカタールは、3バックと4バックを併用した。準優勝のヨルダンは3バックを基本布陣とした。

 森保監督の日本代表では、4バックは攻撃的で3バックは守備的な布陣というのが現時点での位置付けだ。しかし、これだけ多くのCBがいて、ウイングバックの適性を持った選手もいるのだ。ヨルダンのように3-4-3で攻撃的なスタイルを打ち出すことはできる。

 3月以降はワールドカップ予選が続くため、新たな戦術や新戦力のテストは難しい。そのなかで、どれだけ戦術の幅を広げていけるか。新たな戦力を取り込めるか。森保監督のマネジメントが問われる。

文=戸塚啓

photograph by Kiichi Matsumoto