3月3日は桃の節句、ひな祭りですね。この日にあわせて飾るものといえば雛人形が代表的ですが、つるし雛(つるし飾り)も近年よく知られるようになり、一般家庭でも飾られるようになってきました。

つるし雛を飾る風習は全国各地にありますが、中でも発祥の地とされていたり、独自の呼び名を持つ

◎雛のつるし飾り/伊豆稲取地方(静岡県)
◎さげもん/柳川地方(福岡県)
◎傘福/酒田地方(山形県)

の3つが「日本三大つるし飾り」と称されています。
この記事では、これら日本三大つるし飾りについてや、現地で実際に飾られている様子などが見られるお祭りの情報を、そもそもつるし雛とはどのようなものなのかとあわせてご紹介します。

つるし飾りとは?

雛壇に人形を並べる飾り方に対して、布で作った小さな人形を糸や紐でつなぎ合わせ、高い所から吊るして飾るのが「つるし雛」や「つるし飾り」と呼ばれます。

昔、家に女の子が生まれた時には、親や親戚がその子が幸せになるよう願いを込めて、家にある手持ちの布で小さな人形を縫ったのだそうです。

人形は様々な形がありますが、すべて縁起の良いモチーフをかたどって作られ、全部で100種類以上にものぼります。

例えば、左上のおくるみに包まれた赤ちゃんは、わが子を大切に包んで、愛情豊かに育てていくという思いが込められ、右上の巾着は、将来の夢をいっぱい巾着に詰めて幸せな人生を歩むように、また、巾着にお金がたまって一生お金に困らないようにという意味があります。

昔、「薬袋」はすべて三角の形をしており、それを模したのが左下です。「病気に無縁でありますように」との願いが込められ、不運なことが起こらないようお祓いとしての意味もあります。

右下の赤い人形は、猿をかたどったその名も「猿」または「さるぼぼ」と呼ばれます。「猿=去る」にかけて、病や災いが去るようにと願いを込めて飾られます。

ここにあげたのは一例で、つるし飾りの種類はまだまだありますが、このように一つひとつが縁起物です。それぞれの意味を考え、込められた思いを感じながら、じっくりと観賞する楽しみがあるのがつつるし飾りの最大の楽しみといえるでしょう。

ではここから、日本三大つるし飾りの3か所についてご紹介します。

雛のつるし飾り(静岡県東伊豆町)

日本一の118段「素盞鳴神社雛段飾り」 伊豆稲取温泉にて3月10日まで開催

伊豆半島の東側に位置する稲取温泉は、つるし飾りの発祥の地と言われています。
例年「雛のつるし飾りまつり」と称して1月から3月までの長期間、つるし雛が飾られます。

メイン会場となる「文化公園 雛の館」では、何と6,000個以上もの人形がついた「ジャンボつるし飾り」と17段からなるジャンボ雛壇が圧巻です。

素盞鳴(すさのお)神社では、稲取と海を見守るお雛様として、118段の階段に雛人形とつるし飾りが展示されます。

写真提供:静岡県観光協会

◇雛のつるし飾りまつり

■開催日時
・文化公園 雛の館:2024年1月20日(土)〜3月31日(日) 9時〜17時(16時30分 受付終了)
・素盞鳴神社:2月17日(土)〜3月10日(日) 10時〜15時 ※雨天中止
■会場:文化公園 雛の館、素盞鳴神社ほか町内各所
■料金
・文化公園 雛の館:入館料 500円
・素盞鳴神社:施設運営管理協力金 300円
※詳細は稲取温泉旅館協同組合公式サイトでご確認ください

さげもん(福岡県柳川市)

市内に網目のように掘割が張り巡らされ、江戸時代の美しい城下町の風情も色濃く残る柳川。この地方ではつるし雛の飾り物を「さげもん」と呼びます。

一番の特徴は、鮮やかな糸で巻き上げた「柳川まり」が、縁起物のつるし雛と組み合わせて飾られること。毎年1月を過ぎると市内の各所にカラフルなさげもんが登場します。

例年ひなまつりが近づくと「さげもんめぐり」が開催され、期間中には様々な催しが行われます。なかでも最大の見どころは「おひな様水上パレード」です。

公募で選ばれた人がお雛様に扮し、かわいい稚児たちとともに柳川名物のどんこ舟に乗って川下りをします。子どもたちの艶やかな晴れ姿と、川面に映るさげもん飾りが水郷・柳川を華やかに彩る雅なひな祭りです。

◇柳川雛祭り「さげもんめぐり」

■開催日:2月11日(日)〜4月3日(水)※おひな様水上パレードは3月17日(日)開催
■会場:柳川市内の観光施設、商店街、各店舗 ※一部有料の施設あり
※詳細は柳川市公式サイトでご確認ください

傘福(山形県酒田市)

山形県酒田地方のつるし雛は、ぐるりと布をめぐらせた傘の下に縁起物の人形を吊り下げるのが特徴で、「傘福」と呼ばれます。

発祥の由来には「傘には魂が宿る」という説や、酒田祭り(山王祭)に登場する亀傘鉾の形から来ているなど諸説があります。

傘福が飾られているのは、旧料亭で国の登録有形文化財の「山王くらぶ」。趣のある建物を会場に、2024年2月28日から11 月4日まで長期間展示されています。

2階の106畳の大広間に、大小さまざまな傘福が並ぶ光景は壮観です。

◇湊町酒田の傘福

■開催日時:2月28日(水)〜11月4日(月) 9時〜17時(最終入館 16時30分)
■会場:山王くらぶ
■料金:特別入館料… 一般 800円、高校生 200円 、小中学生 120円
※詳細は山王くらぶ公式サイトでご確認ください