空の青、木々の緑、ごろごろと転がる大きな岩の白が、流水の透明さを引き立たせる。垂水市の猿ケ城(さるがじょう)渓谷。高隈山系を源流とする本城川が流れ、時折吹く風が涼しい。
 財宝パーク猿ケ城・森の駅たるみずは、本城川沿いに設けられたレジャー施設だ。キャニオニング(沢下り)や釣り堀、湧き水を使ったそうめん流しなどが楽しめ、温泉や宿泊施設もある。夏には多くの観光客が訪れるこの場所は昨年9月、台風で甚大な被害を受けた。
 1時間150ミリを超える集中豪雨だった。谷筋に集まった雨水は激流となって護岸をえぐり、遊歩道は消えた。大量の流木が積み重なり、一帯を泥が覆った。事業者・財宝の山本忠良観光事業部長(56)は「どこから手を付けていいか分からないくらいだった」と振り返る。
 河川復旧は現在も続き、周辺には崩落箇所も残る。だが施設はボランティアの協力も得て急ピッチで整備され、今年7月までに各種営業が再開された。キャニオニングを受け付ける垂水山岳会はコースを設定し直し、安全対策を徹底。水量確認はもちろん、上流側の雲の動きにも目を光らせる。
 「自然の怖さを痛感した。でも自然は同時に、多くの恵みも与えてくれる」。山岳会の寺田敏正副会長(67)は、再開までの苦労を意に介さない。「澄んだ流れを見れば元気が出るもの。この夏もたくさんの人に満喫してほしい」
(南日本新聞社鹿屋総局・大川源太郎)

メモ:垂水港から車で約10分。キャニオニングは要予約。木と木の間に張られたワイヤロープを滑車で滑る「ジップライン」や、大型ウオータープールなどもある。各レジャーはそれぞれ有料。本城川は遊泳禁止。財宝パーク猿ケ城TEL0120・901・917。