「甲子園だ! よくやった」。序盤の大量得点で流れをつかんだ興南高校が甲子園への切符を勝ち取った。勝利の瞬間、スタンドでは在校生や父母らが抱き合い、喜びの声を上げ、瞳を潤ませながらナインの活躍をたたえた。 初回に興南が2点を先制し、二回に5点、三回に6点と序盤から得点ラッシュ。チームカラーのオレンジ色に染まったスタンドは、歓声が途切れなかった。 初回、先頭打者で安打を放った仲村匠平一塁手の父明さん(43)は息子のいきなりの活躍に少し驚いた様子。「このまま自分のプレーをしてほしい。油断は禁物」とグラウンドの息子を真っすぐに見つめていた。 決勝のマウンドを任されたのは大会初先発の1年生、宮城大弥投手。父享さん(49)は終始落ち着いた表情で息子の投球を見守り、「あの子はただ野球が大好きなんだ」と目を細めた。 地域の野球チームに所属していた小学4年生の時、高熱を出した。先生に帰宅を促されるも、「帰ったら野球ができないから嫌」と拒否。何とか母礼子さん(49)が自宅に連れて帰ったが隙を見て抜け出し、練習をしていたという。決勝の朝も緊張した様子はなく、「大会楽しいね」とわくわくした表情で球場に向かった。享さんは「けがをせず、甲子園でも野球を楽しんでほしい」と激励した。 同校野球部OBで、福元信馬主将の兄信太さん(24)は「最後までいい試合だった。スタンドとも一体感があった」と、後輩たちの活躍を褒めちぎった。弟には毎試合前にメールで激励するといい、前日は「冷静さを忘れずに。今までやってきたことを出し切れ」とアドバイス。「これから甲子園に行くまでの練習はきついが、自分を信じて頑張ってほしい」とエールを送った。38年前の再現ならず 美来工父母・OB 健闘に拍手 「よくやった、ありがとう」—。興南高校に敗れると、美来工科高校の応援席からは健闘をたたえる拍手や声援、ペットボトルの手作りマラカスが打ち鳴らされた。三回途中からマウンドに上がった比嘉太陽投手の父で、父母会長の紀夫さん(47)は「よく頑張った。選手たちにはありがとうと伝えたい」とねぎらった。 38年前、前身の中部工業高時代に甲子園出場を果たしたOBらもスタンドに駆け付け、熱戦を見守った。一塁手だった外間達也さん(55)は「私たちの県大会決勝の相手は南風原高で、その時も相手投手は1年左腕だった。最初に3点を先取されたが、四回に逆転できた」と振り返った。 二塁手だった仲松和則さん(56)は「38年前と同じような展開を期待したが、残念だった。また来年、新チームで頑張ってほしい」とエールを送った。