ブライトンの日本代表MF三笘薫(26歳)が、久しぶりに報道陣の前に姿を見せた。

 4月6日に行われたブライトン対アーセナルのプレミアリーグ第32節。日本代表でチームメートの冨安健洋がアーセナルの一員として途中出場したこの試合を、三笘はベンチ裏で観戦した。

 三笘が腰の怪我を悪化させたのは、2月18日のシェフィールド・ユナイテッド戦でのことだった。9日後に行われた記者会見で、ロベルト・デゼルビ監督は「深刻な問題。復帰まで2〜3カ月かかる。シーズン中の復帰は難しいだろう」と述べ、今季中の復帰が絶望となる可能性があると明かした。今回のアーセナル戦もメンバー外で、冨安との日本人対決は実現しなかった。

日本代表コーチと話し込む姿も…

 三笘は怪我で離脱中だが、クラブ広報によると、ホームゲームをスタジアムで観戦することが多いという。今回のアーセナル戦も、ブライトンのロゴが入った黒のダウンジャケットとトレーニングウェアを着用し、キャップを被って仲間たちのプレーを見守った。

 そのアーセナル戦後、日本代表MFは取材エリアに姿を見せた。ブライトンの本拠地アメックス・スタジアムの取材エリアはホームとアウェイの更衣室のちょうど真ん中に位置しており、三笘は記者たちの前で冨安を探しているようだった。

 三笘が冨安と落ち合うと、視察に訪れていた日本代表コーチの齊藤俊秀氏も合流し、3人は20分ほど言葉を交わした。話し合いの途中、アーセナルのミケル・アルテタ監督が側を通り過ぎた際には、冨安が齊藤コーチを紹介する一幕もあった。スペイン人指揮官は「試合を楽しんでいただけたら嬉しい」と齊藤コーチに一言だけ述べ、そのまま会見場へ足早に立ち去った。

「少しだけ取材よろしいですか?」笑顔で「いや…」

 しばらく経つと、冨安だけ取材エリアにやって来て、報道陣の取材に応じてくれた。

 一方の三笘は齊藤コーチと個別に話し合いを続け、2人だけの会話は約25分に及んだ。3月のW杯予選を腰の怪我で招集されなかった三笘は、その際に自身の怪我について説明したと思われる。

 齊藤コーチとの話し合いを終えると、三笘が取材エリアにやって来た。そこで「少しだけ取材よろしいですか」と尋ねてみた。三笘は笑顔で「いや」と小さな声で言い、足を止めることなくそのまま通り過ぎた。リラックスした表情だったが、本人の口から怪我の状況を説明してもらうことは叶わなかった。腰の怪我で離脱しているものの、ごく普通に歩行しているように見えたのは朗報で少しばかり安堵した。

“悪質タックル”…あの試合で起こったこと

 ここで、三笘が長期離脱することになったシェフィールド・ユナイテッド戦を振り返ってみたい。あの試合で何が起きたのか。取材ノートを確認してみた。

 この試合で三笘は、メイソン・ホルゲートから悪質なタックルを受けた。試合が始まってすぐの11分、ホルゲートが右足を不必要に高く上げ、スピードに乗った状態から足の裏を三笘の左太ももに激しくぶつけた。

 三笘の左足が宙に浮いていたから良かったが、それでも衝撃は相当だったようで、日本代表はしばらく動けなかった。当然、ホルゲートは一発退場。解説者のレオン・オスマン氏が「ミトマがプレーを続けられたのが信じられない」と言うほど悪質なタックルだった。

 三笘の様子がおかしくなったのは後半に入ってからだ。プレーが途切れる度に右の腰を頻繁に抑えるようになったのだ。

 それでも精力的に走り回っていたが、デゼルビ監督が三笘の交代を決めるプレーがあった。後半25分に左サイドでボールを受けた三笘が、右足でクロスボールを入れた場面だ。クロスボールを蹴ったが、キックに力が入らず、ミートしなかったボールも狙った場所に届かなかった。三笘らしからぬキックミス。その直後、デゼルビ監督はベンチに座っていたアンス・ファティに投入の指示を出した。三笘がファティと交代したのはそれから6分後、後半31分のことだ。

クラブ広報が明かした「4月中の復帰はない」

 試合後もいつもと様子が違った。通常三笘はサポーターの元に挨拶へ向かうが、ベンチ席からなかなか出てこない。

 ようやく腰をあげてピッチサイドまで出てきたが、サポーターのもとには行かず、そのままロッカールームに消えていった。

 ロッカールームでは時間をかけて治療を受けていたようで、取材エリアにもなかなか現れなかった。ミックスゾーンでは悪質なタックルについて質問を受け、「ちょっと危なかったですね。僕も大丈夫かなと思いましたけど、ギリギリ(大丈夫だった)」とコメント。さらに記者団から「後半は右の腰のあたりをすごく気にしていた」と問われると、「元々ちょっと痛みを持っていたので、それがちょっと出た感じです。(記者:では別にこの試合で痛めたわけではない?)そうですね、はい」と語り、試合前から抱えていた腰の痛みが悪化したと明かした。試合後のデゼルビ監督も「腰が痛くて交代させた。(前半の)あのファウルのせいではない」とし、ホルゲートのタックルとは無関係と強調した。

 三笘は、後半から頻繁に腰を抑えていた。そして、三笘には珍しいキックミス。デゼルビ監督はその直後から交代に向けて動き出していたことから、日本代表の腰の痛みについては事前に把握していたように思う。

 現状として、三笘がいつ頃復帰できるか判明していない。2月下旬の時点でデゼルビ監督は「シーズン中の復帰は難しい」としながらも、「復帰まで2〜3カ月かかる」と語った。腰の怪我が悪化したのは2月18日。つまり、4月中に復帰する可能性もあるが、クラブ広報は4月6日のアーセナル戦で「監督のコメントから大きなアップデートはない。4月中の復帰はないと思う」と短く答えた。

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 三笘の勇姿を再び見られるのはいつになるのか。今はゆっくりと安静にしてほしいが、5月20日に27歳の誕生日を迎える三笘にとって、今夏の移籍期間は非常に大きな意味を持つ。

 取材の中で度々「チャンピオンズリーグに出場したい」と語っていることから、今夏の市場でCL出場権を持つクラブからオファーが届けば、本人の気持ちは大きく揺れ動くように思う。

 ステップアップ移籍するなら、27歳の年齢は適齢期、いや少し遅いぐらいだろう。三笘の回復具合、そして動向に注目したい。

文=田嶋コウスケ

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