ランボルギーニのV型10気筒エンジンを搭載したミドシップ・スーパーカーの中で、最もレーシングカーに近いモデル、ウラカン・ペルフォルマンテは全輪駆動だ。ところが、デイトナ24時間レースで3度の優勝を果たしたウラカンGT3は後輪駆動であった。また、ワンメイクレースで使われているウラカン・スーパートロフェオも同様に後輪駆動である。ロードカーについていえば、後輪駆動のウラカンはEvo RWDのみだった。

【レーシングカーに最も近い、公道走行可能なモデル】(写真4点)
 
新たにラインアップに加わったウラカンSTO(Super Trofeo Omologato)はレースカーと同じ後輪操舵を備え、最も軽く、最も速く、最も高価なウラカンで、英国で約26万ポンドする。
 
ランボルギーニのシミュレーションによると、デイトナで優勝したウラカンGT3 Evoとは、スリックタイヤを履いていたにもかかわらず、ラップタイムでわずか2.4秒差。また、ペルフォルマンテよりも5.4秒速いという結果も出ている。ペルフォルマンテに比べて43kgの軽量化が図られており、ダウンフォースも53%増加している。ステルス戦闘機のようなインテリア、よりグリップ力のあるブリヂストンのポテンザ(オプション)など、サーキット走行に特化したウラカンだ。
 
さらに、シャシーも強化され、V10はトルクこそペルフォルマンテに劣るものの、同じ631bhpの出力がある。驚くべき差別化も施されている。アルミニウム製のルーフとドアを除き、ボディはすべてカーボンファイバー製で、フロントエンド(Cofango)はミウラのクラムシェルのように開く一体型となり、リアハンチは風の流れを意識し、角度が急になっている。
 
ヴァレルンガ・サーキットを走ると、STOはすぐにハードコアになる。ステアリングは非常に正確で反応がよく、スロットルレスポンスもよい。ブレンボ製のカーボンセラミックブレーキはとても効きがいい。V10エンジンは、適度な回転数ではパーリングやガーガーと音を立て、シフトダウンするたびに、アクラポビッチ製マフラーから炸裂音が鳴り響く。機械的にも構造的にも、STOはとてもタイトだ。
 
STOがコーナーを曲がるとき、攻撃性と純粋さを兼ね備えていることがわかる。ポテンザが冷えているときは、エッジが効いていて不安定な感じがする。それは、スロットルを素早く戻すとオーバーステアになるからだが、熱を加えるとタイヤが路面にガッチリと接着するようになる。
 
美しくしなやかで、走れば走るほどよくなり、全輪駆動のウラカンよりもはるかに直感的なフィーリングが感じられる。低速域から中速域にかけては、グリップ、トラクション、アジャスタビリティが見事に調和している。STO特有の反応のよさが、自然でありながらも顕著な後輪操舵によって実現されている。
 
優れたシャシーとブレーキ性能に加え、豊かなレスポンスとトルク、そして8000rpmまでの鋭い伸びを持つV10エンジンがあるからこそ、このようなマシンに仕立てることができるのだ。アクロポヴィッチ製のエグゾーストの排気音は、この車をよりドラマチックにしている。これほど心を揺さぶられ、刺激され、満足感を得られる車はめったにない。
 
フェルッチョ・ランボルギーニは、レースで得た知識を活かして車の性能を高めることには関心がなかった。もし、彼がSTOに乗ることができたのなら⋯、そう思わずにはいられない。

編集翻訳:伊東和彦 (Mobi-curators Labo.)  原文翻訳:オクタン日本版編集部