クラシックカー(”ネオ・クラシック”も含む)を所有している人ならば、一度はタイヤについて悩んだことがあるのではないだろうか。古い車だとサイズも限られてくるし、タイヤのデザインひとつで全体の印象が変わってきたりする。”おしゃれは足元から”のようなもので、その車の年代に合ったタイヤを愛車に履かせたいと思うものである。かく言う私もその一人であったわけで、愛車のランチア・デルタのタイヤを新品に交換してみた。 

低燃費タイヤを履いている状態。パッと見で、どことなくぎこちなく感じていた。

ランチア・デルタと聞けば、ラリーにつながる方が多いはず。ランチアはデルタ4WDとインテグラーレ(EVO1まで)でワールドタイトルを6度獲得という、圧倒的な強さを見せていた。私が所有しているモデルはHF 4WDなので、デルタヒストリーでいうと初期のほうだが、ギャレット製ターボチャージャー付きの2リッター DOHC直列4気筒エンジンにフルタイム4輪駆動を組み合わせており充分な性能を持つ。

そんなデルタを購入(おそらく2019年2月)し、乗れるようになってから(たしか2019年5月)というもの、なんだか4WDの良さがあまり感じられていなかった。もちろん、今後行っていかなければならない整備の課題は色々とあるのだが、最も簡単に4WDの良さを感じさせてくれることはタイヤを交換することであろう!と勝手に思っていた。デルタ購入時から履いていたタイヤは低燃費タイヤだったため、グリップレベル云々、デザイン性云々というよりは耐久性や安全性を重視したものであった。もちろん、ライフスタイルやその車の構造によっては低燃費タイヤが大いに役立ってくれるので、決してそれを否定しているわけではない。しかし、私は”せっかく初めての愛車にデルタを購入したならば!”という若気の至り(24歳)もあってか、スポーツタイヤを求めていた。

そして、2020年9月にようやく念願のスポーツタイヤに履き替えを果たす!それも、スポーツ系のクラシック〜ネオクラシックには最高ともいえるADVAN Type-Dである。現在販売されているType-Dは、横浜ゴム創立100周年記念にファンからの声に応えるかたちで復刻されたものである。伝説のタイヤとも呼ばれているほどだから、その支持は圧倒的である。Type-"D"の由来でもあり、最大の特徴ともいえるアウト側に見られるディンプル(排水性とトレッド剛性の適正化を図るためのもの)、インとアウトで異なるショルダーデザイン(インはラウンドで、アウトはスクエア)といったオリジナルデザインを踏襲しながら現代の技術を組み合わせながら開発されている。サイズは全6サイズで10〜15インチまでが揃っているため、クラシックカーオーナーにとっては嬉しい。ちなみにデルタは14インチで、今回交換したものは185/60R14 82Hだ。

ホイールもピカピカで見事な足元!アウト側のスリックデザインはコーナリングを向上させる。

インはラウンドで、アウトはスクエアの独特なデザインをしている。アウト側に見られる丸いくぼみがディンプル。排水性とトレッド剛性の適正化を図るためのものである。

そんなType-Dに履き替えて初走行!の前に眺めてみる。復刻デザインのタイヤが全体を引き締めてカッコよくしてくれている。ボーっと見とれてしまうほど。これこそ、”おしゃれは足元から”かとのんきに思う。それから、いよいよ初めてのドライブに。少し走ってみただけでも、明らかに違う。特にその良さが顕著に出るのは曲がるときだ。自宅から高速道路に出るまでに、ひとつ急で長めのカーブがある。そこでいつも”デルタの割にはもの足りないなあ・・・”なんて思っていたものの、タイヤを替えてみたらそんな思いが一気に消え去った。大げさではなく本当だ。路面にしっかりとくっついて、安定したままぐいーっと曲がってくれる。グリップしすぎるというわけでもなく、程よい感じ。車にも人間にも優しいといった印象を受ける。さらに、ロードノイズも以前ほど気にならなくなった。エンジン音然り、異音然り、”音”というのは古い車にはつきものだが、ロードノイズはこうしてタイヤによって軽減できたりする。愛車のエンジン音をさらに楽しむためにも、ここはなるべくおさえたい要素であろう。

サイドウェイトロフィーのピットにて。

そうこうしている中で、11月にはヒストリックカーレースのイベント サイドウェイトロフィーでのんびりながらも初のサーキット走行をさせていただいた。なかなかのカーブがいくつかあったが、タイヤのおかげもありスピンすることもなく無事に走ることができた。そういえば、10月には浅間山方面までデルタで行き、峠道を登っていったがその時にも”タイヤ替えておいて良かった〜”と感じていたことを思い出した。大事な車を楽しむためには、唯一路面と接しているタイヤを気にかけてあげることもひとつ重要なことであると痛感した。これからも、このデルタ、タイヤと共に楽しもうと思う。