2023年11月12日、京都市の愛宕念仏寺で、「秋の紅葉祭り 天狗の宴」が開催されます!

災難除けの行事の一つとして知られるこの催し。この記事では京都在住の写真家・佐々木美佳さんによる2022年の現地レポートとともに、2023年の開催情報をお届けします。

可愛い羅漢さんがいっぱい「京都 愛宕念仏寺」

愛宕(おたぎ)念仏寺は京都嵐山で大人気の竹林の奥にある嵯峨野地域のお寺。全国からの参拝者が作成した千二百羅漢で有名です。

不思議な読み方「おたぎ」は、奈良時代には山城国愛宕郡(おたぎごうり)と呼ばれていた土地(現在の東山区松原通)に創建したため「愛宕」を「おたぎ」と読みます。

近くには懐かしい日本の景色が広がる「嵯峨鳥居本」や、愛宕山の山頂には火除けのお札「火之要慎」で有名な「愛宕神社(あたごじんじゃ)」があります。

「天狗の宴」の天狗は「転供」から

それにしてもなぜ天狗?
そこで以前、「お盆」についてわかりやすく解説していただいた西村和尚に今回もお伺いしました。

お盆とは地獄の蓋が開く「ご先祖さまが帰ってくる一週間」!お坊さんに聴いてみた

西村和尚:天狗の宴(さかもり)は以前、東山区六波羅に愛宕念仏寺があった時に行っていた毎年1月2日の「牛王(ごおう)加持」が元です。
「牛王」とは「牛王宝印」の略で、災難除けの護符の一つ。牛王加持ではこの護符を授与するか、ご本尊を表す梵字の印を額に押すのが一般的ですが、愛宕念仏寺では酒盛りも行われていました。「愛宕寺牛王加持」は新年を表す俳句の季語でもあります。

佐々木:元あった場所で「愛宕念仏寺跡地」という石碑をみたことがあります!ところで、この行事にはなぜ天狗が登場するのでしょうか?

西村和尚:天狗は「転供」がなまった言葉です。転供は御供物を何人かが順番に手渡して、法前に供えることからきています。
「宴」は行者達がお酒を飲んだ勢いで赤ら顔でワーワーと騒がしくやっていたため、その姿を町の人々に「まるで天狗が酒盛りをしているようだ」と言われたことから俗称で広まりました。
加持を行う人は犬神人(いぬじにん)という人たちでしたが、別名「つるめそ」とも呼んだことから、絃召(つるめそ)の酒盛と言われています。

当時、お寺の周りに住んでいた犬神人とは、八坂神社に仕える人々。警護のための弓弦を作って売っていたため、現在も「弓矢町」の名が残っています。八坂神社の祭礼である祇園祭には、弓矢町武具飾りという行事もあります。

西村和尚:夜通し行われる犬神人たちの酒盛では片木(へぎ、倍木)を持ち、舞いや読経が行われていました。そのあとは太鼓や法螺貝を鳴らして歩きます。
悪鬼退散を祈願して、牛王杖(ごおうじょう)で床や壁を叩き、牛王札を貼ったり配ったりしていました。棒を持って本堂のいたるところをバシバシと叩き回ったということで、今のお堂の柱は傷だらけになっています。

佐々木:だから犬神人から天狗に代わった今も法螺貝を吹いて矢を放ち、加持祈祷をしているのですね。

現代の円空と呼ばれた仏師・西村公朝監修の天狗の面

愛宕念仏寺の境内で見られる仏像

天狗さん、なんだか可愛い!!

そこでお面について西村公栄和尚にお伺いしたところ、なんと先代の西村公朝先生監修のもとにオリジナルで制作されたお面なのだそうです。

西村公朝先生は愛宕念仏寺の先代住職で、多くの仏像を修復した仏師です。
色とりどりの天狗のお面。これは五方の方角に合わせて色分けされています。

愛宕念仏寺「天狗の宴」

今回は阪急嵐山駅から愛宕寺前までの1時間に一本ほどあるバスに乗り、13:00少し前に到着できました。

入口で拝観料を納めると「もうすぐ紅葉祭りが始まりますよ」と声をかけていただきました。いよいよ天狗さんを見られる!と思うとワクワクします。

羅漢さんが見える境内を眺めるとあたり一面が紅葉の絨毯!「あぁ、紅葉が綺麗!」と思わず声が出そうになります。良い時期に来たなぁ。

階段を上るといつもとは違う、雅な琴の音が聴こえて来ました。

本堂の近くには外国人の姿もちらほら。
英語が出来る副住職さんがいることもあり、人気の高さがうかがえます。

500円で天狗のお加持が受けられ、厄除けのお札もいただけるとのことで本堂で受付をすませます。椅子に座って天狗の宴を拝観することも可能です。

13:30になると行者さんたちが登場。法螺貝の音が鳴り響き、本堂では般若心経が始まります。

お経が終わると行者さんたちは地蔵堂へ移動。西村和尚による天狗の宴の説明が始まります。

説明が終わると地蔵堂から山伏さんたちが天狗の姿になって現れました。

天狗さんたちは「南無千観(なーむせんかん)」と唱えながら、杓(しゃく)を打ち鳴らし、本堂の回廊に上がっていきます。

天狗さんは五方に向けてそれぞれ弓矢を放ちます(この矢はお持ち帰り可能)。

次に本堂を左周りに「南無千観」と杓を打ち鳴らしながら一周していきます。

今度は天狗さんは堂内へ入り、中を一周すると、和尚さんが千手観音のご真言「オン バサラ ダルマ キリ ソワカ」と唱え、天狗さんにヒノキの枝を渡します。

その後、参拝者に「南無千観 南無千観 南無千観」と厄除けの加持を施し、お札を渡します。

最後に西村和尚も天狗の加持を受けていたのが何か微笑ましい光景でした。

四季を通じて見どころの多い愛宕念仏寺。
千二百羅漢を見に愛宕念仏寺に来られる場合、近くに飲食店はあまりありません。竹林を通って渡月橋付近まで戻って食事をしたり、お土産を買ってくださいね。

◎天狗の宴
日時:毎年11月第二日曜 13:30〜15:00
場所:愛宕念仏寺
参加料:拝観料 300円 天狗の加持・お札付500円
電話番号:075-285-1549
アクセス:嵯峨野線「嵯峨嵐山駅」から徒歩5分「野の宮」〜「清滝行」の京都バス「おたぎでら前」下車、または嵯峨野線「嵯峨嵐山駅」から車で約5分

2023年の開催情報!

日時:2023年11月12日(日)13:30〜15:00

場所:愛宕念仏寺(京都府京都市右京区嵯峨鳥居本深谷町2−5)

料金:拝観料300円