サルデニアをご存知だろうか。イタリア半島西、地中海に浮かぶこの島は、首都ローマよりチュニジアに近い場所にあって、欧州VIPのバカンス地として知られている。澄んだ海に囲まれた、野生的な自然が自慢の島を愛する人はとても多いが、ジョルジェット・ジウジアーロもそのひとりだ。海の見えるセカンドハウスで彼は多くの名車をデザインした。休暇に入る前に始まったプロジェクトは巨匠と共に海を渡り、夏の終わりに自動車となったそうだ。彼は“我が子“について語るとき、しばしば蒼い海が生み出した、こんな言い方をする。美しい海に癒され、時に勇気を貰いペンを走らせたという。海という部分は時にワインディングロードに代わるのだが、実際、サルデニア島はワイルドな起伏に富んだ道がたくさんあって、自動車乗りにはもってこいの場所。これも彼を惹きつける理由のようだ。毎年、この島で夏を過ごすジウジアーロは、サルデニアのことを「僕の島」と呼ぶ。

【夏のバカンス地で開催される優雅で楽しいクラシックカーイベント】(写真6点)

Poltu Quatu Classicは「僕の島」で行われるコンクール・デレガンス。ポルトゥ クアトゥはビーチの名前で、このビーチを舞台にジウジアーロの仲間たちが彼を囲んで楽しいイベントを、こんなアイデアでスタートした。今年で7回目を迎え、イタリア・クラシックカー界の夏の風物詩となっている。2021年エディションは7月初めの週末に開催された。

近年、盛り上がりを見せる欧州クラシックカー界には老舗、ヴィッラ・デステを筆頭に多くのコンクール・デレガンスが存在するけれど、ポルトゥ・クアトゥの特徴は夏に開催されること。夏がキーワードなのだ。例えばビーチカーに絞ったクラスがあるのはこのイベントだけだと思う。今年は11台の中からDune Buggy Meyers Manxが選ばれた。カリフォルニアからの参加である。一方、総合優勝に輝いたのはフィアット1100スポーツ・バルケッタMM。1948年のミッレミリア参戦車。ニコリス・ミュージアムというイタリアでよく知られた自動車博物館の所蔵車で、ミュージアム・オーナーであるコレクターのシルヴィア・ニコリスと、リッカルド・メッジョリーニというサッカー選手がステアリングを握って登場した。

他にも目を引くクラシックは多数あるが、例えばランチア・ラリー037グループB、スバル・インプレッサWRC、ランチア・アストゥーラ・カブリオレ・ピニンファリーナ、ダットサン240Zのような欧州のデザイン・コンクールでは珍しいお宝も並ぶ。これもジウジアーロゆかりのイベントならでは。走りにも重きを置いているのだ。この点もスポーティネス溢れる彼に相応しいイベントと言えるだろう。ちなみにドルチェ・ヴィータ賞を手にしたランチア・アウレリアB24Sカブリオレはオランダから自走で島にやって来た。

ヤングタイマー賞はフェラーリ208GTBターボ。ランチア・デルタ・エヴォルツィオーネを抑えての勝利だったが、このランチアのオーナーはアメリカズカップを戦ったルナロッサ・プラダ ピレリ・チームのスキッパー。クルマも乗り手も実にゴージャス、これもジウジアーロの仲間が開くポルトゥ・クアトゥ・クラシックの特徴である。仲間はしかし、知り合いという意味ではない。クラシックカーを愛する人々、これを以って「仲間」「友達」とされ、故に車両を持ち込まない人々も大歓迎。5つ星のホテルがスペシャル・プライスで用意されている。これは日本からも遊びに来て欲しいというメッセージも含まれているそうだ。


文:松本 葉 Words: Yo MATSUMOTO