四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)で重大事故が起きた際に同町の住民が大分県に避難する事態に備え、愛媛、大分両県と大分県バス協会が確認書を交わした。大分県に放射性物質の影響が及んでいないことなどを条件に、協会が避難者の搬送に協力する内容。運転手に健康被害が生じたり、車両に放射性物質が付着した場合は、四国電または国から賠償を受けるケースを除き、愛媛県が補償する。
 伊方原発は「日本一細長い」とされる佐田岬半島の付け根に立地。重大事故時には原発以西の住民約4700人が孤立する恐れがあり、避難計画には大分などへの海路避難が盛り込まれている。バス協会は大分の港に着いた住民を県内各地の避難所へ運ぶ役割を担う。
 確認書では原則、愛媛県内の港などで検査を実施し、避難する住民の皮膚や衣服に放射性物質が付着していないのを条件に協力すると明記。
 大分でバスに乗る際、随行の町職員らが線量計を運転手に見せ、住民への付着がないことを示すよう定めた。バスの手配は愛媛県の要請に基づき、大分県が協会に依頼する。
 協会は2015年秋から始まった海路避難・受け入れ訓練に参加してきた。愛媛県は昨年、大分合同新聞の取材に「大分県のバス協会と(協定などを)結ぶ考えはない。それは大分県の仕事」との見解を示していた。一方、協会側は「何らかの担保がないと運べない」として立地県の愛媛県に文書を交わすよう求めていた。
 「できる限りの協力はしたい。100パーセントではないが、確認書によって運転手の皆さんの不安を払拭(ふっしょく)できたのではないか」と協会の脇紀昭専務理事(64)。
 ただ、行楽シーズンは県外に出ている貸し切りバスも多く、事故時にどれだけの車両が用意できるかは不透明。脇専務理事は「急に大量の避難者を運んでほしいと言われても難しい。うちだけで対応できるかは状況次第」とも指摘した。