就職氷河期に入社した1年目、「残業」という意識は自分の頭になかった。記者という職業柄、取材すべきネタがあれば、朝でも夜でも出向いたし、何より競争相手に負けたくなかった。でも、そんな自己犠牲型の社員像は時代にそぐわない昔話になったようだ▼産業能率大が今春、全国の新入社員約500人に行った意識調査によると、1カ月の残業時間で「30時間以上は許容できない」が68%に達した。許容範囲は「11〜20時間」が最も多く、「0時間」と答えた人も2%いた▼残業だけではない。転勤を無条件に受け入れるのは4人に1人。「一度も転勤せず同じ場所で働きたい」が最多の28%に上った▼今どきの新入社員が、ワークライフバランス(仕事と生活の両立)を重んじ、シビアに企業を選んでいるのが手に取るように分かる。人材を確保するため、転勤を伴わない採用枠を設ける企業が出てきているのも納得だ▼一方、「働く上で重要だと思うこと」は、「長期間、安心して働ける」が最多の57%。約3割が60歳超まで働きたいとし、1割は「定年なし」を望んだ。不安定な世の中で、まず堅実な生活設計を、ということか▼就職氷河期をくぐり抜けたアラフォー世代からすると、無邪気に仕事に没頭できたあの頃との違いに、一抹の寂しさを覚えるのはなぜだろう。(西江昭吾)