赤ちゃんからお年寄りまで同じ物を食べられる幸せを届けたい―。7月から「ICHI 5 MONE(イチゴーモネ)」の屋号で、キッチンカーの移動販売事業を始めた鷲頭(わしず)将治さん(43)と瞳さん(39)夫婦。〝愛車〟にこだわりのオーガニックフードを載せ、生産者の思いとともに県内外に運んでいる。
 将治さんは九重町で畜産、瞳さんはオーガニックカフェを経営していたが長女の進学を機に今春、家族で日田市に移住した。新事業に移動販売を選んだ理由は「インスピレーション」。福岡県でたまたま見掛けたキッチンカーに引かれ、その日のうちに購入。互いに「食」に携わってきた経験を、キッチンカーを通して届けることにした。
 屋号のイチゴーモネは、何も言うことがないほど素晴らしいという意味の大分弁「いちごもねー」と、「一期一会」から名付けた。「食を通してできた素晴らしい縁を大切にしたいとの思いを込めた。あの日、キッチンカーを見つけたことも何かの縁だったのだと思う」と将治さん。
 販売しているのは天然酵母のベーグルに無農薬野菜や手作りベーコンなどを挟んだハンバーガー、季節のジュース、乳製品や卵を使用しないマクロビオティックスイーツなど瞳さん手作りのオーガニックフード。「大人でも子どもでも、アレルギーがあっても、食べたい物をみんなと一緒に食べられる幸せを大事にしたい」と、6人の子を育てる母親でもある瞳さんは話す。
 できるだけ地域にある食材を使用することがポリシー。「少ない量でも快く要望に応えてくれる農家さんと出会えたこともすてきな縁。地域食材の魅力や素晴らしさを、料理を通して広げていくつもりです」
 事業を始めた当初は出店できる場所を探して走り回る日々だったが、「最近は新規のお客さんも増え、イベント運営側から声を掛けてもらえるようになった」と手応えを感じている。9月からは日田市内のアートカフェ「桃の木」店内を金曜夜限定で借りて営業する「シェアカフェ」にも挑戦するなど、新たな取り組みを進めている。
 「将来的には食にまつわる体験交流の場をつくりたい」と将治さん。瞳さんは「食べ物を提供するだけでなく、自身の経験や知識も伝えていければ」。2人の挑戦は始まったばかりだ。