西海(さいかい)市南部、多以良(たいら)盆地を流れる多以良川上流域にある大瀬戸町の「ホタルの里河川公園」。川のせせらぎと虫の音、鳥のさえずりが優しく出迎えてくれる。初夏、ホタル狩りが終われば、待望の水遊びシーズン。近くの住民で、公園整備に携わる松尾利秋さん(66)は「こんな山奥なのに遠くの人たちが遊びに来てくれる。人との触れ合いが地域の財産ですよ」とほほ笑む。
 松尾さんは16人でつくる「多以良ほたるの里愛好会」代表。週1回ほどボランティアで掃除する。きっかけは6年ほど前だった。久しぶりに公園に足を運んでみると、雑草が生い茂り、荒れ放題。「いいところなのにもったいない。何とかしなければ」と、年間130日も通って草を刈り続けた。もらい受けた簡易トイレを置き、ベンチやテーブル、川沿いの散策路の手すりなども自作した。
 今ではホタルの季節だけではなく、県内外から多くの人が川遊びやバーベキューなどを満喫している。
 松尾さんにはこの夏、一つの計画がある。川の一部を掘り下げ、子どもたちが泳げる深さのエリアをつくる。川辺に、笑顔と歓声がもっと広がるのを見たいからだ。
 「弁当を持って遊びに来てくれる家族連れを見るとうれしくてたまらない。多くの人に来てもらうためなら、まだまだ頑張りますよ」。松尾さんの「おもてなし」はこれからも続く。
 (長崎新聞西海支局・小槻憲吾) =終わり=

メモ:西海市の大瀬戸町と西海町の境にあるゲキト岳付近が源流で、全長5878メートルの2級河川。河口では二つに分かれ、七釜港と柳港につながる。川の一帯は水田などが広がり、民家が点在する農村地帯。毎年6月ごろにはゲンジボタルの乱舞を観賞できる。